放課後のむこうがわ 9

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放課後のむこうがわ 9

「細い脚。
 ほんと、子供みたい。
 黄色いパンツなんか穿いてるから、よけい子供じみて見えるんだよ。
 でも、そのパンツの中には……。
 もう大人のまんこが息づいてるってことよね。
 さっき弄ってたわけだからさ。
 見せてよ。
 パンツも脱いで」

 視界が歪んだ。
 泣き顔になってた。
 熱い涙が、メガネフレームに落ちた。

「あら、泣いちゃった。
 なんか、わたしが虐めてるみたいじゃない」

 わたしは、懸命にかぶりを振った。
 虐められて泣いてるんじゃないってことを、ともみさんに訴えたかった。
 わたしは嬉しいんですって。
 でも、言葉は出せそうもなかったから……。
 動作で示した。
 レモンイエローのショーツを、思い切り引き下ろした。
 興奮しまくってるのは、自分でもわかってたけど……。
 思ってた以上だった。
 ショーツを足首から抜こうとしても、脚がうまく上がらないのよ。
 なんと、バランスを崩して、後ろにひっくり返っちゃった。
 背中が床板に転がると同時に、もどかしさが声になって漏れた。

「あひぃ」

 自分の声でスイッチが入ったって感じ。
 仰向けのまま、片足だけショーツを抜くと……。
 ともみさんに向かって、両脚を開いた。
 V字の谷間に、ともみさんが挟まって見えた。

「呆れた子ね。
 ホントの変態ちゃんだわ。
 そんな身体で、お毛々もちーゃんと生えてるんだね。
 ヤラしい。
 おまんこ、ぱっくり開いてるよ。
 毛もじゃだから、ウニの身が割れたみたい。
 お汁が、コーモンまで垂れてる」
「あひぃ」

 もっと言ってほしくて、わたしは両脚を抱えると、左右に開いた。
 膣液が、お尻の割れ目を伝い下りるのがわかった。

「ほら、あけみ。
 見える、これ?」

 わたしは背中をうねらせて、お尻をあけみちゃんに向けた。

「ほら、見てほしいって」

 あけみちゃんの目が、真っ直ぐにわたしを見てた。
 正確には、わたしの股間。
 銀の矢のような視線が、真っ直ぐにまんこを貫いた。
 貫かれた傷口から、ごぼりと膣液が零れた。

 もう、我慢できなかった。
 腿に絡みついた右手が外れると、滑るようにまんこまで下りた。
 熱かった。
 まるで泥沼。
 指先が、尖ったクリに触れた。

「はぅぅ」

 お尻が、うねりあがった。

「ちょっと、誰が始めていいって言ったのよ」

 そんなこと言われたって、もう止めようが無かった。
 わたしは首をもたげ、あけみちゃんを凝視した。
 あけみちゃんの腿は、内側に絞られてた。
 内腿を摺りあわせようとしてたんだと思う。
 あけみちゃんも、我慢できなかったんだね。

「もう。
 勝手な子ね。
 ちょっと、お仕置きしなきゃ」

 ともみさんは、あけみちゃんの鞄の脇にしゃがみこんだ。
 とたん、あけみちゃんの視線が、わたしから離れた。
 あけみちゃんの視線は、ともみさんの両脚の間に縫いつけられてた。
 わたしからは見えなかったけど……。
 ショーツを着けてない股間が、あけみちゃんに向かって開いてたんだと思う。

 ともみさんは、鞄から、薄いピンクの箱を取り出した。

「やっぱり持ってた。
 ふふ。
 この子ね、女の子の日じゃなくても、タンポン持ち歩いてるんだよ。
 なんのためだと思う?
 ヤラしい気分になったとき、使うんだってさ。
 あ、これでオナニーするわけじゃないのよ。
 フツーに、おまんこに入れてるだけ。
 ときどき、ヤラしい気分が、大波みたいに襲ってくるんだって。
 そういう時は、ヤラしい汁が涙みたいに流れ続けて……。
 ショーツがぐしょぐしょになっちゃう。
 で、その液を吸わせるために、タンポン入れてるわけ。
 そうよね?」

