理事長のバイブはそのままに、わたしはその場を立った。
入口脇のテーブルから、カメラを取って戻る。
「ほら、そこから撮ってごらん。
ちょっと、待って。
わたしが構図を決めてあげる」
あけみ先生は、ファインダーの視界から外れると、わたしの真後ろに回った。
わたしの肩越しに、畳の舞台を眺めてる。
「ははは。
こんな構図でシャッター切れるの、一生に一回かも知れないわよ。
ほら、構えて。
柱のディルドゥも入れてね。
天狗様みたいに、2人のまんこ狙ってるとこ。
ほら、川上先生、顔上げて」
「撮らないで。
お願い、撮らないで」
「わがまま言わないの。
理事長は、ちゃんと顔上げてますよ」
舌をクリップで吊りあげられてる理事長は、顔を隠すことが出来ない。
川上先生は、懸命に面を伏せ続けた。
「言うこと聞かないモデルさんね。
仕方ないか。
これで撮りましょう。
はい、お2人さん、いきますよ。
美里、しっかり構えて。
両脇を締める。
そうそう。
はい、チーズ」
遠い恒星の爆発みたいに、フラッシュが光った。
あたりを一瞬だけ照らして、電球は潰れた。
カメラの前部から、フィルムが吐き出される。
あけみ先生の手が、わたしの肩越しに伸び、フィルムを取り上げた。
先生は、わたしに負ぶさるような姿勢のまま、フィルムを掲げた。
先生の体温を、背中に感じた。
剥き出しのお尻に、先生の太腿が吸いついてる。
「ほーら、出てきた出てきた。
美里。
入部試験、合格よ。
綺麗に撮れてる。
残念ながら……。
お股の糸は、落ちちゃったみたいだけど。
モデルさんにも見せてあげなきゃね」
あけみ先生の体温が、背中を離れた。
イエローカードのようにフィルムを掲げながら、2人のいる舞台に戻った。
「ほら、理事長。
ご覧になって」
フィルムを目の前に翳された理事長は、顔を歪めた。
「ツルマンに突っこまれたバイブまで、はっきり写ってるでしょ?
お顔もちゃーんと撮れてる。
これなら、誰が見ても理事長だってわかりますわ。
明日、学校に掲示してあげましょうか?
生徒たち、大騒ぎよね」
理事長は、泣き顔でしか答えられなかった。
あけみ先生は頬骨で笑うと、理事長の視界からフィルムを抜きあげた。
次にフィルムが翳されたのは、川上先生の顔前だった。
「ほら、先生。
綺麗に撮れてるでしょ。
どうしたの?
ちゃんと見なさいよ」
川上先生は、額に皺を寄せたまま、フィルムを見ようとはしなかった。
「いけませんね。
現実から目を逸らしてちゃ。
これが、今のあなたなのよ。
素っ裸で吊り下げられながら……。
おまんこを、茹で肉みたいに濡らしてる。
そうでしょ?」
川上先生は、口をへの字に歪め、かぶりを振った。
「正直になりなさい。
楽になれるわよ。
言ってごらん。
わたしは変態ですって。
言いなさいってば」
あけみ先生は、川上先生の髪を掴み、フィルムを眼前に突きつけた。
川上先生は、目をつぶって拒み続けた。
「見なさい」
あけみ先生は、フィルムを川上先生の顔に押しつけた。
顔面にシールを貼るように、手の平で擦り付ける。
手の平を外すと、フィルムは一瞬だけ川上先生の顔に留まった。
上半分を白い矩形で隠された顔は、死者を表す記号のように見えた。
でも、皺の寄ったフィルムはすぐに顔を離れ、翻りながら畳に落ちた。
「ほんと、素直じゃないわね。
本気で腹立ってきた。
徹底的にお仕置きだわ。
さてと。
次は、どことどこを繋いであげましょうかね。
ほーら、今度はこれよ」
あけみ先生は、畳から新たなチェーンを拾い上げた。
片側のクリップを摘んで、チェーンを吊り下げる。
先生は、クリップを揺らして見せた。
下のクリップが触れ合って、かちゃかちゃ音を立てた。
下のクリップは、ひとつじゃなかったの。
つまり、上のクリップからは、チェーンが2本下がり……。
それぞれの先に、クリップがひとつずつ付いてた。
「じゃぁ、まずは……。
舌だけ挟まれて可哀想な、理事長からね。
今度は、気持ちいいとこ挟んであげますよ。
どこがいいですか?
