窒息願望のマゾヒスト

緊縛を好む女性に窒息願望のマゾヒストが多いのには驚く、この4カ月ばかり興味があって調査してみると10人中10人がその願望を持っている。

私の撮りためているこの女性も強くその願望をもち危険に晒されながら欲求に応えている、慣れない頃に正座の姿勢をとらせて首を上げさせたところよけいに縄が首にくいこみ顔色が土色に変わるのを見て慌てて縄を解く失敗をした。
縄を止める時に指2本分の隙間を作らず固く止めたのが原因だ、女は窒息を求めているのだから強く締まるほど興奮するから安心はできない。

また縄止めに余裕があっても首を責めている時間にも充分注意を要する、ほどよい時間で妥協しないと女が柔道にある落ちることになってしまう、格闘技を心得ている人はそんな時の蘇生術を心得ているが無術の人はそのようなことにならないように充分注意。

本能=性欲が物欲に負けた日

緊縛新聞をご覧の皆様、お久しぶりです。
気楽に読んでいただけそうな思い出話を書かせていただきます。

私がSMセレクト誌を購入し始めた頃は、まだ学生だったのでお金がなく、年2回発行されていた写真集「秘蔵版緊縛フォト」まで買うことは出来ませんでした。
東京の古書店で大金はたいて購入した、2代目の76年7月号の「秘蔵版緊縛フォト」を見るたびに思い出す、忘れられない事件があります。
まだ20代半ばゆえ、溜まってくると悶々としてきて落ち着きがなくなり、そわそわする日々ばかりの年頃。
ついにはどうにも我慢できなくなり、新しいネタ(もちろん上質の緊縛写真)が欲しくて欲しくて、どうしようもなくなってしまった暑い夏の日でした。
狙いは、その頃住んでいた実家から遠い場所にあった、人のよさそうなおじさんが一人でやっていた古本屋。
そこに買いそびれた、その頃お気に入りだったモデルさんで、後に日活ロマンポルノの女優さんとして活躍することになる水島美奈子さんが載っている、76年7月号の「秘蔵版緊縛フォト」があるのを知っていたので、意を決して買いに行くことにしました。
小説SMセレクト75年4月号グラビア「羞恥に泣く19歳」に月原篠名で、SMセレクト75年12月号グラビア「期末試験」に本田綾子名で掲載されていた、女学生姿で縛られた姿がとても印象的な美人でした。
買いに行く道々では、セレクト誌にあった逆海老足吊りの別カットがあったら、そのページでフィニッシュしよう、などと実用的なことを考えながら、下半身の一部は硬度120パーセント、ひょっとしたらよだれすらたらしていたかもしれません。
他にもSM誌や写真集があったら、買えるだけ買ってやろうとかなりのお金も用意、それほどに買う気満々、そして残液感ゼロの一気放出を目標に出す気も満々で、鼻息荒く店の戸を開けました。
するとそれまではなかった、見慣れないレコード棚にまず目がいったのです。
その店は以前から本のほかに、レコードも置いてあってたのは知っていました。
しかし、店の隅に無造作に平積みにしてあって、レコード自体も私には興味のない、演歌や歌謡曲ばかりだったので、まともに見ることもなかったのでした。
一応ちょっとのぞいてみようと、洋楽のシングルコーナーを見て驚きました。
いきなり当時、レコード収集家としてのキャリアもスタートさせていた、私が捜し求めていた、ずっと欲しかった1枚のシングルが出てきました。
しかも200円と実に安い。
当時すでにプレミアがつき、マニアが血眼になって探しているレコードが、定価の半分でいいやと、適当に決めたとしか思えない安値で目の前に。
これはきちんと全部見たほうがいいと、汗だくになりながらも、はしからはしまでまでチェックを開始。
正直この段階で、あれほど愛おしかった、水島さんの緊縛姿はすでに脳裏から消えていました。
当時大好ファンだったフランスの美人女性歌手のレコードは、はじめて見る初期のものから後期のものまで10数枚ほどもあり、充実の品揃えに大感激。
さらに、これだけシングルを買っていた人なら、必ずLPも買っているに違いないと勘を働かせ、今度はLPの棚をチェック。
我ながらいい勘してました、大事に聞いていたと思われる、きれいなお宝LPも大量に発見。
なんだかんだで、結局シングルを50枚近く、LPも30枚ほどを買うはめになり、持参したお金は全てレコード代に消えてしまいました。
結局、当初の目的だった写真集もSM誌も1冊も買わずじまい。
何よりもレコードを探すことに夢中になりすぎ、店に入ってきた時の勢いはどこへやら、あれほどいきり立っていたものは縮こまってしょぼくれてしまい、悶々としていたやるせない思いまできれいに消え去り、お宝レコードを大量にゲットできた満足感で、すっかりすっきりと上機嫌になってしまったのでした。
意気込んで買いに来たのに、目的の写真集とSM誌の代わりに、大量のレコードを買って帰る羽目になったなんて、全く思っても見なかった結果で、お宝中古レコードの魅力が、SM誌や写真集への欲望に勝ってしまった、ある意味記念すべき日となりました。
実に恐るべきは、人様のものに対する底知れぬ欲の深さ。
まさしく生涯唯一の、本能=性欲(あるいは緊縛写真に対する情熱)が物欲に負けた日でした。
なお、その3日後、一度は収まったと思われた性欲は当然復活、今度は数冊のSM誌や写真集とともに、76年7月号の「秘蔵版緊縛フォト」も購入、帰宅後やっと残液感ゼロ状態といえるほどにすっきり出来たことは言うまでもありません。