 あけみちゃんは、かくかくとうなずいた。
 お尻を持ち上げ、階段の縁で擦ってた。

「我慢出来ない?」
「ふぅぅぅぅぅん」
「ふふ。
 階段まで垂れちゃってるよ。
 ヤラしい液が。
 入れたげようか?
 タンポン」
「入れて……。
 入れてぇ」

 ともみちゃんは、ピンクの箱を開いた。
 でも、ともみちゃんも興奮してたんだろうね。
 開けたとたん、中身が零れた。
 鞄や床に、パラパラと。
 わたし、それまでタンポンなんて使ったこと無かったから……。
 どこのメーカーのかとか、わからなかったけどね。
 綺麗だった。
 真っ白い繭玉みたい。
 もちろん、セロファンに包まれてたけど。
 ブルーの帯が入ったセロファン。
 その帯を解くようにセロファンを剥がすと……。
 何かが羽化するんじゃないかって思えた。

「これ、いいかも」

 鞄のタンポンに伸ばしたともみさんの指が、途中で止まった。

「うん。
 アクセントになる。
 こういうとこにも置いちゃお」

 ともみさんは、床のタンポンを拾い上げ……。
 階段の1段目、あけみちゃんの膝頭の内側にタンポンを置き直した。
 あけみちゃんは、懸命に膝頭を絞ってる。
 ともみさんの手を、挟みこもうとしてたみたい。

「俄然、創作意欲が湧いてきた。
 これは、1枚撮らなきゃ」

 あけみさんは、タンポンの箱を鞄の脇に置いた。

「こんな感じかな」

 フタの開く角度まで調節すると、跳ねるように起ちあがった。
 後ずさりながら、ポラロイドカメラを構える。

「おぉ。
 いい感じ。
 あけみ!
 ダメだって、カメラ見ちゃ。
 斜め下を見て。
 そうそう。
 いくよ」

 過擦れたようなシャッター音が響いた。
 空間が切り取られる音に聞こえた。

 ともみさんは、送り出されて来た印画紙を見つめてる。
 時間が止まったみたいに思えたころ……。
 ともみさんの口元が綻んだ。

「いい感じ」

 ともみさんは、何度もうなずきながら、あけみちゃんに近づいた。

「どう?」

 指先で挟んだ印画紙を、あけみちゃんの目の前に翳す。

「綺麗でしょ。
 でも、おまんこまで写っちゃってるね。
 光ってるから、おツユ出てるのがモロバレだよ。
 陰核も起ってるし。
 朝、登校して来て……。
 この写真が黒板に貼ってあったら、どうする?」
「イヤ……」
「イヤじゃないんじゃない?
 ほんとは、みんなに見てもらいたいんでしょ。
 あけみが登校すると……。
 クラスの子たちが、この写真を囲んで黒板前に群れてる。
 あけみは、それを後ろから見てるの。
 そのうち、後ろ姿のひとりが、スカートを脱ぎ落とす。
 隣の子が、それに続く。
 その隣の子も……。
 最初に脱いだ子は、パンティも下ろした。
 白い布地が、膝裏に絡んでる。
 次々と、お尻が曝される。
 いろんなお尻がある。
 小さくて、引き締まったお尻。
 丸々と隆起したお尻。
 でも、どのお尻も、ヒクヒク動いてる。
 前に回った手が、おまんこ弄ってるから。
 あけみも堪らなくなって、黒板の写真と同じ姿になる。
 そう。
 みんなと同じ、下半身丸出し。
 もちろん……。
 ずらっと並んだお尻を凝視しながら……。
 指先は、陰核を練り始める。
 後ろ姿のひとりが、激しく尻たぶを絞る。
 尻たぶの肉が、翳をつくるほど大きく窪んだ。
 立ったまま、イッたんだね。
 絶頂の連鎖が、次々と広がる。
 それを見ながら、あけみも我慢できずに……。
 思い切り陰核を揉み潰す。
 どう?」

