アンダーカバー・SUMIRE 3

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■第3章 地獄の入口

「気づいてるんでしょ?気を失ったふりなんかしても無駄よ。」
謎の女は私の顔を覗き込みながら言った。
私は無言で女の顔を見つめ続けた。
「あなたうちの会社を調べていたそうね。それで、何を掴んだのかしら?」
うちの会社?ということはこの女もマサダの人間か。
「ふ~ん、だんまりってわけね。でも沈黙ほど雄弁なものはないわ。それこそ、あなたがスパイだって何よりの証拠よ。」
私は直感的にこの女にはヘタな嘘は通じないと察し、ならばと無言を通すことにした。
「弁解も否定もしないのね。それじゃ一方的に質問させていただくわよ。」
首に回した女の手に力が込められるのを私は感じた。
「まずはあなたの正体を教えて頂戴。そしてあなたがここで掴んだ情報の中身もね。」
女の言葉はあくまで冷静で温和であったが、その底には言い知れぬ凄みを秘めている。
私は何か言葉を発したら、そこから全てがもろくも崩れ去る恐怖にますます口を硬く閉ざした。
「何も教えてくれないのね。いいわ、それならこちらにも考えがあるわ。」
そう言って彼女が懐から取り出したものは、チェーンのついた金属性の大型のクリップだった。
な、なにをする気?! 私はそのクリップを凝視し、それが私の体のどの部分に対して用いられるかをすごい勢いで思い巡らせた。
女の手がいきなり私の鼻を摘みあげる。反射的に出した舌の先に素早くクリップが装着された。
ガシッ! アギャァッ!!
尋常でない痛みが舌先を襲い、私は思わず妙な悲鳴をあげてしまった。
「ふふふ、驚いてるみたいね。痛いはずよ。そのクリップの先には上下に鋭い鋲がついているの。今あなたの舌には2本の鋲がしっかり突き刺さっているのよ。」
アウアウアウアウ・・・・
言葉にならない呻き声を発しながらも、私は必死に痛みを堪え、涙がこぼれるのを寸前で食い止めていた。
「なにも喋らないなら、舌は必要ないわよね。」
女はニタリと口元だけで笑うと、クリップに繋がったチェーンを引っ張り始めた。

アアアァァアァアアァァ・・・!!!
そんな私の痛みに歪む顔を楽しむかのように、女はますますグイグイとチェーンを引っ張る。
上下から食い込む鋲がジリジリと移動し、私の舌は5cm近くも長く引き伸ばされていた。
ラレレーーー!オレライーーー!!
「あら、言葉が喋れるんじゃない。ホホホホホ。もう一度言ってごらん。ヤメテ、お願いって。」
イライ、イライ、ロー、ラレレーーー!
意に反しついに堪えきれず涙が目尻から溢れ出てきたのを見て、女は引く手を止めた。
「この辺でやめにしてあげるわ。これ以上引っ張ったら、あなたの舌、ヘビの舌のように二つに裂けて、私の質問にも答えられなくなっちゃうからね。」
女がクリップをはずすと同時に、私は慌てて舌を口の中に仕舞い込んだ。もう二度とクリップの餌食にされないために。
閉じた口の中が鉄錆にも似た甘酸っぱい血の味でいっぱいになる。

舌への残酷な特殊クリップ責めで息も絶え絶えに横たわる私を見下ろすように黒いキャミソールの女が立っていた。
「さあ、もう痛い思いはしたくないでしょ。素直に質問に答えれば、すぐにでも傷ついた舌の手当てをしてあげるわ。」
「無駄よ。いくら脅したって責めたって。私は何も喋らないわ。」
私は初めて彼女に対して言葉を発した。
それは徹底抗戦の意思を示すとともに、私自身の恐怖心を払拭するための台詞だった。
「なるほどね。よほど訓練を受けているところを見ると、敵国Yの諜報員、それともライバルM社の産業スパイ、あるいは公安の潜入捜査官ってとこかしら?まあいいわ。その訓練の成果を徹底的に試してあげるわ。」
そう言うなり女の黒いハイヒールがドカッと思いっきり私の顔を踏みつけた。
ウグッ!

