放課後のむこうがわ 16

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放課後のむこうがわ 16

 目が醒めたのは、どれくらい後のことだったろう。
 意識を失ってすぐみたいな気もしたし……。
 すごく時間が経ったみたいな気もした。

 わたしがいたのは、階段を上りきったとこ。
 あの2人の姿は見えなかった。
 校舎は、しんと静まり返ってた。
 2階の廊下にも、大きな窓が続いててね……。
 そこから射しこむ午後の光が、床板を暖めてた。
 光がさらさらと降り積もる音が、聞こえてくるみたいだった。

「え?」

 わたしは、ほんとに音を聞いたみたいに思って、耳を澄ませた。

 でもそれは、人の声だった。
 もちろん、あの2人の声。
 声は、光の射しこむ窓の向かい側、教室の中から聞こえてきた。
 2人に置いて行かれたんじゃないかって思ってたけど……。
 そうじゃなかった。
 2人は、まだいたんだ。

 わたしは、声のする教室に向かった。
 真っ直ぐ歩いてるつもりなのに、脚元が定まらない。
 夢の中を歩いてるみたいだった。
 見下ろす両脚は、付け根まで剥きだし。
 スカート穿いてないんだから……。
 さっきまでの出来事は、夢じゃないはず。
 でも、交互に歩んでいく両脚を見下ろしながら……。
 自分の脚じゃないように思えた。
 やっぱり、半分夢を見てたのかな。
 実はね。
 それからの記憶は、はっきりと時系列が繋がってないんだ。
 水に浮かぶ泡みたいに、ところどころ顔を出す感じ。

 2人の声は、だんだん大きくなってくる。
 もちろん、わたしの方が近づいてるからだけど。
 教室の扉は、開け放たれてた。

 目に飛びこんで来たのは、大きな窓。
 木桟で区切られたガラスが、一面の天井までを覆ってた。
 窓の外には、裏山の緑がのしかかるように見えた。
 窓の上下は3段になってるんだけど、一番下の段だけ、磨りガラスなの。
 あれはたぶん、授業中に窓の外が見えないようにしてるんだね。
 だって、あんなに山が近くに見えたら、気が散っちゃうもの。

 外は晴れてたけど……。
 陽の光は、窓から射しこんでなかった。
 たぶん、そういう方角になるように、教室が設計されてたんだと思う。
 天井まである窓から陽が射しこんだら、授業にならないもんね。

 その窓硝子を背に、あけみちゃんは立ってた。
 でも、窓に背中を付けてたわけじゃないの。
 窓の前に、木製の教卓が置いてあったんだ。
 そこにお尻を凭れるようしにて立ってた。
 ヘンよね?
 なんで、窓に向いて教卓があるんだろう。
 で、黒板の方を見ると……。
 そこにも、ちゃんと教卓があるのよ。
 どちらの教卓の上にも、ガラスの花瓶に花が生けられてた。
 まるで、先生が2人いるみたい。
 でも、一人の先生は、窓の外に向かって授業をしてる。
 きっとさ……。
 その先生の授業は、夜にあるんだよ。
 で、窓の外には、この世のものでない生徒が集まってる。
 なんてね。
 もちろん、これは冗談だけど。
 でも、いろんな想像をかき立てられる、不思議な教室だった。
 生徒の机だって、整然と並んでないんだ。
 てんでんばらばらに散らばってた。
 テレビで、山の分校みたいな教室が映されることがあるでしょ。
 複式学級みたいな。
 あんな雰囲気だね。

 で、あけみちゃんだけど……。
 窓に面した教卓にお尻を預け、少し前かがみで立ってる。
 あられもない姿で。
 下半身は、もちろん裸のまま。
 でも、もう股間に縄は渡ってなかった。
 両股は内股気味に閉じてるから、性器までは見えないけど……。
 縦長に整えられた陰毛は、はっきりと見てとれた。