やっぱり、おまんこ?
でも、それは贅沢ですわよ。
おまんこは、バイブを口いっぱい頬張ってるじゃありませんか。
どこがいいかなぁ……。
なんて。
ほんとは、最初から決めてるんだけどね。
それはもちろん……。
格好のいい、この乳首。
大きさといい形といい、完璧よね。
いかにも吸ってくださいって感じ。
じゃぁ、クリップで挟みやすいように……。
勃起させてあげましょうね」
あけみ先生は、束ねた指先を、ゆっくりと乳首に近づけた。
子供が、ケーキのトッピングを摘もうとする仕草に見えた。
「えい」
指先が、乳首を捉えた。
理事長の腹筋が浮きあがる。
「あれ?
ひょっとして、すでに勃ってます?」
理事長は動かせない顔を懸命に歪め、否定の意志を表してた。
「うそおっしゃい。
バイブ突っこまれて、乳首まで勃ててたんだわ。
ヤラしい女。
そんなにお待ちかね?
じゃ、クリップの大顎に捧げる前に……。
ちょっとだけ、気持よくしてあげる。
ほーら。
どう?」
あけみ先生は、小指を除く4本の指先を束ねた。
小指だけが、いたずら小僧のように跳ねあがってる。
4本の指先が乳首を摘みながら、擦り合わされ始めた。
波間に揺れるイソギンチャクみたいだった。
「いいでしょ?
指の腹が、乳首を刺激し……。
指の先が、乳輪を刺激する。
ほら、乳輪の突起まで起ちあがった。
指先に当たる当たる。
このブツブツ、何て云うかわかる?
わからない?
そう。
覚えておきなさい。
モントゴメリー腺。
刺激を受けると飛び出て来るの。
乳首と乳輪を保護する皮脂が、ここから出るのね。
大事な器官よ。
ほーら、理事長。
気持ちいいですか?
こちょこちょこちょ」
「は、はんがはんが」
理事長の腿裏に、稲妻のように腱の筋が走った。
爪先の指が、色を変えて折りたたまれた。
「このままイッちゃえそうね。
それじゃ、ストーップ」
あけみ先生の指先が止まり、ゆっくりと乳首を離陸した。
「ほら、美里。
見てみ。
勃起した女の乳首って、魅力的よね。
モントゴメリー腺が、またいいわ。
見てるだけで、背中がさわさわしてきそう。
男だったら、これをオカズに、何本でも抜けそうよ。
理事長?
どうしました?
そんな切なそうな顔して。
もっと弄ってほしいの?
でもそれは、あまりにも欲深い心根ですわよ。
まんこ一杯に頬張りながら、乳首も弄れなんてね。
いいこと。
いい目を見たあとには、辛い見返りがあるものなの」
あけみ先生は、クリップを吊りあげると、理事長の顔の上に垂らした。
クリップの先が円を描くと、理事長の瞳がそれを追って動いた。
頬に、翳のような引き攣れが走る。
怖いのは無理もなかった。
金属製のクリップは、無慈悲な輝きを撒き散らしてる。
あけみ先生の指先が、チェーンを手繰る。
クリップは、主人にだけ従順な犬のように、先生の手に収まった。
「それじゃ、いきますよ」
あけみ先生は、口角を上げたまま、耳の脇にクリップを構えた。
笑う招き猫みたいだった。
耳の脇で、クリップの口が開いた。
「ひぃぃ」
理事長の口から、掠れた草笛が聞こえた。
両目が大きく見開かれ、瞳が溺れるように震えてる。
あけみ先生の腕が、ゆっくりと降りていく。
クリップの軌跡が、震える乳首へ一直線に伸びる。
「えい」
「はぎぃ。
はんがはんが」
クリップの大顎が、乳首を噛んでた。
ボールみたいに形の良かった乳首は、無残にひしゃげてる。
「ふふ。
これで、母乳噴いてくれたら、最高なんだけど。
ま、そこまでは無理よね。
それでは、片方だけじゃ可哀想だから……。
もう一つの乳首にも、付けてあげるね。
そのために、クリップが2つ付いてるんだから。
それ」
「はんぎ。
はんぎぃ」
本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」
《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。