「ふふふ、可愛い顔して強情を張るところが私の好みだわ。ほらほら、もっと喘ぐがいい。」
女は徐々に体重を片足に乗せて私の顔面をグリグリと靴の裏で押さえつける。
ギシギシ音を立てているのが、下の木製のパレットなのか私の頭蓋なのかもわからないくらい、強烈な圧力が加えられた。
痛い!痛い!痛い!このまま顔が歪んでしまうのではないかという恐怖と激痛に苛まれながら、これが拷問というものなのかと私はあらためて救いのない状況にますます不安を募らせていった。
「これならどう?ほほほ、苦しいでしょ!」
女の手が私の首を掴み、そこに渾身の力が込められた。
う、うぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・く、苦しい・・・・・・
徐々に頭の中が真っ白になり、やがて私の意識は遠くの方に吹っ飛んでしまった。

文章 蝉丸
写真 杉浦則夫
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放課後のむこうがわ 10

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放課後のむこうがわ 10

「ダメー。
 まだイカせてあげない。
 そうだ。
 この写真、アシスタントさんにも見てもらわなきゃ」

 ともみさんが、写真を翳しながら近づいてきた。

「ちょっと、アシスタントさん。
 ずっとそのままの恰好なの?
 縛られても無いのに。
 こちらも、とんだド変態ちゃんだね。
 ほら。
 どう?
 あけみの晴れ姿。
 綺麗でしょ」

 ほんとに綺麗だった。
 でも、綺麗なだけに……。
 脚の付け根は対照的だった。
 ヒダヒダが捲れて、ピンク色の中身まで見えてた。

「うわ、凄い。
 今、溢れたよ。
 ゴボッて。
 お尻まで垂れてる。
 悪い子ですねー。
 そうだ!
 お仕置き、忘れてた!」

 ともみさんは身を翻した。
 わざとだろうけど、思い切り身体を回したから……。
 スカートが舞い上がった。
 引き締まったお尻が、尾てい骨まで見えた。

 ともみさんは、あけみちゃんの脚元まで戻るとしゃがみこみ……。
 すぐにわたしの元に取って返した。

「これこれ。
 そもそも、これを出そうとしてたんだよ」

 手に持ってたのは、タンポンだった。
 ともみさんは、剥がしたセロファンをスカートのポケットに入れた。
 床に捨てなかったのを見て、躾のいい学校なんだなんて、ピント外れなこと思ってた。

 ともみさんは、タンポンのヒモを持ってぶら下げた。
 タンポンは、指先を支点にして、くるくると回り出した。
 人工衛星のおもちゃみたい。

「どこに入れてあげようかな?」

 わたしは目で訴えた。

「そんな目をしてもダメー。
 ちゃーんと声に出さないと、わかりません。
 ひょっとして、鼻の穴?」

 懸命にかぶりを振った。

「それじゃ、どこかなー?」

 そう言いながら、ともみさんは、わたしの脚元にしゃがみこんだ。
 スカートの裾が、緞帳のように床を掃いていた。
 その幕前には、真っ白く尖ったお尻。
 そして……。
 無毛の股間が開いてた。
 まさしくそこは、開いてたの。
 ヒダヒダが捲れて、おしっこの穴まで見えた。
 もちろん、洞穴みたいな膣口も。
 ともみさんは、そこをヒクヒクと動かしてみせた。