キャリア35年様 投稿文

コラム「女教師 川上ゆう」下

杉浦則夫緊縛桟敷で現在掲載されている川上ゆうさんを題材に書き下ろして頂いているコラムを掲載致します。本作品は、上中下の三部作となっております。

それでも男たちは、私の声などまったく聞こえてない風で、ますます早さをまして迫って参ります。私も必死です。ようやく追いつき、ゆうさんにしがみ付こうとする男を引き剥がすのですが、しばらくすると、また別の男が迫り次から次、私は同じ事を繰り返します。一人、また一人と男たちを蹴り落としていくたびに、その分軽くなった私と女教師は、速さを増して上へと昇って逝くのです。ああ、これで地獄とおさらばだ。これで現世に戻れるのだ。私はどんどん気持ち良くなって逝くのでした。ところが、でございます。眼下の地獄が小さくなり、いよいよ蠢く男たちも残りわずかになった辺りで、ふと、ゆうさんを見ると、彼女は今にも泣き出しそうに表情を歪めているのです。

もとより、彼女の美しい瞳は潤みがちでしたし、縄でギリギリと締め上げられた女の苦悶の表情と、快楽に溺れながら絶頂に達した女の表情は同じと申しますので、私は最初ゆうさんが、転生が近づいた事を悦んで感涙しているものだと思って居りました。ところが、彼女にすがろうとする最後の男を、蹴落とした時でございます。ゆうさんは声を抑えながらポロポロと大粒の涙を流しはじめたではありませんか。その時になって、彼女が浮かべていたのは悲しい表情だったのだと、ようやく気が付いたのです。ああ、この御方は私ばかりでない、全ての男たちの為に縛られているのだ。そう思ったのでございます。

そうしますと、私もなんとも悲しい気分になり、同じように涙を流しながら「ごめんなさい。ごめんなさい。」と念仏を唱えるようにつぶやきました。その途端でございます。今まで何ともなかった麻縄が、急に私のぶら下っている処から、ぶつりと音を立てて断れました。私は、今しがた昇って来た空を真っ逆さまに堕ちて逝ったのです。後にはただ現世へと繋がっているはずの麻縄が、ガランとした教室の中途に、女教師を吊るしたまま、ゆらゆらと揺れているのでした。

