放課後の向うがわⅡ-21

「一流のエンターテイナーは、思わぬハプニングも、舞台演出に変えてしまうもの。
 で、出番を間違って舞台に上がって来てしまった先生にも……。
 このシーンに参加していただくことにしたってわけ」

 あけみ先生は、ゆっくりと川上先生に歩み寄った。
 上体をかがめ、下から舐め上げるように視線を上げる。
 子供のころ読んだ漫画の、ろくろ首を思い出した。

「ほんとに美味しそうな身体。
 縄のおふんどしが、よく似合いましてよ。
 ほら、このお腹の肉。
 縄に乗りあげて。
 とっても素敵。
 男なら、精子をかけずにいられませんわ。
 川上先生?
 いったい何人の男が、この身体に精子をかけてきましたの?」
「い、岩城先生……。
 下ろしてください」
「まぁ。
 誰かさんと同じことを言うのね。
 気が合って、うらやましいわ。
 でも、つまらない。
 どうしてさしあげようかしら?」
「下ろして!
 下ろしてぇぇ」

 川上先生は、空中で身をよじった。
 でも、両脚が宙を藻掻くだけだった。

 天井の梁が、かすかに軋んだ。

「案外、頭の悪い人ね。
 そんな格好で喚いたって、事態が好転しないことくらい……。
 わかりそうなものだわ。
 美里!
 何、引っこんでんのよ。
 こっち、おいで」

 あけみ先生の声が、突然頬を叩いた。
 こうして、観客席の隅に隠れてたわたしも、舞台に引っ張りあげられることになった。

「川上先生、この子、ご存知でしょ?」
「た、棚橋さん!
 岩城先生、まさかこの子にまで?」
「ほんとに、気が合いますわね。
 誰かさんと。
 まったく同じこと聞くんだから。
 でも、いいですか、先生。
 この生徒には、縄もなんにも掛かってないでしょ。
 つまり、この子は自由なの。
 てことは……。
 自分の意志でここにいるわけ。
 そして……」

 あけみ先生は、わたしの腕を掴むと、自分の脇に引っ張り寄せた。
 剥き出しの骨盤が、先生の太腿にあたった。

「ほら、ご覧くださいな。
 2人の格好。
 同じでしょ。
 下半身だけ、素っ裸。
 つまり、2人はチームなの。
 これが、チームのユニフォーム。
 すなわち、この子は、わたしの助手ってわけ。
 おわかり?」

 あけみ先生は、わたしの腕を掴んだまま、川上先生の正面に回った。

「美里、見てごらん、この身体。
 これが、大人の身体よ。
 体育の着替えとかで、同級生のは見てるだろうけど……。
 ぜんぜん違うでしょ?
 身体の丸みが。
 生殖可能な雌同士でも、成熟度合いによって、こんなに違うものなの。
 男はね……。
 こういう身体が、大好きなのよ。
 こういう裸を見ると……。
 精子を出したくなるの。
 わたしが男だったら、このまま突っこんでるかも」

 あけみ先生の手の甲が、ベールを掲げるように、川上先生の太腿を撫であげた。

「い、いやぁぁぁぁ」

 絹織みたいな声が、窓を目指して伸びた。
 声は、窓を塞ぐ横板の隙間を抜け、空に逃げていく。

「素晴らしいソプラノですこと。
 でも、閨でこんな声出したら、近所迷惑ですわよ。
 少し、調律が必要みたいね。
 ここかしら?」

 あけみ先生の指が、川上先生の乳房に伸びた。
 器用に束ねられた指先が、乳首を摘む。
 指先が、葡萄を潰すように撓った。

「痛いっ。
 痛いぃぃぃ」
「生きてる証拠ですわ」

 あけみ先生の手首が裏返った。
 乳首は摘んだままだった。
 乳輪がよじられ、渦巻状に皺が走った。

「ひぎぃ」

 川上先生が、全身で跳ねた。
 背中の柱が、ギシギシと音を立てた。

「ちょっと、重量超過かしら。
 でも、ほら。
 思ったとおり」

 あけみ先生は、乳首から指を離した。
 離れた指先が伸び、乳首を指し示してる。

「起っちゃった。
 川上先生。
 はしたない声あげながら……。
 こんなに乳首、おっ起てて。
 やっぱり、お好きなんでしょ?
 乱暴に扱われるのが」
「ち、違います!」
「違わないわよ!」