「こんな格好してると、うんこ出そうだわ。
 そうそう。
 アシスタントさんは、この校舎のトイレ、使ったことある?
 無いの?
 一度使ってごらん。
 トイレ……。
 っていうか、あれは“お便所”だね。
 臭いの。
 長年、この校舎を使ってきた女子高生たちの……。
 おしっことおりものの臭いが、染みついてるんだろうね。
 いくらお掃除しても、消えないんだよ。
 もう、あの臭いに包まれただけで、気が変になる。
 臭いトイレって、どうしてあんなに興奮するんだろ。
 オナニーしないでいられないのよ。
 あぁ。
 想像したら、ますますヘンな気分になってきた」

 ともみさんは、腰をうねらせた。
 洞穴のような膣口から、水飴みたいな雫が伸びて……。
 床まで届いた。

「いかんいかん。
 まーた、お仕置き忘れてた。
 さて、このタンちゃん……。
 どこに入れてほしいのかな?
 ひょっとして……。
 耳の穴?
 ……には、入らないよね」

 ともみさんがぶら下げて回すタンポンが、だんだん下腹部に移ってきた。
 やがてそれは、陰毛の上でくるくる回り始めた。
 まるで、着陸場所を探してるように。
 わたしは、股間を突きあげて訴えた。

「入れてほしい?」

 懸命にうなずいた。

「そう。
 入れてほしいの。
 でも、ダメー。
 だってそれじゃ、お仕置きにならないじゃない。
 ふふ。
 実は……。
 入れてあげないのが、お仕置き。
 どう?
 焦らされて切ないでしょ?」
「してぇぇぇぇぇぇぇ」

 突然、声が聞こえた。
 わたしの声じゃないのよ。
 でも、自分の口が勝手に叫んだように思えた。
 わたしの気持ちそのままだったから。
 叫んだのは、もちろんあけみちゃん。

 ともみさんは、わたしの顔を覗きこみ、口角を大きく上げて微笑んだ。

「どうやら、あっちの子が限界みたい。
 あんな声出されたら、外に聞こえちゃうわ。
 ちょっと黙らせてくるから……。
 このままじっとしてるのよ。
 いい?
 自分で弄っちゃダメよ」

 ヒモを吊るした指が開いた。
 タンポンは、陰毛の上に軟着陸した。

「わたしが戻るまで、触らないこと。
 ちゃんと両脚、抱えててね」

 わたしの答えも聞かず、ともみさんは踵を返した。
 あけみちゃんが、股間を突きあげて迎えてた。

「悪い子ね。
 大きな声出して。
 誰か来たら、どうするつもり?
 こんな格好で見つかっちゃうのよ」
「いいの!
 それでもいいの」
「男の先生が来ちゃうかも」
「……」
「来てほしい?」
「はい」
「ひとりじゃないかも。
 腐臭に群がるハイエナみたいに……。
 学校中の男の先生が、集まってくるわ。
 で、あけみは……。
 階段に磔になったまま、次々と犯されるの」
「ふぅぅん」
「おまんこから溢れるほど、いっぱい精液出されて……。
 順番を待てない先生は、口にも突っこむ。
 顔にぶっかける先生もいるわ。
 瞬く間にあけみは、精液まみれ。
 花盛りの栗の木の臭いに、全身が包まれる。
 でも、最後は……。
 絞め殺されるの。
 淫行の口封じのためにね。
 精液まみれのまま、あけみは死んでいくのよ。
 うんこを、ぼたぼた漏らしながら。
 どう?
 犯されたい?」
「犯して……。
 犯してぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「またそんな声出して。
 ほんとに悪い子。
 じゃ、犯してあげるわ」

 ともみさんは、自らのウェストに手を回した。
 次の瞬間、スカートが真下に落ちた。
 形のいいお尻が剥き出された。
 窓から射しこむ光が、尻たぶの窪みに翳を作ってた。

第十一話へ続く

文章 Mikiko
写真 杉浦則夫
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アンダーカバー・SUMIRE 2