 上半身は、上着を着てなかった。
 ブラウスだけ。
 ボタンはすべて外され、前身ごろが大きく開いてる。
 ブラが、胸下に引きおろされてて……。
 乳房が丸見えだった。
 その乳房を、上下の縄が潰してた。
 上着を脱がせて、また縛りなおしたってことだよね。
 その縛った主は、背中を見せて立ってた。
 もちろん、ともみさん。
 ともみさんの格好は、さっきと変わらない。
 スクールベストまできっちりと着け……。
 タータンチェックのスカートも、ちゃんと穿いてる。
 もっとも、その下はノーパンだったろうけど。

「どうしたの?
 そんな前かがみになって」

 ともみさんの声。
 でも、あけみちゃんが、腰を折るように屈んでるのは、無理も無いのよ。
 ともみさんは、長い定規を持ってた。
 厚いプラスチックの、透明な定規。
 50センチくらい測れそうな大きさだった。
 その定規の先が、あけみちゃんの股間に届いてるの。

「あぅぅ」

 あけみちゃんのうめき声があがった。
 厚い定規が撓んでた。
 股間にあてられた先っぽには、大きな力がかかってるはず。

「あふぅ」
「イヤらしい子ね。
 そんな顔して」

 あけみちゃんは眉を歪めてた。
 でも、それが苦痛を訴える顔じゃないことは、遠目からもわかった。
 閉じた内腿を、しきりに摺り合わせてる。
 きっと内腿には、膣液が伝ってたんじゃないかな。

「あけみがイヤらしー子だってことは、誰が見たってわかるんだよ。
 このおっぱい見たらね」

 ともみさんの定規が持ち上がり、あけみちゃんの乳房を小突いた。

「ひぎっ」

 あけみちゃんの身体が、スタンガンを当てられたように跳ねた。
 閉じられてた両腿が、左右に離れた。
 ナメクジの這ったような跡が、内腿に光って見えた。

「ほら、これ」
「あぁっ、あぁっ」

 ともみさんの言うことは、よくわかった。
 乳首が、ビンビンに起ってるの。
 綺麗な肉色の乳首なんだけど……。
 乳輪ごと持ち上がってた。

「ひぃぃぃ」

 食い縛った唇を割り、あけみちゃんの声が漏れた。
 定規の先が左右に振れ、乳首を嬲ってた。
 あけみちゃんは、懸命に内腿を擦り合わせてる。

「定規でイクつもり?」
「指で……。
 指で触ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「ダメー。
 定規でイキなさい」

 定規は乳首を離れ、宙に持あがった。
 その軌跡を、あけみちゃんの目線が縋るように追った。
 目線を振り切るように、定規が、タクトの軌跡を描いて振りおろされた。

 パーン。

 森に響く銃声みたいに聞こえた。

「あぎゃっ」

 定規の先が、あけみちゃんの乳首を潰してた。
 あけみちゃんの顎が落ち、洞穴みたいな口蓋が覗いた。
 両目は大きく見開いてる。
 瞳が、上目蓋に半分隠れるほどせり上がってた。

「ほんとにイッちゃった?」

 あけみちゃんが、細かくうなずいたように見えた。
 でもそれは、ともみさんの問いに答えたわけじゃないみたい。
 あけみちゃんの上体が、大きく前傾した。
 口の端から、涎の糸が床まで伸びた。

第十七話へ続く

文章 Mikiko
写真 杉浦則夫
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本年もご愛好誠にありがとうございました。

緊縛桟敷、キネマ館会員の皆様、緊縛新聞をご覧いただいている皆様には今年も大変おせわになりました。
また本年最後の更新となりました、城井桃さんの撮影会におこしいただきました方々にはあらためてお礼を申し上げます、桃さんから後日メールが届きまして撮影会の日は大変なエキサイティングな一日で皆様の熱い視線を体の中にいっぱいに貯めて帰りましたお礼を申し上げておいてくださいとありました。出来上がった写真を見ると桃はこの一日一度も気を抜く事が無く全身で縄の拘束を受け止めていたとみてとれる、お礼の返信を書きました。