 乳首を指してた指が翻ると、手の平となって戻った。
 大きな肉音が立った。
 手の平が、したたかに乳房を打ったのだ。
 縄に戒められた乳房が、肉のボールのように弾んだ。
 乳房には、みるみる赤い指跡が浮き上がった。

「助けてぇ。
 誰か、助けてぇぇぇぇ」

 川上先生の声が、狂ったリボンのように宙を駆けまわる。

「あらあら。
 先生が、はしたない声あげるから……。
 お目覚めのようだわ」

 畳に突っ伏してた理事長が、顔を持ち上げてた。


 まだ半分夢の中みたいで、視線が壁際を這ってる。
 川上先生には、まったく気づいてない。

「川上先生。
 心強いでしょ。
 ここには、お仲間がいたのよ」

 床の理事長を隠す形で立ってたあけみ先生が、ゆっくりと身を移した。
 川上先生から理事長まで、視界が開けた。
 川上先生の目蓋が、大きく開いた。

「さすがだわ。
 背中を見ただけで、誰だかわかったみたいね。
 ま、こんな素晴らしい裸の持ち主は、そうそういないけど。
 でも、それって……。
 その裸が誰のものか、知ってるってことよね」

 川上先生は唇を震わせながら、身をうねらせた。
 開脚したまま吊られたマリオネットみたいだった。

「理事長。
 お尻向けてないで、こちらをご覧になって」

 あけみ先生は、理事長の傍らに歩み寄ると、床に蟠る縄を拾いあげた。
 理事長の背中から伸びる縄だった。
 あけみ先生が、指揮者みたいなモーションで縄を振り上げた。
 縄は、生を得たように一直線に伸びた。

「でも、ほんと可愛いお尻ね。
 こんなお尻抱えながら腰振れる男は、幸せものだわ。
 でも……。
 ほんとにそんな男、1人でもいたのかしら?
 だって、レズビアンなんですものね。
 理事長先生」

 背中の縄を引っ張られた理事長は、全身を揉むように蠢いた。
 起ちあがろうとしてかなわず、再び畳に突っ伏す。

「あらあら。
 スゴい格好。
 理事長。
 お尻の穴まで見えてますよ。
 美里、そこの縄束持ってきて。
 本格的に目を覚ましそうだから」

 あけみ先生の指先は、カメラの載った机の下を指してた。
 そこには、飴色の縄の束が、いく巻もうずくまってた。
 4本の机の脚に囲まれた縄は、まるで檻の中の蛇のように見えた。

「早く!」

 わたしは、恐る恐る檻に手を差しこみ、縄束を拾いあげた。

「1本は、その机の脚に結んで。
 お団子結びでいいから。
 そうそう。
 そしたら、そのまま引っ張って、こっち来て。
 あと、もう1本は束のまま持って来て」

 あけみ先生は、わたしから縄の一端を受け取ると……。
 突っ伏した理事長の左足首を括り上げた。
 もう1本の縄で右足首を縛り、そのままウィンチの載る作業台まで後退る。
 理事長の頭が、持ち上がった。

「お目覚めですか、理事長。
 でも、寝相が悪いですわね。
 朝は、きちんと仰向けでむかえましょう」

 あけみ先生は、持ってた縄を、大きく引っ張った。
 縄は一瞬にして張り詰めると、理事長の右足が持ちあがる。

「ほら、美里。
 掛け声。
 何て言うんだっけ?
 綱引きのとき。
 あ、そうそう。
 これだ。
 オーエス、オーエス」

 あけみ先生は、両手を交互に移し変えて、縄を手繰り寄せた。
 先生は、うつ伏せた理事長の左側に立ち、理事長の右足を引っ張ってる。
 理事長の左足は逆に、右手にある机に縛られてる。
 起こる事態はひとつ。
 理事長の身体は畳の上で裏返り、仰向けになった。
 でも、あけみ先生は、綱引きを止めようとしなかった。
 理事長の両脚が開いてく。

「オーエス、オーエス」
「い、ぃぃぃ」
「どうしました、理事長?」
「い、痛いぃ」
「そんなはずありませんでしょ。
 その柔らかい身体なら、180度開脚も出来るはずよ。
 ほら、もっと頑張って」

