「呆れた人。
自分から、お尻振るなんて」
「弄って。
下も弄って」
「下?
何のことかしら?」
「……おまんこ」
「はしたない人ね。
生徒の前でも、そんなこと言える?
あらあら。
スゴいことになってる。
毛が無いから、どうなってるか一目瞭然ね。
アワビが、お潮噴いてる。
床まで濡らして」
「はがが」
「ちょっと。
あなたひょっとして……。
あそこに力入れるだけで、イケちゃうんじゃないの?
便利な人ね。
手を使わなくていいんだから、どこでもやり放題じゃないの。
電車の中とか。
やってるでしょ?」
「イ、イ……」
「おっと。
イカれてたまるもんですか」
イカの脚が、獲物を放した。
「あぁぁ。
止めないで」
「さっき言ったでしょ。
わたしは、ご奉仕するSじゃないって。
いい目を見た後は……。
痛い思いをしてもらうわよ。
ギャップを味わいなさい」
女王さまは、聖火みたいに掲げてたロウソクを、理事長の肩越しに傾けた。
赤い蝋が、重たい雨のように、理事長の乳房に降り注ぐ。
思いがけないほどの量だった。
ロウソクの芯の部分が凹んでるから、そこに大量の蝋が溜まってたのね。
理事長の乳房は、一瞬にして、絵の具をぶちまけたみたいな真紅に染まった。
「ぎぇぇぇ。
熱いぃぃ」
「生きてる証拠よ」
「ひぎぃぃ」
「いい声。
わたしが聞きたいのは、これよ。
甘え声なんかじゃなく、悲鳴。
ほら、もっと鳴いて」
女王さまは、さらにロウソクを近づけた。
理事長の肌には、疫病みたいに蝋の染みが広がった。
乾いて薄皮の張った蝋に、ドロドロの真紅の蝋が溶け流れる。
乳房を包みながら流れ下る蝋は、山肌を伝う溶岩流のように見えた。
赤い染みは、脇腹まで拡がってた。
「ひぃぃ。
熱い熱い熱い。
熱いぃぃぃぃぃぃぃ」
「もっと鳴け。
もっと!」
悲鳴を迸らせる理事長を愛しむみたいに、女王さまは顔を近づけた。
キスをするのかと思ったら、長い舌が零れた。
理事長の耳を舐め回す。
「ふふ。
いい香り。
一気に汗が噴き出して、雌が香りだした。
蝋の衣装を纏うと、女は雌に変わるのね」
「許してぇ」
「そんなこと言いながら……。
こっちからは、別の汗を出してるんじゃないの?」
女王さまの片手が、理事長の肩越しに前に回った。
指先が、股間に届く。
「ほうら。
山肌を伝うのは、真っ赤な溶岩流。
そして、その麓には、熱泥が噴き出してる。
どろどろじゃないの」
「い、言わないで」
「言ってほしいくせに。
ほら、ほら。
こんなに濡らして」
「あぅぅ」
「どう?
いいでしょ。
こうやって苛められながら、クリを嬲られるのって。
ここに観客がいれば、もっと燃えるのにね。
ゆうは目を覚まさないし。
ほら、もっと股開いて」
「あぁぁ、あぁぁ」
「イキそう?」
理事長は、歯を食いしばりながら、がっくがっくと頷いた。
爪先では、10本の指が、花びらのように開いてた。
「イカせてあげなーい」
女王さまの指が、股間を離れた。
「あぁっ。
いやぁ」
理事長が、怨嗟の声をあげる。
「気持よくイカれたんじゃ、お仕置きにならないって言ってるでしょ。
今日のメインディッシュは、痛みなのよ。
痛みのフルコースを、とことん味わってもらうわ。
ひょっとしたら……。
そこを突き抜けた先に、新たな快感が待ってるかも?
さぁ、新しい地平を目指して、出発よ」
女王さまの持つロウソクが、宙を移動した。
再び傾けられる。
理事長の真っ白いお尻に、鑞涙がぼたぼたと落ち始める。
「ぎぃえぇぇぇぇ」
「真っ白い肌に落ちる蝋って……。
どうしてこんなに綺麗なのかしら。
ほうら」
「熱い熱い熱い。
無理!