今回は年内最後ということで前回城井桃さんが撮影会に 出演された第九回(画像は未だ未発表です、いずれ公開致します)の様子の現場動画も同時公開されております。

平成二十三年十一月十九日 六本木倶楽部スタジオにて
縄師、奈加あきら 氏。

年末年始のお休みは
12/29~1/4とさせて頂きます。この期間、銀行振込の対応、商品の発送がお休みとなりますが、クレジット決済に関しては平常通り行えます。

来年もどうぞよろしくお願い致します。

アンダーカバー・SUMIRE 8

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■第8章 終わりなき悪夢

「この苦痛から逃れるためならすべてを明かしてもいい。そう考えるようになったんだろ?」
恐ろしい記憶の世界を当て所なく彷徨う私は、草八木課長の言葉で現実に引き戻された。
「い、いいえ、そうではありません。私はあくまで・・・・」
そう言いかけた私の前に数枚の写真が無造作に並べられた。
それは公安外事○課の仲間の写真。彼らも私同様、Z国秘密組織の各所に潜入している捜査官たちだ。
「みんな殺られたよ。何者かによって組織に正体をバラされてね。」
その言葉の意味するところに気づいた私は愕然とした。そういうことか!
「SUMIRE君。君の証言どおりなら、君が組織の尋問を受けた直後に、彼らは無残な死体となって発見されたんだ。それも同じ日に。どうだい、ほかに情報が漏れる理由があるとは思えないが。」

私が拷問に屈して仲間を売ったというのか?そんな馬鹿な!
でも、本当に私は最後まで黙秘を貫いたのだろうか・・・・。
正直言うと、あの極限状態で自分が何を言ったのか、実のところ定かではないのだ。
もしかしたら、苦し紛れに仲間の潜伏先を口走ったのかもしれない。
いや、そんなことはあろうはずが・・・・・。だが、もし、あるとしたら、あの時か・・・・・。
私は混乱する頭を抱えながら、まるで忘れ物を探しに行くように、再び地獄の記憶の世界に戻って行った。

―――――――――――――――

電気拷問で意識を失った私の弛緩した体を吊り棒から降ろすと、NANAは両手を頭上に一まとめに縛り、両足を開いて跪かせた状態で柱を背に縛りなおした。

全身鳥肌が立つような不快感に目を覚ました私は、先ほどの電気ショックにより朦朧とする意識の中にNANAの姿をおぼろげながら捉えていた。
「電気も耐え抜くなんて、あなたやっぱり相当訓練されているようね。面白いわ。どこまで耐えられるのか、ますます試してみたくなってきたわ。次はこれよ。」
NANAが手にしたもの。それは一本の鳥の羽だった。
それを私の乳房にそっと当て、ゆっくりと乳房の稜線を辿りながら滑らせていく。
はうっ!うぐうぅぅぅぅ・・・・
まるでナイフで切りつけられるような鋭利な痛みがその羽の先が触れる部分に沸き起こる。
いったい、何なの、この羽は!!?
「ふふふ。驚いているみたいね。教えてあげるわ。あなたが気を失っている間に、強力な神経過敏剤をその大きなオッパイに注入してあげたの。痛覚反応を100倍まで高感度にする特殊なお薬よ。だからこんな羽で軽く触られたくらいでも、あなたには激痛に感じられるってわけ。」
羽の先端は乳輪に沿ってぐるりと一回りしたあと、刺激ではちきれんばかりに硬く勃起した乳首の先をゆっくりとくすぐり始めた。
あうっ!くぅぅぅ・・・・
「ほらね、耐え切れないほど痛いでしょ?でも本番はこれからよ。」
NANAは鳥の羽を捨てると代わりに一本の小さな針を指先に持ちかえた。
「や、やめて・・・・」
柔らかい鳥の羽ですらあのような激痛を生み出すというのに、こんな鋭い針で責められたら・・・。
私の目は恐怖に大きく見開かれ、思わず哀願の言葉を発してしまった。
「いいわよ、やめてあげるわ。だからいい加減教えて頂戴。あなたの正体、目的、ここで得た情報。その他あなたが知っているすべてのことを。」
「うっ、そ、それは言えない。言えないの!もうわかって。お願い許して!!」
私は全身を小刻みに震わせながら涙を流して訴えた。
もはや強がりや抵抗を演じるだけの余裕は私にはなかった。
憎い敵の前に思いっきり無様な姿を晒してでも、この恐怖から逃れたかったのだ。
もちろんNANAがそんな虫のいい条件を飲むとは思っていない。でも、そう言うしかその時の私には手がなかった。
「生憎だけど、そうは行かないわ。」
NANAは冷たく言い放つと、左手の人差し指と親指で私の左の乳首を摘み上げた。
ヒィィィィーー!い、痛いっ!!!
研ぎ澄まされた神経が引き起こす想像を絶する痛みに思わず顔をしかめた私を無視するように、針が無情にも乳首の横に突き立てられた。