 ロープに挟まれたあけみちゃんの胸が、大きく起伏してた。

「我慢出来ない?」

 あけみちゃんは、壊れた人形のようにうなずいた。
 何度も。

第十話へ続く

文章 Mikiko
写真 杉浦則夫
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アンダーカバー・SUMIRE 1

杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、
全8話の長編小説のご投稿がありました。(投稿者 蝉丸様)
本作品は毎週金曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに!

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■第1章 忌まわしき記憶

「では、もう一度始めからいきさつを話してもらおうか。」
窓もなくただ机が一つ中央に置かれただけの殺風景な小部屋で、無機質な男の声が静かに響く。
「課長、ですから、もう何度もお話しているとおりです。これ以上新しい事実は何もありません。」
課長と呼ばれた体格の良い長身の男はやれやれと呆れた顔を見せ、傍らに立つ部下に目で合図を送った。
部下は部屋から一旦姿を消すと、間もなく湯気の立つコーヒーカップを乗せたソーサーを持って現れ、それを机の上にガチャンと無造作に置いた。
「どうだい、熱いコーヒーでも飲んで少し落ち着いては。」そう言うと男はソーサーを前方に指でスーッと押し出した。
「私が納得するまで、何度でも話してもらうよ。そう、もうよいと言うまで、何度でもね。」

私の名前はSUMIRE。警視庁公安部外事第○課の捜査員。
私たちのチームは国内に潜伏するZ国のテロ組織を暴き、一網打尽にするのが任務だった。
そこで私に与えられた使命は組織に潜入し、活動拠点と武器調達ルートを探ること。
そのチームのボスが、今目の前で私に質問を繰り返し投げかける草八木課長である。
草八木の表情は一見柔和だが、私を見るその目には明らかに疑念の色が窺われる。
そうなのだ、私は疑われているのだ。

―――――――――――――――

3週間前、私は用意されたツテを利用して、ターゲットである貿易会社マサダ商事の社長秘書として首尾よく同社の中核に入り込むことができた。
社長の暗崎一郎は70歳の老人であったが、案の定あえて露出度を高めた私の服装に好奇の目を輝かせ、露骨な寵愛の態度を示してきた。
狙い通りだ。
私はさっそく社長命を語って、各部署のファイルから倉庫内に保管された書類に至るまで次々に調べ上げていった。
程なく私は社内での業務の他に、暗崎社長の私邸で身の回りの世話なども任されるようになり、社内ばかりでなく私邸での探索も容易となって情報収集は質量ともに格段に上がった。
こうして入社1週間で私は同社の表向きの顔とは異なるもう一つの顔を暴き出すことに成功した。
Z国諜報部とのコネクションは明白で、工作員の潜伏先、資金や武器の調達経路も着々と把握しつつあった。

しかし、予想以上のスムースな進展に私はつい油断し、そこに巧妙な罠があることなど考えもしなかった。
今思えば、ここ一両日、私は奴らにまんまと泳がされていたようだ。
マサダの秘書に就いて2週間経ったある日、社長の留守を見計らって私邸の書斎で秘密リストを探っていた私は、突然書斎のドアが外から施錠されたことに気づいた。
私は身の危険を察し素早く書類を元に戻すと、ドアノブに取り付いて「中にいます。開けてください!」と弱りきった声で叫んだ。
業務中うっかり閉じ込められてしまった軽率な秘書を演じる私に、ドアの外から男の声が静かに語りかけてきた。
「いったい君はそこで何をしていたのかね。私はそんな指示を出した覚えはないが。」暗崎社長の声だった。
「あ、あの、書斎のお片づけをしようと・・・・」私は咄嗟に嘘の弁解を述べたが、暗崎社長はそれを遮り言った。
「ふふふふ、もうよい。ここからはお互い本当のことを話そうじゃないか。」
シューーーーー・・・・ かすかに聞こえてくる空気音。「ガスか?」
やがて私の意識は徐々に遠のき、くらっと眩暈がしたのを最後にその後のことは記憶が残っていない。