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■第2章 恐ろしき妄想


最悪の気分だった。
先ほどの催眠ガスのせいで頭の芯はズキズキ痛むし、全身が極度の倦怠感で包み込まれている。
意識が鮮明になるにつれ、今自分が置かれている状況がわかってきた。
幸い着衣の薄手のワンピースは無事だったが、両手は後ろにロープでしっかり縛られている。
あたりを見渡すと、私邸とは別の納屋のような薄暗い部屋。
その床に置かれた一枚の木製パレットの上に、私は寝かされた状態で拘束されていたのだ。
この時感じたほのかに酸っぱい自分の汗の臭いだけが妙に今でも鮮明な記憶として蘇える。

この先、私はどうされるのだろう。
マサダの連中は秘密裏の活動が外部に露見したとあらば、当然本国からこの大失態の処罰の対象とされることを恐れるているはずだ。
しかしたとえ部分的なものであれ、この2週間に私が持ち出したは情報は今さら防ぎようがない。
ならばいったいどこに情報が渡ったのか、その流出先、内容、重要度を知りたがるだろう。
もちろんそれを尋問されても私は答えるわけにはいかない。
とすると、連中は私から無理矢理にでも情報を得ようと躍起になるに違いない。
「拷問」。そんな恐ろしい言葉が私の脳裏をかすめた。

未だ不快な頭痛に苛まれる私の思考は、考えれば考えるほど最悪の状況へと発展していく。
これまで数多くの危険な任務にあたって来たが、一度たりともこんな敵の手中に落ちることなどなかった。
当然仕事柄、敵の捕虜となって過酷な拷問を受ける可能性は多分にあるし、事実拷問で廃人同様となった先輩、同僚も幾度か目にしたことがあったが、まさか自分がそのようなシチュエーションに遭遇するなど思ったこともなかった。
それが今、現実のものとなろうとしている。
果たして拷問に耐えられるのだろうか。
でも、私は公安捜査官。国にとって不利益になることは、いっさい洩らすわけには行かない。
何より国家に危害を加える輩は絶対許せない!
でも・・・・でも、拷問はイヤ!やっぱり無理よ!無理だわ!耐えられるわけなんかない!
助けて・・・誰か、助けて、お願い・・・・・
ズキズキ軋む私の脳の中で、二人の自分が戦っていた。正義と信念を貫こうとする自分と、恐怖に慄く自分が。

ガチャリ!ギィィィィ・・・・
その時、納屋の扉の鍵をはずし、何者かが扉を開けて室内に入ってきた。
私は恐ろしさのあまり入口の方角を見ることもできず、気絶したままのふりをして成り行きを見守ることにした。
それが救出であることを祈りながら。

足音から侵入者は一人のようだ。
その人物は静かに私の傍らにしゃがみこみ、首に片手を回し立てた片膝の上に私の上半身を抱き起こした。
気づかれぬよう薄目を開けると、黒いキャミソール、黒い帽子、黒いハイヒールと黒基調で整えた見たことのない女が私の視野に入ってきた。
いったい誰?敵なの?それとも味方?

文章 蝉丸
写真 杉浦則夫
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若菜亜衣 撮影企画から後記

若菜亜衣「杉浦則夫緊縛桟敷」にて掲載開始。

現在緊縛新聞コラム筆者の若菜亜衣さん撮影同行記が掲載されておりますが、この同行記の前に撮影に同行していただくにあたり、企画コメントをいただいておりました。
大変緻密に書かれましたコンテを興味深く読みましたが企画が深く組まれていますだけにその一部分でも週略すれば企画全体を壊しかねなく、私は女学生の妄想としました。
そして、一冊の緊縛写真集を偶然みた衝撃が少女の性にかかわる顛末を表現してみました。登場の男は架空であり格シーンには実在しないとします。

撮影後記は後回しにして、まずは上記草案をそのまま掲載致します。

高円寺A子「帰納」(原案:やみげん)

