日本人離れした、という枕詞があるが、
その言葉が実によく当てはまる凄いスタイル。
そのスタイルだけでも才能と言える。
10枚目、縄を掛けられて立つ姿だけでも、
マリの魅力は十分に伝わってくる。
これだけで絵になるというのは凄い。
しかし、そこから先、なかなかマリの内面が見えてこない。
何というか、美しすぎるのである。
デッサンモデルもこなしているというが、
まさにそんな感じで、仕事として臨んでいる印象を受ける。
とは言え、136枚目あたりの完成度は、
他のモデルでは得られない素晴らしいものだと思った。
167枚目あたりのポーズの美しさも、
緊縛美と呼ぶのが正解なのか、
それともマリの美しさに縄が巻きついているという感覚なのか、
もう少し、マリの内面、21歳の女の姿を見たいと思っていた。
それが少し垣間見え始めたのが、210枚目。
予定調和だった均衡が崩れ始める。
おそらく体力的にもそろそろ疲労が見え始める頃だったのだろう。
片脚を吊られ、アンバランスになっていく事に、
マリ自身の本能が、何かの警鐘を鳴らしていたのだと思う。
214枚目。
それまで見られなかった、不安の混じった表情が浮かぶ。
完全な吊りに移った時、その不安が的中する。
285枚目では、それまで見せる事の無かった苦悶の表情。
330枚目では、敏感なそこに食い込む縄に戸惑う表情が見える。
いよいよマリの内面が表に出てきた事で、現場に熱が入るのが伝わってくる。
食い込む縄に耐えるために、脚を折り曲げているのを、
厳しい指示で、脚を伸ばすように伝えられる。
そんな事をしたら、もっと食い込むのに・・という、思いが見える。
そう、読者はこれを待っていた。笑
そこから逆さ吊りに移行。一気にクライマックスへ。
見事なプロポーションと、厳しい縛りのコラボとなり、
理屈抜きで、迫力のある画像が続く。
吊られたまま、姿勢を変えられる。
体力の限界との真剣勝負。
394枚目。実に厳しい縛りながら、実にいい表情。
最初の頃にあったデッサンモデルの表情が消え、
「女:マリ」の表情だけが見えていた。
次なる機会があるのなら、
もう少しNGを緩めて、撮影に臨んで欲しい。
どんなシチュエーションを用意すれば、
彼女の魅力が120%引き出されるのか、
それは素人の私には想像も出来ない世界だけれど。
上記作品は、
緊縛桟敷キネマ館で掲載中です。
杉浦則夫緊縛桟敷 より原稿掲載
緊縛blog – ぶん。