文章 蝉丸
写真 杉浦則夫
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放課後のむこうがわ 8

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放課後のむこうがわ 8

「ふふ。
 今日はお客さまもいるから……。
 スイッチ入りまくりね。
 それじゃ、お望みを叶えてあげますか」

 ともみさんは、床の鞄の上にカメラを置くと、ゆっくりとあけみちゃんに近づいた。
 あけみちゃんは、涙を零しそうなほど潤んだ瞳で、ともみさんを迎えた。
 ともみさんが指先を伸ばす。
 三つ編みに指が届いただけで、あけみちゃんの身体が跳ねた。
 電撃に触れたみたいだった。

「髪に触っただけで、こんなに感じるんだからね」

 ともみさんは三つ編みの毛先を持ち上げると、あけみちゃんの顔を化粧筆のように掃いた。
 されるがままになりながらも、あけみちゃんの瞳は恨めしそうだった。

「あんまり焦らしちゃ可哀想か」

 ともみさんは髪から手を離すと、階段を1段上がり、あけみちゃんの後ろに回った。
 階段柱の縄を解いてるらしい。
 ときどき縄が引っ張られるのか、あけみちゃんの眉間に皺が寄った。
 ほどなく、胸前を戒めていた縄が、脚元に落ちた。
 縄抜けしたマジシャンみたいだった。
 縄と一緒にスカートの裾も落ち、白い太腿は隠されてしまった。
 一見すると、普通の女子高生の姿に戻ったんだけど……。
 紺のハイソックスの足首には、白いパンティが絡んでる。

「スカート、邪魔ね。
 脱いで。
 あ、全部脱いじゃダメだからね。
 スカートだけ」

 あけみちゃんの自由になった両手が、スカートのファスナーに回った。
 微かなジッパー音と共に、スカートが真下に落ちた。
 あけみちゃんは、足元のスカートを跨ぎ越した。
 まるで、結界を踏み越えるように。
 スカートは、抜け殻のような姿で床にうずくまってた。
 あけみちゃんが、そのスカートに手を伸ばそうとした。

「ストップ。
 このままにしといて。
 絵になるから。
 そうね……。
 鞄もあるといいかな。
 アシスタントさん。
 あけみの鞄、スカートのそばに置いてみて」

 ともみさんは階段から跳ねるように下りると、床のスカートと鞄を眺めてる。

「うん。
 オッケー。
 この後ろに、股を開いた女子高生。
 うん。
 いい構図」

 ともみさんは、あけみちゃんを眺めながら後ずさった。
 自分の鞄の脇まで来ると、勢いをつけてしゃがんだ。
 スカートが空気を孕んで捲れ、真っ白なお尻が見えた。
 この人もショーツを穿いてなかったんだって、改めて気づいた。
 穿いてるのは、わたしだけ。
 この2人の仲には、まだ入りこめてないんだって気がした。
 命じて欲しかった。
 あなたも脱ぎなさいって。

 そんなわたしにはお構いなしに、ともみさんは、背中を見せたまま鞄を開いた。
 取り出したのは、2本のロープ。
 さっきまであけみちゃんを戒めてたロープは、階段下にうずくまったまま。

 ともみさんは、ロープを持って起ちあがると、あけみちゃんに歩み寄った。
 あけみちゃんは、子犬のような目をして、ともみさんを迎えた。

「やっぱ、上は縛った方がいいな」

 ともみさんは、手に持ったロープを肩にかけると、床のロープを拾った。

「手、後ろに回して」

 あけみちゃんの上体には、再びロープが掛けられた。
 ロープがブレザーを擦る音が、小気味よく聞こえた。
 まるでマジシャンの手技だった。
 乳房を挟んで2段のロープが、瞬く間に打たれていった。