 あけみ先生は、床にお尻を落とした。
 両脚で床を蹴りながら後退る。
 踵が床で空転するようになると、ボートを漕ぐように上体を反らせた。

「あぎぃ。
 痛い痛い痛い」

 理事長の悲鳴を聞いても、あけみ先生は縄を緩めようとしなかった。
 改めてあけみ先生を見ると、すごい格好だった。
 床にお尻を落とし、両脚は床に踏ん張って、目一杯開脚してる。
 下半身を覆うものは、何ひとつ無い。
 陰毛さえも。
 つまり、股間は丸見え。
 陰唇が、おちょぼ口みたいに開いてた。
 先生は、その格好のままお尻を送り、ウィンチの載る机脇まで移動した。
 引き絞ってた縄を、机の脚に巻きつける。
 縄は、蛇のように机の脚を括りあげた。
 縄目を結ぶと、先生はゆっくりと起ちあがる。

「最後、ちょっと緩んじゃったけど……。
 ま、こんなものね。
 ほら、美里。
 こっち来てごらん。
 すごい格好だから」

 先生の招く手に吸い寄せられるように、わたしは立ち位置を移した。
 先生の傍らに立つと、理事長の大きく開いた股間が、イヤでも目に入った。

 いいえ。
 イヤでもってのは、ウソよね。
 見たかったから、自分で動いたの。
 仰ぎ見る存在でしかなかった理事長が……。
 無残に股間まで晒してる。
 その恥ずかしい姿を……。
 理事長の生殖器を、見たくてしょうがないわたしがいた。

「でもほんと、素晴らしい体型よね。
 筋肉質の身体って、無理な姿勢を取らせるほど、美しさが際立つみたい。
 ほら、この太腿の張り」

 理事長の太腿には、大きな筋肉のはざまに、渓谷みたいな翳が走ってた。

「そうそう。
 この姿、川上先生にも見てもらいましょう」

 あけみ先生は数歩後ずさり、川上先生の視線を迎えた。
 わたしも、反対側に身を退けた。
 川上先生から理事長まで、モーゼの海のように視界が開けた。

「ほら。
 よく見なさいよ。
 何でさっきから黙ったままなの?
 顔、こっちに向けなさいって。
 どうしたの?
 恥ずかしいの?
 そんな格好、見られるのが」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週金曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


杉浦則夫 写真個展 10/28期間延長

個展へ足を運んで下さった方々、誠にありがとうございます。

個展期間が10月28日まで延長になりましたので、状況報告をあわせてお知らせいたします。(ギャラリー地図等の情報はページ最下部に記載)

会場展示品は個展開始時よりも作品数が少し増えてきております、
追加展示作品も同様に販売しておりますので、
ご希望の方はギャラリーの係の方にお声掛け下さい。

現在までに感想等を送ってきて下さった方々がおりますので、
転載させていただきました。

A様
お恥ずかしい話ですが、昨日も少しお話させていただいた通り、思春期に性的に覚醒するきっかけとなったのが、おそらく先生の緊縛写真でした。以来、昨日までの二十余年に渡り、緊縛写真というのは、自分にとっては性的な刺激の対象そのものでしたが、昨日拝見させていただいた作品は、不思議なもので、一度見たことがある作品であっても、そういった性的な刺激の対象とは全く一線を画した芸術作品(という表現が正しいのかよく分かりませんが)に思えました。長い間緊縛写真を眺めてきて、こんな気持ちや感想を抱いたのは初めてのこと、改めて先生の作品の素晴らしさをうかがい知り、不躾ながら感想などメールさせていただいた次第です。
何より、掲げられた一つ一つの作品には本当に心を奪われるような気がしました。時間の許される限りもっともっと長く目に焼き付けておきたいと思っております。

B様
初めて個展にお邪魔させて頂いたとき
モニター上で見る以上の女性の美しさ、縄目の美しさに
ただ感動を覚えました。
写真から伝わる吐息、肌の質感、体温。
美しさと迫力に圧倒されました。
数日するうちに、写真の影の部分に惹かれるようになりました。
私の性別が女だからかもしれませんが、
その影の部分から漆のようにねっとりとした何か、
影の中から、じわじわと溢れモデルさんの身体を覆って行くような感覚にとらわれました。
女としての喜び、苦しみ・・・
自分自身気がついたとしても隠し切れない、抗いきれない業
そして、ここにあるものは鏡なのではないかと、
写真に向かった時、そこにあるのは縄に憑かれた自分自身の姿ではないかと、
そんな事を感じました。
世界に女性を美しく撮ることのできる写真家の方は多いと思います。
ですが、女の奥底に眠る暗い情欲、情熱、喜び、悲しみを
切り取り表現できる方は数少ないと思っております。
今回の展示会、本当に素晴らしいの一言です。
今後も先生のご活躍を主ともども楽しみにさせて頂きます。
追伸
モノクロのフィルム写真、本当に素晴らしいです。
今回直接自分の目で見ることができ、幸せです。