プスッ、ツーーーー、針はゆっくりとしかし止まることなく乳首を抉りながら貫通した。
グギャァアァアァアアァァアアァァァアァァーーーーーー!!!!
私は乳首を切り落とされたような激痛に、大きな悲鳴をあげて仰け反った。
「さあ、もう一本行くわよ。」
「いや、いや、いや・・・・もう、お願い、やめて、お願い、許して!!!」
ウワァアァァァアアァァァァアアアアァァッーー!!
泣こうが喚こうがお構いなしに、右の乳首も同じく針の餌食となってしまった。
NANAは慣れた手つきで素早く2本の針にチェーンをつなぐと、その中央を指で持って激痛に必死に堪える私に問いかけた。
「その感じやすい淫らな乳首にお仕置きをしてあげるわ。あなたがすべてを白状するって言うまでね。さあ、さあ、どうするの?」
「だめ!言えない、言えない、言えない!!!」
ギャッァアァァアアァァアァァアアァアァァアァァッーーーー!!!
NANAの指がチェーンを引き、それにつれて私の乳首は上下左右に引き伸ばされた。
そしていつ果てるとも知れないNANAの嗜虐の指遊びに私の乳首はさんざん弄ばれ、ついには激痛のあまり悶絶するまで私は責め苛まれ続けたのだった。

次に気がついた時、何故か私は病室のベッドの上にいた。
失われた空白の時間を推定で補いながら経過を再現してみると、恐らく味方の特殊部隊によって私は救出され、そのまま治療のため公安局の医務室に運び込まれたということなのだろう。
少なくともあの地獄から脱することが出来たのは事実らしい。
しかし安堵する間もなく、私を待っていたのは身内による尋問であった。
捜査情報漏洩の嫌疑である。
忘れ去りたい忌まわしい記憶をこれでもかと言わんばかりに繰り返し報告を強要される。
NANAの拷問で心身ともにボロボロになっていた私は、草八木の執拗なまでの尋問で徐々精神を蝕まれていくのを感じた。
「いったい君はやつらにどこまで手の内を明かしたんだ?君の証言次第では、今後の捜査方針を変更せざるを得なくなる。どうしても本当のことを教えないつもりなら、手荒な方法も止むを得ない。覚悟するんだな。」
草八木は部下に私の身柄を拘束させると、特別取調室へ連行するよう命じた。
表向きには存在しないことになっている公安局の闇の拷問室だ。
でも私は負けない。きっと無実を証明してみせる。そして仲間たちを非業の死に追いやった真の犯人をいつか必ず突き止めて見せる。
私は自分自身に固く誓い、地獄に通じる道を歩いて行った。

尋問室に一人残った草八木はおもむろに携帯を取り出しナンバーを押した。
「ああ、私だ。すべては計画通りいったよ。SUMIREは情報漏洩の容疑者として逮捕した。危うくバレそうになったが、これでもう私がスパイとして疑われる心配はなくなった。協力に感謝するよ、NANA君。」

<完>

文章 蝉丸
写真 杉浦則夫
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放課後のむこうがわ 15

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放課後のむこうがわ 15

「もっと近くに寄って。
 そう。
 中まで見える?
 やっぱ、しゃがまないとダメね」

 ともみさんの言葉を待ってたように、わたしは腰を落とした。
 和式便器を使う姿勢だった。
 俯いた花を、真下から見上げる。
 花は、蜜を溢れ零してた。

「どう?
 綺麗?」

 わたしは、がくがくとうなずいた。

「あなたのも丸見えよ」

 わたしは、両膝を開いてしゃがんでた。
 はしたないおまんこが、ともみさんに見えるように。

「弄っていいのよ」

 ともみさんは親指を使い、クリの皮を剥きあげた。
 つやつやと光る肉色の珠が、宙に零れた。
 腿裏を撫で下ろしながら、わたしの指先が股間に届く。
 そこは、熱い泥を噴き零してた。
 熱泥をまぶした指先を、真上にスライドさせる。

