緊縛写真家 杉浦則夫 現場では皆「先生」と呼ぶ。
その撮影スタイルはちょっと面白い。
先生の助走のつけ方は、いわゆる怒りと混乱の中にあります。
怒号を撒き散らし「×?△%&●×□#$$%&ーーーー!」っという感じでわけのわからないことをわめき散らしながら自分のボルテージを一気に最大値へ押し上げて現場を作ります。
まるでスーパーサイヤ人に変化するみたいに変態になります。
それに振り落とされないように現場全体が後に続きます、みんな宇宙語のようなわけのわからない指示を読み解く超エキスパートになるのです。
あれをそっちでこれがそれで、●×□#$をもってこい!っていうの普通にあります。
その怒涛中で約束事無視に繰り返される縛りとポーズの変形から生まれる美しさが、未完成の中に美しさ漂う杉浦イズムとなっているんでしょうね。
前に先生が言っていました、A-B-Cと約束事をきめたり、段取りを組んだり、最初から丁寧に組み直したり、同じことを繰り返すようなことはしない。
バランスの崩れた中でなんとか努力して一生懸命に作り上げていく途中に何かが存在しているんだと。
(約束事無視といっても安全第一です、よくこんなはちゃめちゃな中で危なくないなと毎回思いますが、そこだけはいつも冷静に頭の中で確認しているそうです。さらに緊縛師さんを筆頭に皆の叡智を集結してモデルさんを全力でお守りしています。)
間違っていても気にしない、忖度も遠慮もしない、誰に何を思われても気にしない、あるのは常に最高の作品を作り出すこと、その一点に集中する。
こんなことを1日中繰り返しているので、緊張していないと一瞬「イかれてる」「こいつやべぇ」「超むかつく」「やってられんわ」となってしまう。
だからよく誤解される、先生やばいよね、人の気持ち考えられないよね、なんか時代に合ってないよね、あたおかじゃねって。
でもその最高を目指すのは、
その作品でみんなに恩返しする、みんなと同じようにはできないから、これしかないから、この一点に向かって突っ走る。
そんな気持ちも見えたりしています。もちろん自分のためが大半でしょうけど 笑。
ないしょですが、撮影前日は眠れない程緊張して、実は宇宙語の中に繊細な段取りと目指す先をみているんだ。と小さく呟いたことがありました。
わりと私は昔から先生の近くにいるのでなんとなくわかることもあります。
それでも1日の現場で何回かは先生に殺意を抱きます、そのくらいの狂気が杉浦則夫の作品を作っています。
不器用ながらも頑張っておりますので、
どうかみなさま末長くお付き合いくださいますようお願い申し上げます。
杉浦則夫緊縛桟敷
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