■ 主題
・ ファーザー・コンプレックス
・ 置き換え
・ 擬似近親相姦

■ 登場人物
・ 高円寺A子:公立高校2年。10年前、小2の時に他界した芸術写真家の一人娘。母子家庭。
・ 担任教師(教科は生物):A子のクラス担任。写真部顧問。以前、A子に対するイジメを解決した事がある。

■あらすじ
【自室】「追憶」
10年前に他界した芸術写真家の忘れ形見A子。彼女は、今でも父親を慕っていた。若く、やさしかった父親、その幻影に恋していると言い換えても良い。
ある日学校で、何者かが彼女の鞄の中にSM写真集を忍ばせる。帰宅し、本を発見するA子。名前は違っていたが、それが父の写真であることは、すぐに分かった。
彼女は、ショックを受けながらも、これまで知らなかった父の一面を見たい一心で、恐る恐るページを捲るのだった。次第に、その淫靡な世界に引き込まれていくA子。幼少の自分は、父から十分に愛されていたと思っていたが、それとは別な愛情を、縛られたモデル達に注いでいるようで、強烈な嫉妬を感じている。檻に閉じ込められた女…あたかも凛とした父の強い意志が彼女を囲い込み、それ故に、彼の愛を独占しているかのように、娘には見えた。
いつしかA子は、父を想い、わが身を緊縛写真に重ねあわせる。父に縛られ、その姿を写真に撮られる自分を想像し、彼の(大人の)愛を感じながら、オナニーをはじめてしまうのだった。

【教室】「幻想」
A子のクラス担任は、ちょうど父が亡くなった時の年齢と同じだった。容姿や背格好もどことなく似ている。以前、A子がイジメの対象になった時に、熱心に問題解決にあたってくれた事もあり、今も憶えている父の、強くやさしい面影を、彼の中に見ていた。
A子が写真部に在籍しているのは、写真家であった父の影響だけではなく、この担任教師が顧問であった事も、大きな理由であった。
すでに午後の授業が始まっていたが、昨夜見た、父の緊縛写真の事が頭から離れず、担任の受け持つ生物の授業も上の空のA子。父に似た先生に、縛られて、写真を撮られてみたい。
写真集のポーズの中でも一番過激な吊りが思い浮かぶ。大きく開脚され、レンズの前に秘部を晒されたモデル。苦悶の表情の向こうに至福が透けて見えた。
それが適わなくても、と思う。授業中、縛られたまま狭い教卓の中に押し込められ、他の生徒に気づかれぬように、先生の股間に奉仕させられている姿。机に仰向けに拘束され、生物教師の手によって、女の敏感な部分をピンセットで摘まれ、言葉弄りされる様も妄想した。
少しでも、父に近づきたい。そんな想いが妄想を加速していた。

【職員室】「覚醒」
「今日はどうした?授業もクラブもボーっとして」
写真部の活動が終わり帰ろうとしたところを、担任であり顧問でもある教師に呼び止められた。なにか、悩みがあるなら聞くぞ。A子は、職員室へ来るように言われる。核心に触れぬまま、他愛もない写真談義ばかりで時が過ぎていく。いつしか日も暮れ、職員室は2人きりとなっていた。そして担任が煎れた、睡眠薬入りのお茶によって彼女はウトウトと眠りに落ちてしまう。
二の腕に痛みを感じ、目を覚ますA子。彼女は緊縛され暗い職員室に転がされていた。
闇の向こうに教師は立っていた。そして、A子の父親のSM写真について語り始める。
「君のお父上はね、美しく煌びやかな芸術作品だけでは満足出来なかったんだよ」
醜悪なモノの中にこそ、真に美しいものが隠されている。その事を教えてくれたのが君の父上だったのだ。そのように担任教師は回想する。そして、用意した鼻フックを取り出し、教え子の顔を醜く弄り出す。「綺麗だよ綺麗だよ」耳元で繰り返す男が、手鏡を彼女の目の前に差し出した。
その鏡に映る自身の醜く歪んだ顔、そして全裸に向かれ、恥かしい姿で緊縛された姿。(本当に父は、これを美しいと思ったのだろうか?)だとすれば、もっと知りたい…私の知らない父の心を。
彼女は耐え難い恥辱を感じながらも、秘奥から熱い愛液が溢れてくるのを感じるのだった。