 紺のブレザーに、麻色のロープ。
 胸元のロープにかかる、赤いリボン。
 下半身は裸。
 紺のハイソックスの足首に絡まるショーツ。
 正装のように見えた。

「階段に座って。
 2段目くらいがいいな」

 階段の中央には、左右を分ける白線が引かれてた。
 もう色褪せて、半分消えかけてたけど。
 その白線の真上に、あけみちゃんは座った。
 階段下から見ると、白線に串刺されたみたいだった。

「足開いて。
 鞄とスカート挟むみたいに」

 あけみちゃんは、階段下に伸ばした脚を、大きく拡げた。
 シューレースの付いたプレーントゥが、鞄とスカートを挟んで伸びた。

「うーん。
 やっぱり膝が開いてると、構図が悪いよね。
 膝閉じてみて。
 足先はそのままの位置でね」

 あけみちゃんの両膝が、内側に折れた。
 でも、足先が開いてるので、膝が着くまでは閉じれなかった。

「ほら。
 いい感じになった」

 膝が内側に折れることで、あけみちゃんの身体は“人”の字型を作ってた。
 その脳天から股間を、階段の白線が貫いてる。

「記号みたいに見えるよね」

 言われてみれば、そんなふうにも見えなくもなかった。
 あけみちゃんの姿は、天を指す矢印みたいだった。

「記号まで昇華したとき、人は一番綺麗に見えるのかも。
 でも、これじゃ……。
 自分で股拡げてることになっちゃうから……」

 ともみさんは、肩のロープを1本下ろすと、あけみちゃんに近づいた。
 階段に片足をかけ、あけみちゃんの太腿を縛り始めた。
 ともみさんの指先は、力強く動いてた。
 ヨットマンみたいだった。
 たちまち綺麗な結び目ができた。
 あけみちゃんの太腿は、ヨットを舫う杭のように見えた。

 両腿を縛り終えると、ともみさんは上体を起こした。
 片方のロープを持って、階段柱の脇に立った。

「アシスタントさん。
 そっちのロープ持ってちょうだい。
 早く。
 そっちの階段柱に巻きつけるのよ。
 そう。
 両側から引っ張るの。
 あけみは、腿を内側に絞って。
 そうそう。
 こんなとこかな。
 アシスタントさん、その位置で縛ってちょうだい。
 大丈夫。
 下手くそでも。
 そっちの結び目はカメラに写らないから」

 あけみちゃんの両腿から伸びるロープが、階段柱まで張り渡された。
 斜め上方に向かって、左右のロープは相似形に伸びてた。

「あけみ、もっと力入れて絞って。
 ロープが弛んじゃうでしょ」

 あけみちゃんの両腿に力が籠った。
 内腿にロープが喰いこむ。

 ともみさんは階段柱を離れ、あけみちゃんの正面に立った。

「アシスタントさん。
 こっち来てちょうだい」

 下手くそな結び目に未練を残しながら、わたしはともみさんの脇に身を移した。

「どう?
 いい感じじゃない?」

 ともみさんの問いかけに、わたしは頷いてた。
 あけみちゃんの両腿は、内側に向かって絞られ……。
 その両腿からは、斜め上方にロープが伸びてる。
 膝から下は、“ハ”の字を描いて開いてる。
 ほんとうに、何かの記号みたいだった。

「でもなぁ。
 あまりにも人工的かなぁ。
 シンメトリー過ぎるよな。
 ま、片足にだけショーツが絡んでるのが……。
 アクセントと言えば言えるんだろうけど。
 どうするか……」