C様
杉浦則夫様の写真をみて自分が同じようにされたらどうなんだろう? といつも思っていました。
アラフォーと若くないのでモデル希望はあきらめていますが、現在開催中の個展にはお邪魔して、
脳内疑似体験しようと思っています。

D様
展示作品のほうですが、どれも(当たり前ですが)ああいった形での見せ方は新鮮で、
「先生の作品はやはり芸術品なんだな」と思う一方で、そのエロスが額に収まりきらない点では、
A5サイズの写真集も同じだな。そのように思った次第です。

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この他にも、様々なご意見ご感想を頂いております。
本当にありがとうございました。
会期も伸びましたので、展示作品も販売続行です。

ご感想等ありましたら是非ご連絡下さいませ。

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以下個展詳細情報となります。

ギャラリー新宿座
※入場は無料 ※18歳未満は入場禁止 ※杉浦則夫作品販売 ※展示品販売

住所:東京都新宿区新宿4-4-15 地図(Google Map)
JR新宿駅「東南口」「南口」より徒歩5分。
新宿4丁目交差点(フォーエバー21のある交差点)を四谷方面に眺めた右側(吉野家があるブロック)、赤い鳥居のある角を右に曲がり、まっすぐ進んだ左「中田家」という旅館手前奥にあります。

杉浦則夫コメント
私は個展をやらない、なぜならばやるべきではないから、とつぱっていたがつっぱり棒がはずれて、新宿南口の寂しげな所にある小さな画廊で10月9日〜10月22日(28日までに延期)の期間で開催することになりました、運がいい人は遊びにきたモデルさん達とも合えます、見にきてください。私は夕方にいるようにします。

パンフレット掲載文
1970年代から約40年にわたり撮影してきた膨大な数の“緊縛写真”から、「感じいるもの」を自ら選び抜き展示する“緊縛写真家・杉浦則夫”初の写真展。

放課後の向うがわⅡ-20

「パンパンパンパンパンパンパンパンパン。

 痩せた腰を抱えて、連打の嵐です。
 背肉が、さざ波みたいに震えてる。
 手を前に回し……。
 下を向いて、わずかに膨らみを見せている乳房を握る。
 乳首は、棗みたいに尖ってます。
 捻り潰す。

『わひぃぃ。
 痛いぃ』
『嫌いじゃないでしょ』
『好き!
 好き!
 痛いのも、先生も、大好きぃぃぃぃ。
 結婚してぇぇぇぇぇ』
『それは、無理ですぅぅぅぅぅ。
 出る!
 出る!』
『出して!
 いっぱい出して!
 わたしのオマンコの中に、精液出してぇぇぇぇ』
『あぁ。あっ! あっ!』
『来てる! 熱いのが、来てるぅぅぅぅぅ』

 ふう。
 何の話、してるんでしたっけ」
「呆れた先生ですわ。
 人の授業に、いきなり裸で乱入して……。
 生徒の前で、同僚との情事の描写を延々となさりながら……。
 剥き出しのちんぽ、勃起させるなんて」
「すみません。
 今日はまだ、抜かれてないもんで。
 それじゃ、みんな。
 これから、日本史の授業を始める。
 この先生のちんちん、これが、『成り成りて成り余れる処』だ。
 これを……。
 この川上先生のお尻の間に覗く、『成り成りて成り合はざる処』に突っこむ。
 日本という国は、この“国産み”の儀式によって出来たのです。
 川上先生、もう少しお尻を上げてください。
 そうです、そう。
 素晴らしい!

 国語の先生とは、大違いです。
 どうです、この丸み。
 美しい!
 男なら、精子をかけずにはおられません。
 それでは、イカせていただきます……。
 って、なんじゃこりゃー」
「どうしました?」
「まんこに縄が食いこんでて、突っこめないじゃありませんか」
「先生のおちんちんなら、隙間から入りません?」
「失敬な。
 針金じゃないんですから。
 くそ。
 どうやって解くんだ、これ?
 結び目がお団子になってる。
 あぁ、焦る」
「不器用すぎますわ」
「激しく焦ってるからです。
 もう、出そうなんです」
「早すぎじゃありません?」
「男は、新鮮な刺激に弱いんです。
 妻や国語の先生なら、慣れきってますから……。
 余裕でズコズコできます。
 でも、憧れの川上先生のお尻を前にしたら……。
 もう、発射秒読みです」