【地下室】「帰納」
その夜。A子は教師に導かれるままに、淫欲に身を任せている。もはや、彼女に恫喝は必要ない。担任の自宅地下に造られた、秘密の監禁室。それは、昔父が撮影したSM写真の背景と同じに見えた。不思議な既視感だった。
「さぁ、もっと綺麗にしてあげよう」と、教師は教え子に浣腸を施す。「君の中の汚いものをさらけ出しておくれ」とも言った。
檻の中、バケツを宛がわれ、汚物をひり出す。
幼少期にオマルに跨って排便をした記憶が蘇ってきた。あの時、父は私の排便姿を微笑ましく見守っていた気がする。それ以前、父も、私のオムツを取り替えていたのだろうか?そんな想いが頭を掠めていた。
現実と妄想の狭間で、娘は父の幻影を一心に貪ろうする。「もっと!もっと!」と、うわ言のように、さらなる加虐を父に似た男に要求するのだった。
地下室での吊りは、昼間教室で夢想したものと同じであった。父の写真世界に溶け込んでいくA子。縄がキツク、身を絞り上げていく程に、時を超え、父親の愛情に抱きしめられていく錯覚に溺れていく。
知らぬ間に、懐かしさと嬉しさで、涙が溢れ出していた。

【余談】
言うまでも無く、最初に、A子の鞄にSM写真集を忍ばせたのは担任教師である。彼は、学生時代から、この(緊縛)写真家の熱心なファンだった。A子の担任となった時、彼女が写真家の娘である事に気付いた彼は、「きっと娘もSM好きに違いあるまい」と勝手に思い込む。
彼女がクラスメイトからイジメに遭うように仕向け、そしてその後、助けたのも彼の謀によるものである。A子が、酷いイジメにじっと耐える様子を観察し、「この教え子はMである」と確信する。そして、徐々に彼女との間合いを詰めながら、教え子を淫靡な世界に引きずり込む機会を伺っていたのだった。

■ 各シーン、キーワード
【自室】緊縛写真集・妄想・オナニー
【教室】妄想・机貼り付け・解剖実験(ピンセット)・吊り・教卓
【職員室】顔面弄り・ハナフック・鏡
【地下室】檻・浣腸・掃除バケツ(オマル)・吊り

■ その他(リクエスト等)
・ 前二つはA子の妄想。後二つは、現在と過去が彼女の中で重なり合うイメージです。
・ 教室での妄想部分。担任教師は、生物の授業をしているわけなので、黒板には何か解剖図や、花の受粉・生物の受精等の図が、描いてあるか、貼ってあるかしてあると、ピンセットで弄る際に、関連が分かりやすいかもしれません。
・ 教室での妄想の吊りと、地下室での現実の吊りは、(可能であれば写真集の吊も)ポーズをわざと同じにしたほうが、教室の「妄想感」が強調される気がします。
・ 檻の中。A子に首輪をするかどうか、判断迷いました。彼女の精神を現実に繋ぎ止めておくよりも、自由に開放してあげて、父親の元に逝かせてあげる方がいいかな、との思いがございます。

■撮影後記(筆:杉浦則夫)
今回が初めての緊縛撮影であり、かなり緊張して亜衣さんはスタジオ入りをしました。そんなわけで始まりのシーンは表情がかたくありましたがシーンを重ねると清楚な顔立ちに哀しい羞恥の表情が現れるようになりました。
私はそのうえに涙をかさねたく要求しましたがモデルになって日のあさい亜衣さんには無理な要求でした、それが突然と表情を一変させて目を赤くはらして涙をポロポロながしはじめた。可憐な花が花弁をむしりとられて裸にされるおのれ身の哀しさを嘆くような涙です。私は感動しました、そして縄拘束の厳しさを教え込もうと拘束を厳しくして亜衣さんの涙のあふれるのを歓喜の想いで映しこみました。