 ともみさんは、あけみちゃんの脚元にしゃがみこみ……。
 脱ぎ落とされたスカートと鞄の位置を、微妙に調節した。
 スカートは、脚元にストンと落ちた形そのままで、キュプラの裏地が盛りあがってた。
 それを見てるうち……。
 またヘンな気分になってきた。
 わたしの腿にも、同じ裏地が触れてる。
 あのツルツルの裏地が腿に擦れる感じって、すっごくエッチだよね。

「ちょっと、アシスタントさん。
 なにモゾモゾしてんの?
 ひょっとして、また気分出してるんじゃないの?
 子供みたいな顔して、とんだおませさんだね。
 そういう子のあそこって、どんなんだろ。
 あ、そう言えば……。
 モデルが下半身すっぽんぽんなのに、アシスタントがそれじゃ、失礼よね。
 わたしだって、パンツ穿いてないんだから。
 下、脱いじゃいなさい」

 わたしは、泣き笑いみたいな顔をしてたと思う。
 ほんとは、脱ぎたかった。
 露出したかったってわけじゃないよ。
 ま、その気持がぜんぜん無かったとは言わないけどさ。
 それより、2人と一緒の姿になりたかったんだ。
 でも、はいそうですかって脱いだら、変な気がしてさ。
 だから、どうしていいかわかんない顔で、ともみさんを見つめてた。
 もっと強く命じてほしかった。

「ほら、何してるの。
 あなたが変態ちゃんだってことは、もうわかってるのよ。
 ほんとは、見せたくてしょうがないんでしょ。
 脱ぎなさい」

 ともみさんは、わたしの心を見透かしたように命じてくれた。
 わたしは素直にうなずき、スカートを脱ぎ落とした。

第九話へ続く

文章 Mikiko
写真 杉浦則夫
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食虫花 ~美少女・内山遙~13

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第十三話【食虫花】

ウツボカズラの甘美な匂いに狂い、蔓先に膨らんだ蜜壷の内に捕われた蟲。
透明な粘液の中で、のたうちながら快楽に溺れていく。
やがて身が溶け出し、細り、消滅してもなお、残された魂は官能を貪り続けることだろう。
当初の甘い誘香は、いつしか誰もが眉根を寄せる死臭となる。

鬼畜教師の、変態的性癖の好餌となった少女。遙が、心に負った傷は計り知れない。
すでに彼女は、大学生の恋人と別れていた。林田に言われるまま、学校へは毎日登校していたが、以前のように清純可憐な生徒ではなくなっている。突然、廊下で奇声を上げたり、大雨の中ずぶ濡れでグランドを走ったりと、奇行も目立ち始めていた。
あんなに多かった友人も、今では気味悪がって誰も寄り付かない。こうなっては両親も、専門の医者に診てもらう事を、真剣に検討し始めていた。周囲には、すっかり人格が変わってしまったように見える。しかし、それは大きなストレスから自己を守る為、一時的に心神喪失状態となっているに過ぎなかった。
正気がある。まだ。真底は、人格崩壊に至っては居ない。
もはや遙本人は、意識していなかったろうが、堕とされてしまった絶望的状況の中で、未だ懸命に、心の逃げ場を探していたのだった。その代償として、あれほど聡明で精錬潔癖であった少女が、男の前で堕落した牝奴隷を演じていたとしても、誰が責める事が出来ようか。

「さぁ遙、今夜は少しキツイぞ!」
この教え子は、性の悦びを教え込まれ、ついにマゾとして開花したのだ。恋人との破局も、彼女がもはや、普通の男では満足出来なくなった証左なのだと、恩師は達成感に酔う。
これまでも、これからも。女生徒達の心理は読んでも、その心情を思いやる事など林田には無い。彼なりの愛情らしきモノは存在したが、己に都合良く曲解し、正当化されたものに過ぎなかった。
虚妄の慈愛。男はそれに従い、今はただ遙の肉体を求めるようになっている。連日連夜。
だが、この美蓄に飽きるのは、遠い先のように思われた。「こんな事が、いつまでも続けられるハズは無い」といった悲観は、林田の中に皆無である。いや、少しは頭を掠めていたかもしれない。それでも次々に妄想は実現し、彼はその官能に身を置く事を選んだ。何かに憑かれる様に、遙を縛ることを止められなくなっている。そして今夜も、二人は旧校舎の闇の中に蠢いていた。