もう無理!」
「ウソおっしゃい。
まだまだ地平は見えないわよ。
ほら、もっと高みに登りなさい」
「あぎぃぃぃ」
「ぜんぜん余裕ね。
ほんとに耐えられなくなった人はね……。
大便を漏らすのよ。
尻たぶを汚しながら、茶色い溶岩が流れ出す。
地平が見える瞬間だわ。
あなたはまだ、おしっこも漏らしてないじゃない。
ほら、もっと鳴け」
「助けてぇぇぇぇ」
理事長は、熱から逃れようと身を捻った。
身体が反転し、下を向いた。
豊かな相臀のあわいに、性器が覗いて見えた。
「馬鹿な人。
身体を動かしたら、まっさらなところに蝋が落ちて、よけい熱いでしょうに。
それとも……。
お尻が好きなのかしら?
お尻で受けたいわけ?
真っ赤な精液を」
「ほんとに許して!
ほんとに……」
「うんこ漏らしたら、許してあげる」
「いや」
「それじゃ、もっと味わいなさい。
ほら」
「あぎゃぁぁぁぁ」
理事長は、ロウソクをもぎ取ろうとでもしたのか、背中に束ねられた指を真上に伸ばした。
10本の指が、白い炎のように燃え立った。
女王さまは、ロウソクを吊り上げた。
もう、白い指は届かない。
理事長は、落ちる蝋を遮ろうとするみたいに、手の平を一杯に広げた。
それをあざ笑うかのように、蝋は指の股を抜け、ぼたぼたとお尻に落ちた。
「あぁっ。
あぁっ」
理事長は、連獅子みたいに髪を振り立て、全身をうねらせた。
「いいパフォーマンスよ。
このまま舞台に立てるわ。
今度、会員制のクラブでやってみない?
そうね。
見せるだけじゃつまらないわね。
会員さんにも参加してもらいましょう。
もちろん、あなたには指一本触らせないから安心して。
そのかわり……。
精液をかけてもらうの。
この格好で。
真っ赤に溶け流れる蝋の上に、練乳みたいな精液が振りかかる。
綺麗でしょうね。
蝋の燃える臭いを突いて、栗の花が香り立つ。
嗅いでるだけでイケそうね。
あー、気分出てきた」
縄目を掴んでた女王の片手が外れた。
指先は、迷いなく自らの股間に移った。
切れあがったショーツの上から、宥めるように股間をさすってる。
「ふぅ」
贅肉の無い女王さまの腹筋が、ぴくぴくと震える。
お臍のピアスが、ロウソクの炎を返して光った。
女王さまの指先が、ショーツのサイドを割って滑りこむ。
「あふ。
もう、どろどろ。
指先に、蛭みたいに絡みつく。
あぁっ」
女王さまの太腿に、腱が走った。
片手に束ねたロウソクが傾き、蝋が大量に零れた。
「ぎぇ」
奇声とともに、理事長が這い始めた。
縄目を掴んでた女王さまの手が外れたから、事実上、自由の身だったのよね。
「おっと」
女王さまの手が、自らの股間を離れ……。
逃げようとする理事長の肩を抱えた。
「誰が逃げていいって言ったの」
そんなに強く押えられてるわけじゃないのに、理事長の四肢が静まった。
まるで、主人に伏せを命じられた犬のようだった。
「じっとしてなさい。
お尻に、綺麗な模様を入れてあげるから。
立体的なタトゥよ」
女王さまは、ロウソクを束ねた手の平を上向けた。
巨大な2本の絵筆を、ゆっくりと下ろしていく。
「熱いぃ」
理事長のお尻が跳ねあがった。
「ほら、もっとお尻振りなさい。
そうそう。
スゴいスゴい。
まるで、後ろから突っこまれてるみたいよ。
こんなに動かれたら、男はあっという間に射精だわね」
「痛い痛い痛い痛い痛い」
理事長の張り出した相臀に、疫病のように蝋が広がっていく。
「あぁっあぁっあぁっ」
「そのまま、うんこ漏らしたら許してあげる」
理事長は、額を擦りつけながら、顔を横振った。
髪の毛が、モップを真似て床を掃く。
「強情な人ね。
そんなにしたくないんなら……。
蝋で肛門を塞いであげようか」
本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」
《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。