「ほほっ。
そうよね。
大丈夫よね。
ていうか……。
大好きなんだもんね。
こんなふうに、苛められるのが。
そういうの、マゾって云いますのよ」
「違います」
「違わないでしょ。
こんなに乳首、尖らせておいて」
「クリップに、挟まれてるから」
「わたしが言ってるのは、挟まれてないほうの乳首よ。
ギン起ちじゃないの」
「違います違います」
「まぁ、さっきは教師の鏡だったのに……。
今度は、教師にあるまじき言動だわ。
先生、嘘はいけませんね」
「嘘なんかじゃない」
「そんなら、そのお股の汁は何なの?」
「それは……。
さっき、バイブで……」
「それは、さっきでしょ。
今、流れてるのは、何なのって言ってるの」
「……」
「今度はだんまり?
何とか言いなさいよ。
じゃ……。
言わせてみせよう、ホトトギス」
あけみ先生は、クリップを繋ぐチェーンを摘んだ。
そのまま、ゆっくりと後退る。
銀の鎖は、虚空に“く”の字を描いた。
「感じる感じる。
2人の体温。
チェーンを伝って、昇って来るわ」
「くくく」
「痛い?、川上先生。
じゃ、おしっこ漏らしたら、許してあげる。
ちょうど、犬がおしっこするポーズじゃないの。
そのまましてごらんなさい。
理事長、びしょびしょにしてやって」
川上先生は、大きくかぶりを振った。
「岩城先生。
ほんとにそれで、ゆうちゃんを助けてくれるの?」
「もちろん」
「ゆうちゃん、いいのよ。
そのままおしっこして」
「できない。
そんなこと、できません」
「気に入らないわね。
本音を言いなさいよ。
相手はどうなってもいいから、自分だけ助けてって」
「わたしたちは、あなたとは違うの!」
「あら、ご挨拶ね。
憎たらしい口。
あー、思い出してきた。
この塔の建設当時。
その口で、毎日毎日命令してくださしましたよね。
ちょっと黙っていただこうかしら」
あけみ先生が、理事長の乳首を挟むクリップに手を伸ばした。
理事長の背筋に、力線が走った。
上体を捻り、起きあがろうとしたのだ。
「おっと」
一瞬早く、あけみ先生が肩を押さえつけた。
理事長の上体が潰れる。
「危ない危ない。
脚が自由なの、忘れてたわ。
美里、理事長の身体、こうやって押さえてて。
早く」
言われるままに、理事長に被さる。
何の香水だろう。
かなり強い香りなんだけど、鼻を刺すような鋭さはなかった。
逆に、わたしの顔を包みこむ、蒸気みたいなやわらかさを感じた。
たぶん、香水と汗が混じった匂いなんだと思う。
なぜだか、これが本物の香水の香りなんだって感じた。
香水は、汗と混じって初めて、本物の香りを噴きあげるんだって。
その間にも、あけみ先生の手は休まなかった。
理事長の下半身に回り、膝上にロープを巻いてる。
見とれるほどの手際だった。
細めのロープが、重ならずに綺麗に並んでいく。
「ほら、脚あげて。
オシメを替えてもらうポーズよ。
赤ちゃんのとき、してたでしょ?
覚えてない?
嘘おっしゃい。
今でも、毎晩やってるくせに。
おまんこ舐めてぇ、って」
あけみ先生は、理事長の太腿を持ちあげようとした。
理事長は、脚をバタつかせて拒んだ。
あけみ先生は、宙を蹴る膝下を胸の前に抱えた。
そのまま、お尻を下ろす。
お尻が理事長の腿裏を押さえつけ、理事長の脚は、お腹にくっつくまで折り畳まれた。
あけみ先生は、体重を乗せたまま手を伸ばし、理事長の脚と上体をロープで繋いだ。
理事長の抵抗も虚しく、もう1本の脚も、あっという間に畳まれた。
「ほら、おねだりポーズのできあがり。
仰向けで、おまんこ全開。
この格好、大好きでしょ?
言ってごらんなさい。
おまんこ舐めてって」
「いやよ。
あなたとは違うわ」
「どう違うの?
おんなじよ。
お汁を垂らすおまんこを持った、雌同士じゃないの。
ほら、理事長の腿裏に、わたしのお汁が光ってる」
「解いて!
解きなさい!」
「まだ、わからないの?