激しい吊り責めの最中だった。
縄に身を委ね、恍惚の表情を浮かべる遙の視線の先。ドア越しにチラチラと懐中電灯らしき灯が目に入った。彼らの地下教室に向かい、警備員の靴音が階段を降りて来る。
青年は、いつものように巡回中、旧校舎から不振な物音を耳にした。掛かっているはずの鍵は壊れていた。ドアを開け旧校舎の中へと入った。音のする階下へと向かった。当然の職務遂行だった。
地下教室では教え子が、ギリギリと食い込む麻縄に顔を歪めている。教師はそれに熱狂し、自身が只今縛り上げた、幻想的とも言える妖美に見とれ、背後から近づく“破滅”に気付く事はない。

ただ一瞬、苦悶の表情が緩み、遙がフッと笑ったように見えた。林田はそれを、被虐の陶酔と解釈したが、彼を蔑み、そして憐れみを含んだ微笑ではなかったか。

『なんとも酷い話です』

この後、二人に悲劇的な終幕が訪れる事は、容易に想像が付いた。遙の持つ、強い心だけが、暗澹たる結末を照らす希望の灯だが、事ここに至っては、いかなる救済も無意味に思えてくる。
何の落ち度も無い。悪い事など何一つしていない。
美少女・内山遙に、多分訪れたであろう、慎ましくとも幸せに満ち、退屈であっても平穏に違いなかった未来。それら一切を奪い取り、暗く荒んだものに書き換えてしまった事について、慙愧の念に耐えない。謹んでお詫び申し上げる次第。

おわり

文章 やみげん
写真 杉浦則夫
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Twitter応募モデル×緊縛桟敷

秋代「杉浦則夫緊縛桟敷」にて掲載開始。

「今回はTwitterからモデル応募のダイレクトメールを送ってくれた正真正銘の素人M女性秋代さんです」
「彼女に撮影終了後、感想文を書いて頂いたので、今回はそれを掲載します」

杉浦先生、感想が遅くなり申し訳ございません。 過日は夢のような一日を、誠に有難うございました。
ツイッターからという異例の申し出にも関わらず、快くご対応下さり、一介の不形な主婦がこのような稀代なる機会に恵まれましたことは、誠に以って勿体無き幸せ、光栄至極としか申し上げようがございません。
御厚情に拝謝申し上げます。

今回の秘め事の実現に当たっては、相当な決意と様々な不安がありました。 そもそもツイッターで杉浦先生のアカウントを発見したのは恐れ多くもほんの数ヶ月前。それからは時折アップされる撮影風景の写メを貪るように拝見しては、強い羨望と言い知れぬ思いに身を捩らせる日々でした。

幼い頃より人知れず懐いてきた不埒な妄想と被虐の願望は、何を以て生じたものなのか定かではありませんが、所謂被加虐趣味の写真や官能小説を見て衝撃を受けてというより、それらは単なる呼び水に過ぎず、言ってみればもっと根底的な、宿世の業のようなものなのではないかと感じます。
因縁に導かれるまま、緊縛もほんの真似事程度ならばしたことはあったのですが、もどかしさが募るばかりでいまひとつ釈然としないままでおりました。
そんな中杉浦先生の作品に出会って、モデルの方々の艶麗な面差しを目の当たりにするにつけ「痛めつけられたい」「罰せられたい」「縄に酔いたい」「気持ちよくなりたい」そんな情動が再び燃え上がり、夫がある身でありながら、辛抱堪らず無謀な試みに踏み切った次第です。