「じゃ今日は、そのまま射精していただこうかしら。
 生徒にも、男性が射精するところを、よく観察してほしいから」
「そんな!
 鮭じゃないんですから、かけるだけじゃ満足できません。
 中に出したいです」
「勝手に入ってきて、贅沢な方ですわ。
 それじゃ……。
 もうひとつ、新鮮な刺激を与えてさしあげますわ」
「ど、どうする気です、岩城先生?
 あ、スカートたくし上げたりして。
 げ、ストッキングが、太腿で切れてる。
 それ、好きなんです!
 パンティは……。
 は、穿いてない!
 しかも、股に縄!
 さらに、パイパン!
 過激すぎです。
 厳しすぎます。
 あっ、あっ。
 ダメ、ボクちゃん、もうダメ。
 出る!
 出る!
 わきゃっ。
 わきゃきゃっ」
「ほら、みなさん。
 よく見て。
 これが、男性の射精ですよ。
 思いのほか、飛ぶでもんでしょ。
 どうしたの、あなた?
 顔にかかった?
 まぁ、生徒にまで顔射するなんて、悪い先生。
 大丈夫よ。
 顔にかかったくらいじゃ、妊娠しないから。
 嗅いでごらんなさい。
 植物の匂いがするから。
 森の中で嗅ぐみたいな匂いよ」
「わきゃっ。
 ぅわきゃ」
「まだ出るんですか。
 腎虚になりますよ。
 あら、もう目の玉裏返して。
 立ったまま気絶してるだけでなく……。
 気絶したまま射精を続けるなんて、異常体質としか思えませんわ」
「あ、あかか」
「あら、残念。
 ひっくり返っちゃいましたね。
 でも、仰向けになっても、ちんぽを離さないなんて……。
 木口小平みたいですわ。
 みなさん、集まって。
 川上先生の周り。
 あ、日本史の先生、踏まないようにね。
 ほら、スゴいでしょ、この精液。
 たくさん出したものね。
 川上先生のお尻一面、精子まみれ。
 工作用の糊を撒き散らしたみたい」

「嗅いでご覧なさい。
 もっと近くで。
 結婚したら、毎晩嗅ぐことになるのよ。
 ほら、山下さん。
 あなた、クラス委員でしょ。
 こっち来て、しゃがんで。
 男性の精子、見るのは初めて?
 そう。
 びっくりした?
 でも、匂いを嗅いだら、もっとびっくりするわよ。
 男性の体内から出たとは、とても思えない匂い。
 植物の香りがするの。
 初めて精子を嗅いだとき、この人は森の精かもって思った子もいるくらい。

 ほら。
 もっと顔、近づけて。
 焦れったい子ね。
 手伝ってあげるわ。
 えい。
 ほほ。
 顔ごと、突っこんじゃったわね。
 精子の海に。
 どう?
 スゴい匂いでしょ。
 あら、逃げないのね。
 まぁ。
 ほっぺた、擦りつけてる。
 鼻の穴まで精子詰めて。
 大人しそうな顔して、とんだ変態っ子だわ。
 下の方、どうなってるのかしら。
 ほら、膝ついて、お尻上げてごらん。
 見てあげるから。
 スカートを捲って……。
 まぁ、ミッキーとミニー。
 まだこんなパンツ穿いてるの。
 でも、中身はもう立派な大人ね。
 お股のとこが、透けてるわ。
 それじゃ、みなさん。
 わたしの手元に注目。
 クラス委員のおまんこ、ご開帳しますよ。
 ほぅら、出た。
 うわっ。
 スゴい。
 糸引いたわ。
 見たでしょ?
 ほら、もうドロドロ。
 これはもう、授業開始から濡らしてたわね。
 開いてみましょうか。
 山下さん、触るわよ。
 まぁ、お尻突きつけてきた。
 肛門までピクピクさせて。
 それじゃ、開きますね。
 熱っつい。
 火傷しそう。
 溶け崩れたお菓子みたい。
 指が滑っちゃうわ。
 ちょっと、動かないで。
 あら、気分出ちゃった?
 お尻、うねらせちゃって」

