照沼ウァリーザ写真展(晶エリー)


以前に一度小さなアルバムで見せていただいたことがあるが、あらためて大きく引き延ばされて壁面を飾った写真には作者の意図が明確に伝わってくるセルフポートレイトである。
色使いがポップである、
錯乱ともおもえる色の手法をみごとに個性的に消化している、
たぶん背景は自分の部屋であろう、
少女たちが集める小物、
おもちゃでいつぱいだ、
模造ダイヤの冠をつけて大きなヒキガエルを頭にのせたのがある、
この一枚がとくに気に入った、
周りにはいろとりどりなまがいものの小物がちりばめてある、
まるでジャン、ジュネの薔薇の刺青だ、
倒錯の世界にあらず少女の世界に遊ぶ甘ったるい感覚をみせつける、
小虫を顔にはわせたものもある、
アフリカの子供の顔にハエがたかっていれば同情と悲しさを感じるが、ウァリーザの顔の虫は刺青こごとくしてエロチシズムをかもしだすばかり、甘ったるい香りを嗅ぎながら見つめた小部屋の写真展。

投稿者:

杉浦 則夫

杉浦則夫写真事務所代表 杉浦則夫