若菜亜衣さんは久しぶりの知的で清楚なモデルさんです。大学3年生ですのでいま就職活動の真っ最中です、来年はその方面の活動に忙しく今年いっぱいでモデルを引退とききますから今月25日に卒業式のはかま衣装で撮影します。

以上。

若菜亜衣「杉浦則夫緊縛桟敷」にて掲載開始。

若菜亜衣×緊縛桟敷 上

若菜亜衣「杉浦則夫緊縛桟敷」にて掲載開始。

今回は緊縛新聞のコラムを書いてる「やみげん」さんが撮影に同行しましたので、
その撮影同行記を上下に分けて掲載致します。本文に掲載している若菜さんの画像は、
当日Twitterで配信された実況中継の画像を使用しております。

杉浦則夫Twitter
http://twitter.com/#!/sugiuranorio

■月光~若菜亜衣・緊縛撮影感想文~ (文:やみげん)

漆黒の闇に、月が浮かんでいる。
月は、わずかに緊張と収縮を繰り返しているように見えた。

杉浦先生より、「今度、学校スタジオでグラビア撮影があるので、見学しませんか」とのお誘いを頂き、そして、実際に見学させて頂いてから、随分と時間が経ってしまった。
モデルの若菜亜衣さんの事、縄師の奈加あきらさんの事、スタッフさんの事、学校スタジオの事。そして、なにより杉浦先生の事。書く事は、山ほどあり、なんとか整理をつけよう、つけようと思っているうちに、益々整理が付かなくなってしまった。これでは、どうにもいけませぬ。
ただ、時間の経過とともに、余計な記憶がそぎ落とされ、書き残すべき事象だけが、より鮮明に思い出される気がする次第。…いや、作文が遅れた言い訳ではない。

いずれにせよ、普段部屋に引きこもり、ほとんど外界との接触がない筆者にとっては、全てが刺激であった。記憶が絞り込まれてなお、やはり整理は付かないままなのだ。
だから、ひとまず今回は、緊縛モデルについて書き残そうと思う。

若菜亜衣さん。
キメの細かい美しい肌だった。雪国育ちらしい。

彼女についての第一印象。
「なんて、懐古的郷愁…いや、昭和的と言うべきか」
である。
はて、この郷愁は、どこから来るのか。すぐに思い当たった。似ているのだ。

AV女優に限らず、一般のモデル、女優、はたまたアイドルは、時代を螺旋状にぐるぐると、同じ系列の容姿、(設定上の)性格の人物が、ある一定の周期で現れる。
おそらく、男が好むタイプが、数えられる程度にパターン化されている為に、座れる席が限られており、ある者が、歳をとり、あるいは流行から外れ離席(引退)すると、新たに、別な者が獲って代わる。緊縛モデルも例外ではない。

そういった意味で、この若菜亜衣というモデルさんは、過去の緊縛史の中で、以下の系譜に分類された。もちろん、あくまで私個人が感じた“雰囲気”ということである。

まず、こちら。
芳村なぎささんは、昭和54頃に活躍されたモデルさん。昭和緊縛史の第二集に掲載されている。杉浦先生によれば、東京三世社の応募モデルだったらしい。もち肌が素晴らしいお嬢さんだった。

そしてそれから、約20年後に登場したのが、渡辺美千代さんである。記憶と記録があいまいなのであるが、おそらく平成8年頃を中心に活躍されたモデルさんである。昭和緊縛史では第三集に掲載されている。この方は雰囲気と言うよりは、若菜亜衣さんと見た目そのものが似通っているように筆者には見えるのだが。いかがだろうか。