「このとおり、女子高生の身体ってのは……。
 いつでも生殖可能な、もう立派な雌ってわけよね。
 江戸時代なら、子供産んでて当たり前の歳だし。
 性に対する、きちっとした教育が、なされなすぎだわ。
 山下さん、ここ気持ちいい?
 まぁ、ガックガックうなずいちゃって。
 どうしたの?
 初めてってわけじゃないでしょ?
 オナニー、してないの?
 え?
 母親に禁じられてる?
 子供の頃から、布団の上に両腕を出しておくように命じられて……。
 毎晩、チェックに来るの?
 それは、ちょっとヒドいわね。
 自分は旦那とヒーヒーやってるくせに……。
 娘にはオナニーさえ禁じてるっての?
 さっき言ったように、生殖できる身体を持ってるってことでは……。
 母親も娘も、まったく対等なのよ。
 許しがたいわ。
 ほら、いいでしょ?
 こんなに気持ちいいのよ、女性の身体って。
 まぁ、ヨダレまで垂らして……。
 可哀想に。
 家で出来ないんなら……。
 学校ですればいいのよ。
 おトイレなんかで、隠れてすることないわ。
 大っぴらにやればいいのよ。
 そうだ。
 今度、1時間目が始まる前に、オナニータイムを作ろうか。
 クラス全員でするの。
 バスタオルを畳んで、椅子の上に置いて……。
 スカートを広げ、お尻をタオルに載せる。
 もちろん、パンティは脱いであるわ。
 で、思う存分捏ね回すの。
 噴きあがる嬌声は、セミの合唱みたいでしょうね。
 教師は、席の間を巡りながら……。
 間違ったやり方をしてる子がいないか、チェックするの。
 シャーペン突っこんでたりしたら、危ないものね。
 もちろん、監督する教師だって我慢出来なくなる。
 歩きオナね。
 面倒だから、スカートなんか脱いじゃってるわ。
 生徒たちの手元を凝視しながら……。
 自分のまんこを、存分に掻き回す。
 きっと、教師の方が先にイッちゃうわね。
 泡噴きながら、その場にひっくり返る。
 気持ちいいでしょうね……。
 頭が真っ白になるわ。

 え?
 あらやだ、また自分の世界に入っちゃってたみたいね。
 どうしたの、美里ちゃん?
 川上先生が、目を覚ましそう?
 あら、ほんとだ。
 それじゃ、第二幕の開演ね。

「川上先生?
 お目覚めですか?」

 川上先生は、柱を背にしてた。
 でも、立ってるわけじゃない。
 宙吊り。
 両脚は、小さい女の子がおしっこさせてもらう形に開いてる。
 でも、膝裏を掬いあげてるのは、母親の手じゃない。
 飴色の縄。
 両膝を括った縄が、天井に伸びてた。
 もちろん、股間は大きく開いてる。

 でも、性器は見えなかった。
 股間を、縄が戒めてた。
 お臍の下に回る横縄から、束ねられた縦縄が幾本も降りてる。
 性器も肛門も、縄のふんどしが隠してる。
 でも、陰毛までは隠し切れない。
 柔らかそうな陰毛が、縄目から萌え出て見えた。

「先生?
 川上先生?」

 あけみ先生の問いかけに、川上先生の目蓋が、うっすらと開いた。


「おはようございます、先生。
 どうですか、ご気分は?」
「……、岩城先生?
 ここは……?」

 川上先生は、まったく事態を理解できないみたいだった。
 視線は定まらず、宙を泳いでる。
 身じろぎしようとして、ようやく……。
 自らに施された戒めに気づいたようだ。
 縄を打たれた身体を、のろのろと見回してる。

「これは……。
 どういうわけですか?」
「見てのとおりですわ。
 囚われの身ということになりますね」
「まさか……。
 まさか、岩城先生が?」
「本意ではありませんでしたのよ。
 この部屋で作業してたら……。
 先生が入って来ちゃったんですもの。
 床に転がるお荷物を見つけられそうだったから……。
 眠っていただきましたの。
 思い出したみたいですわね」
「岩城先生でしたの!」
「そう。
 後ろから羽交い絞めにして、ハンカチで口を覆ったのは、このわたし」
「どうして!」
「ですから、こんな予定、最初からありませんでしたの。
 完全なハプニング。
 2人いっぺんになんて、考えてもいなかった。
 そこまで大胆じゃないもの、わたし。
 ひとりずつって思ってた。
 今日はまず、理事長先生。
 川上先生は、またの日のお楽しみ。
 そのはずだったの。
 でも、床に倒れて眠ってしまった先生を見たら……。
 これも天のお導きだって思った。
 もう1人のターゲットが、向こうから転がりこんで来たんですもの」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週金曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。