桃果さきさんが突然引退を表明したのは昨年の12月のことであった。撮影に嫌気 がさしたからではなくさきさんの私ごとの事情での引退であった。彼女のフアンは緊縛桟敷におおくランクで五指にのぼるほどである。他社でも相当に引退をお しむ声をきく、さんなわけで今回の掲載は昨年12月の暮れもおしづまった頃に撮影しました。看護婦の白衣が色白でふっくらした体型にとてもよく似合いま す、性格もおっとりとしていますしなによりもこの子には競争心、ねたみ、ひがみなどの女毒がない、従順に男についていくタイプの子であるかといって芯は強 い子である、モデルの収入は大衆食堂で働くよりも数倍のお金を得ることが出来るにもかかわらず
引退を決める価値観のはかりかたにも芯のぶれないたしかさがある。白衣の看護婦にもどります。N理事長の息子医師は桃果看護婦に入所当時からつきまどっていた、病院の物置と使用されなくなった病室の整理当番に休診日を選んで今日に指名したのもN医師の悪だくみである。
いくらひとのいいさき看護婦でもロープで縛り上げられて羞恥のかぎりをつくされては力かぎりの抵抗を試みるのであるが、休日の病院にはましてやここは人のよりつかない物置である助けに来てくれる人があろうはずがない。だが不思議なことに
死にもの狂いに抵抗しあばれるうちに体のすみにつかみどころのない変化を感じる
そ れは襲われて縛られて1、2時間たってからのことです、このようなみじめな裸の姿を見つめられて大嫌いな理事長の息子がいやらしい言葉で責め立てればたて るだけさきは絶望的な恥じらいの淵に堕ちる、すべての人格、思考を奪われた奈落には小さな固まりのまるで胎児のごとくの自分がいる、わめく男の声はさきの 恥らう心をたかぶらせるばかりである。これが調教のはじまり
噂によればその後のさきさんはある大衆食堂で白いエプロンと頭に三角巾をして元気に働いているとのことです。ここでも地元の人気者。
上記作品は、
緊縛桟敷キネマ館で掲載中です。
杉浦則夫緊縛桟敷 より原稿掲載