命令できる立場じゃないってことを。
そんな口が、二度と利けないようにしてあげるわ」
あけみ先生は、理事長の乳首からクリップを外した。
「ほら、お口開けて」
もちろん、理事長が従うわけない。
口を一文字に引き締めたまま、あけみ先生を睨みあげた。
「まぁ。
素敵な眼差しですこと。
そんなお顔が出来ないように……。
心を折ってさしあげますわ。
このチェーンじゃ、長すぎるわね」
女王さまは、川上先生の乳首からもクリップを外した。
床から、別のクリップを拾いあげる。
今度のは、クリップを繋ぐチェーンが、ずっと短かった。
「ほら、お口開いて。
まだ言うこと聞かないわけ。
美里、そこに転がってるバイブ、拾って。
そう。
持ってきて。
ふふ。
ほら、理事長。
大好きなオモチャが届きましたよ。
でも、下のお口はお預けね。
上のお口に咥えるのよ。
ほら、あーん」
理事長は、頬に腱が走るほど口元をきつく閉めた。
「相変わらず悪い子ね。
わたし、自分の筋書き通りに事が進まないと、いらいらするの。
手荒なことはしたくないんだけど……。
仕方ないわね」
あけみ先生は、バイブの先を理事長の口元に近づけた。
理事長は首を振って逃れる。
「そうか。
縄でがんじがらめにしても、首だけ動くっての忘れてた。
じゃ、こうやって固定しようか」
あけみ先生は、立膝の姿勢を取った。
そのままにじり寄り、理事長の頭を両膝で挟む。
「どう?
動けないでしょ。
ははは」
「止めて!
岩城先生、ほんとに止めて」
「あら、川上先生。
そんなこと言って。
ほんとは、このバイブが欲しいんじゃなくて?
おねだりしたら……。
ちょっとだけ味見させてあげる」
「そしたら、理事長先生は許してもらえますか?」
「それは、川上先生のセリフしだいよ。
心を込めて、迫真のセリフを言ってくださいね。
はい、オーディション、スタート。
ほら、言って」
「そのバイブを、わたしにください」
「カーット。
なにそれ?
ダイコンにもほどがあるわ。
英文和訳じゃ無いのよ」
「じゃ、なんて言えばいいんですか!」
「仕方ないわね。
じゃ、わたしの言うとおり続けるのよ。
『その、ズル剥けの犬のちんぽみたいなピンク色のバイブを、わたしの発情したまんこに、思いっ切り突っこんでください』。
はい、言ったんさい」
「……、そのバイブを」
「ズル剥けが抜けてる」
「ズル剥けの……。
うぅ」
「また、泣いてごまかす。
ほんとは、下のまんこの方が泣いてるくせに。
可哀想だから、ちょっとだけ入れてあげる。
先っちょだけよ」
駆動音が立ちあがり、バイブがうねり始めた。
あけみ先生は、理事長の頭を挟んだ立膝のまま、バイブを燭台のように掲げた。
ピンク色の蝋燭が、天を指してくねってる。
あけみ先生は、手を伸ばしたまま、ゆっくりと燭台を下げた。
バイブが、川上先生の股間を見上げた。
「ほら、さっきの続き。
『まんこに突っこんでください』。
ほら、言って」
「ゆうちゃん、言っちゃダメ」
「あ、惜しい。
今、口開いたのにね。
うっかりしてたわ。
今度、口が開いたら、容赦しないから。
ほら、川上先生。
どうしたんですか?
セリフが途中ですよ。
『ヤラしいお汁を垂れ流すゆうのまんこに、そのぶっといバイブをぶち込んでください』。
もたもたしてると、どんどんセリフが変わっちゃうんだから」
「うぅ。
助けて。
理事長先生、助けて」
「ゆうちゃん!
ゆうちゃん!
岩城先生!
この人でなし!」
理事長は、阿修羅のような形相で、あけみ先生を見上げた。
「うるさい女。
やっぱり、この口を先に塞がなきゃダメね」
あけみ先生は、掲げたバイブを逆手に持ち替え、理事長の口元に近づけた。
理事長の唇が、真一文字に閉じる。
「ほら、口開いて」
理事長は懸命に顔を振って逃れようとするけど……。
あけみ先生の両膝が、理事長の頭をがっちりと押さえつけてた。
バイブの先端が唇を割った。
でも、それ以上は進まない。
象牙の城郭みたいな前歯が、敵の侵入を阻止してるのだろう。
「開かぬなら……。
開かせて見せよう」
歌うように唱えながら、あけみ先生のもう一方の手が、理事長の鼻に伸びた。
鼻梁を摘む。
本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」
《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。