ああ、またあの居心地の良い処に戻って逝くのだ。地獄と思っていた元の場所こそが天国。そんな事をぼんやりと考えながら、長い長い落下を感じました。そして地べたに激突するほんの直前、私は思い出したのでございます。

ただいま、昇り詰める絶頂の向こうに転生を試みた世界。それは、遠い昔、なんの疑いもなく無邪気に自身の明るい将来を思い描いた世界。暖かい愛情に包まれた幸せな家庭を夢見た世界。悩みも、苦しみも、悲しみも、いつかは喜びに変わるものだと、疑うことなく信じた世界。そして、それら在りもしない幻想を私に錯覚させ続けた世界。

現世こそが地獄。

本作品で使用されている画像の掲載場所
緊縛桟敷キネマ館

コラム「女教師 川上ゆう」中

杉浦則夫緊縛桟敷で現在掲載されている川上ゆうさんを題材に書き下ろして頂いているコラムを掲載致します。本作品は、上中下の三部作となっております。

私はこれを見ると、思わず手を拍って悦びました。男というものは、溜まった白濁を放精してしばらく、聖人に成れると申します。ならば、この美女にすがりついて、飽きるほど昇天すれば、きっと緊縛地獄からぬけ出し、現世へと転生出来るに相違ございません。そうすれば、もう世間様になんの後ろめたい事もなくなれば、愛するがゆえに、女を縛り上げ責め苦を与えねば収まらない心痛からも解放されるやもしれません。

こう思いましたからには、早速その麻縄で吊られた川上ゆうさんの御姿を両眼にしっかりと焼き付けながら、その息使いや体温、匂いまで感じ取ろうと集中し始めました。もとより現世では、光の届かぬ場所に長く居りましたもので、想像力だけは鍛錬されているのでございます。

しかし、加虐性愛者と正常者との間は、理解を超える距離がございますから、少年の日へ還って女教師が吊られた教室に入り込み、いくら昇天を繰り返したところで、なかなか正常者にはなれません。ややしばらく昇る中に、とうとう私もくたびれて、もう一擦りも出来なくなってしまいました。そこで仕方がございませんから、まずは一休み休むつもりで天上から吊られたゆうさんに摑まりながら、遥かに目の下を見下しました。

何度も昇った甲斐もあり、さっきまで自分がいた緊縛地獄は今では意識の奥に、ぼんやりとかすみ始めて居ります。それからあのぼんやり光っている恐ろしい熱蝋地獄も、汚臭を放つ浣腸地獄も足の下になってしまいました。この分で昇って逝けば、地獄からぬけ出すのも、存外わけがないかも知れません。私は、左手で女教師にしがみつき、右手で己の一物を弄りながら、ここへ来てからはじめての快感に酔いしれるのでした。ところがふと気がつきますと、麻縄の下の方には、やはり川上ゆうさんを恋い慕う男たちが、彼女を目指して、一心不乱に、やはりしこしこと懸命によじ昇ってくるではございませんか。

私はこれを見ると、驚いたのと恐しいのとで、しばらくはただ、阿呆のように大きな口を開いたまま、眼ばかり動かして居りました。自分一人でさえ断たれそうな、ましてすでに女教師を吊っている麻縄が、どうしてあれだけの人数の重みに堪える事が出来ましょう。もし万一途中で断たれたと致しましたら、折角ここへまで昇ってきた私自身も、元の地獄へ逆さまに堕ちてしまわなければなりません。そんな事があったら、大変でございます。が、そう云う中にも、男たちは何百となく何千となく、仄暗い地獄の底から、うようよと這い上がって、鈍く光る麻縄を、一列になりながら、せっせと昇って参ります。今の中にどうかしなければ、縄はまん中から二つに断れて、堕ちてしまうのに違いありません。そこで私は大きな声を出して、「この女教師は己のものだぞ。お前たちは一体誰に尋いて、昇って来た。下りろ。たのむから下りてくれ。」と喚きました。

本作品で使用されている画像の掲載場所
緊縛桟敷キネマ館