杉浦先生に不躾にもメッセージを送らせて頂いた際は、はた迷惑な呟きをしてみたに過ぎず、ご返信を頂けるとは思いもよらなかったので、話が進むにつれ、実際に事に臨む覚悟はあるのか、求められるものを提供できるだけの器量が自分にはあるのか、果たして酔うことはできるのか、期待とは裏腹に自問の日々が続きましたが、挑戦させて頂き、こうして何とか作品の一部に加えて頂く事が出来て、冥加に尽きる思いです。

不慣れにつきご面倒をお掛けしたかと存じますが、何かとお心配り頂き、有難うございました。痛み入ります。 頂戴した写真を拝見し、纏綿たる陰翳の中縄化粧を施され痴態を惜しげもなく晒すこの女は紛れもなく私自身なのだと、見れば見るほど信じられない心地がすると同時に、あの出来事は夢ではなく現であったのだと、ひとつひとつ思い出し、振り返りつつ、改めて悦びを噛み締めております。

撮影当日は、幾人もの殿方に囲まれ、プロの縄師さんによる責め縄を受け、見られながらの本格的な撮影という初めてのことだらけで暫くは緊張しきりでしたが、夢中で縄に身を委ねる内に、次第次第にのめり込んでいきました。
秘密めいた淫靡さを搔き立てる旧家の佇まい、麻縄の咽ぶような匂い、流麗な縄捌きの音、怠惰の蓄積である分厚い肉に容赦なく食い込む縄…緊縛という行為にいつしか意識は恍惚とし、きりきりと締め上げられ身を切られるような絶え間ない痛みは快感に変わり…程なく心地よさすら感じ出し、いよいよ理性的な思考は崩壊、甘えの感情まで出てきて、逆さに吊って頂いた頃には、激しかった痛みはすっかり消え去り、包まれるように優しく、それでいて孤独な、経験したことのないような感覚が訪れ、嬉しいのか悲しいのか何なのか全く訳の解らない感情の波に溺れて、堰を切ったように溢れ出す涙を止めることが出来ませんでした。(人前で涙を流すことなんて、滅多にないのに。。) 恐らくあれは、普段無意識に繕っている構えが解け、頑なな心のタガが外れ、気取らないありのままの状態になれたことによってもたらされた深い癒しの感覚だったのでしょう。

一日中厳しく責め上げられて身体はぼろぼろなのに、終わってしまうのだと思ったら、安堵というよりも、悲しくて寂しくて仕方なくなり、いつまでも続けばいいのにと、祈るような、ねだるような気持ちになっておりました。
縄でがんじがらめにされ、身動きが出来なくなったその様は、赤ん坊の様でもあり、芋虫の様でもあり、意思が介在する余地もなくなされるが儘になることは、それがどんなに惨めで、無様で、恥ずかしく、手酷い凌虐であろうとも、身を預け心を明け渡し、寄り掛かり頼らざるを得ないという点で、矢張りどうしようもなく心地の好いことなのかもしれません。
身体は不自由なのに、心は爽快ともいえる解放感に満ち溢れているのです。
撮影後の数日間は、総身寝返りさえ打てない程の激しい痛みに苛まれましたが、それすらもただただ愛おしく、ベルトの跡や縄跡を見ては悦に入り、身体中の火照りを愛でながら、縛られている時の包まれるような幸せな感覚を思い出しては、痕跡が消えていくことを惜しみました。 夢にまで見た積年の思いが果たされ、一生の思い出です!と申し上げたいところですが、どうやら病み付きになってしまいました(笑)
望むべくもないことですがまた万が一このような機会を頂けた際には、万障繰り合わせて是が非でも参上致す所存でございます。

何はともあれ、この度は得がたい経験をさせて頂き、本当に有難うございました。
秋代こと。

まとまりがつかず申し訳ありません!以上が私の感想です。
一言でいえば「よかった!」「感動した!」なのですが。。
苦戦した結果がこの程度で忝いですが、どうにかお納め頂ければ有難いです。

秋代「杉浦則夫緊縛桟敷」にて掲載開始。