お二人とも当時、かなりの露出であった。つまり、それなりの人気があったという事である。
その点から言っても、杉浦先生のみならず、奈加あきらさんも、「良い演技指導が付けば、この娘は伸びる!」と褒めていたのも頷ける。
要は、男好きするタイプなのだろう。

しかし、撮影終盤になり、若菜亜衣さんのもつ郷愁の源泉が、実は全く別な場所に在る事に気が付く。
考えてみれば、「誰かに似ている」という分類の仕方は、あまりに安易で失礼ではなかったか。しかし、そういった事でしか説明の付かない、出処の分からぬ懐かしい気配を秘めた女性だったのである。

さて、その若菜亜衣さん。
撮影スタジオにマスク姿で現れた彼女の第一声、「おはようございます」が低くハスキーであったのが印象的であった。

当たり前のことだが、写真には音声情報は含まれない。
ビデオ時代以前は、緊縛グラビアを眺めながら、無意識にモデルさんの声を頭で聴いていたように思う。もちろん、全くの想像である。
いつだったが、やはり昭和56年前後に活躍した緊縛モデルを、後年AV作品で見つけた。その時、「わぁ、こんなハスキーな声だったのか!」と驚いたことを思い出す。
それまで、妄想内での声は、どちらかと言うと艶っぽく、澄んだ音であったが、以降、「このモデルさんは、ひょっとしたらハスキー声であったかもしれないな」と思うようになっていた。だから、若菜さんの声にも戸惑う事は無い。ハスキーもまた、様々妄想をかき立てはしまいか。

「教室で花電車を、やらせようと思う」
朝の打ち合わせで、杉浦先生が、奈加あきらさんと話しているのを聞いた。
“花電車”とは、ストリップ劇場などで、女性器を使って、客の前で芸をするというもの。
昔のSMグラビアでも、ずばり「花電車」というタイトルで、モデルが陰部に筆を突っ込まれて、尻をフリフリ、「習字」をさせられている作品があった。

恥ずかしながら、わたしが「花電車」が何たるかを知ったのはつい最近である。最近、といっても2、3年前なのだが。
花電車には、「生花」「鈴鳴らし」「産卵」などがあるらしい。そういえば、昭和のSMグラビア黄金期にもよく見かけたな。産卵とか、エロ過ぎる。いつかリクエストしたいネタだ。

それでもって、若菜亜衣さんも、その花電車の「習字」を教室で披露させられる事となる。
教室で花電車…なんと、シュールな取り合わせだろうか。
設定が、少女の妄想と言うことなので、なんでもありと言えばありなのだが、“それにしても”である。

杉浦先生がどういった発想で、「教室で花電車」となったのかは不明だが、おそらくこういうことではなかったか、と勝手に補完してみた。

彼女を、書道部としてはどうだろう。たとえばそれが、著名な書道家の娘であったり、彼女自身が、全国大会とかで優勝しているほどの腕前であってもよい。
色恋など眼中に無い。一心に書を極めようと頑張っている彼女を辱めるのであれば、納得の場面である。
いやいや、これは彼女自身の妄想であった。妄想の入れ子状態になってるな。まさにドグラマグラ。思春期の少女の抑えられた色情が、歪な形で脳内に映像化された、というところか。そうなれば、もう理屈ではない。

そうそう。
おそらく、作品冒頭に出てくるであろう、彼女の自室での夢想シーン。机の上に分厚い単行本が置かれているかもしれない。
「夢野久作集」…ドグラマグラが収録された本書を持ち込んだのは不肖私めでございます。電車の中で読もうと、“たまたま”手元にあった代物。
本作の設定は、若菜亜衣さんの妄想の中での出来事。夢野久作作品は、世に言う不思議少女達の必須アイテムだった時代がある。
今思えば、同じ夢野久作であれば「少女地獄」のほうが良かったかな。

若菜亜衣「杉浦則夫緊縛桟敷」にて掲載開始。