「あひ」

 背肉がうねった。
 見下ろすと、揃えた指先が陰核を隠してる。
 指先を、ゆっくりと始動させる。
 楕円の軌道を描かせながら、徐々に力を込めていく。
 すぐに制御が効かなくなった。
 高速で回り始めた指先は、たちまち輪郭を消し……。
 オーバルの軌跡だけが、流星みたいに尾を引いて流れた。

「あぁぁぁぁぁ」

 顎が落ち、口元から悦楽が零れる。

「ちょっと。
 もうイキそうなの?
 せわしない子ね。
 ちゃんと見えてる?
 わたしのまんこ?」

 わたしは、かくかくとうなずいた。
 内腿に伝うナメクジみたいな跡まで見えてることを、目で訴えた。

「もっと寄って。
 ほら、アヒル歩き」

 わたしは、哀願の瞳で振り仰いだ。
 もう、この場でイカせてほしいと。

「ここに、キスしていいのよ。
 わたしの陰核を、鼻で潰しながら……。
 溢れ零れる蜜を、思い切り吸いあげて」

 わたしの脚が、人ごとのように動いた。
 ともみさんの脚元に、躄り寄る。
 ともみさんの片腿を抱えながら、真上を振り仰いだ。
 ほんとに綺麗な性器だった。
 小さな、おちょぼ口。
 膣前庭に穿たれた、尿道口まではっきり見えた。

「嗅いで」

 クビを伸ばし、鼻を突きあげる。
 微かな尿臭が匂った。
 幼いころを思い出しそうな、懐かしい香りだった。

「もっと、鼻くっつけて」

 言葉と同時に、後ろ頭を引きつけられた。
 顔面ごと、ともみさんの股間に飛びこんだ。
 鼻先が、スリットに潜りこんでた。
 熱かった。

「吸って」

 唇を付けようと顎を上げると、鼻先はスリットを抜け、陰核に定まった。

「そこそこ」

 ともみさんのしてほしいことが、瞬時にわかった。
 陰唇の狭間に口を着け、溢れ出る蜜を吸い上げる。
 同時に、鼻先で陰核を捏ね潰した。

「わひぃ」

 はしたない声をあげながら、ともみさんが腰を煽る。
 わたしは、ともみさんのお尻を抱えこんだ。
 尻たぶの窪みが、手の平で踊った。

「いぃっ。
 いぃっ」

 ともみさんは、容赦なく腰を押しつけてくる。
 同時に、後ろ頭も引きつけられる。
 凄い力だった。
 陰唇が、蛭みたいにわたしの口を覆った。
 鼻先もひしゃげて、スリットに呑みこまれた。
 鼻梁が、陰核を潰してた。
 ほとんど息ができない。
 わたしは、ともみさんのお尻を叩き、苦痛を訴えた。
 でも、ともみさんは聞いてくれなかった。
 抱えられた後ろ頭が、揺さぶられる。
 息が苦しくて、ともみさんの腰を突き放そうとした、その時……。

「はぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 ともみさんが咆哮した。
 蒸気機関車の汽笛みたいだった。

「くわっ。
 くわっ」

 汽笛は途絶え、カエルが潰れるみたいな奇声に変わってた。
 後ろ頭が振り回される。
 絶息する……。
 そう思った刹那、後ろ頭を掴む手から、力が抜けた。

「はふっ」

 顔面を振り起こし、空気を貪る。
 ともみさんが、見下ろしてた。
 真っ白い目を見開いて。
 半開きの唇から、涎が一筋伸びてきた。
 下りてくる雫の珠に、わたしが映ってた。
 いや、わたしが雫の中に入ってるんだ……。
 なんて、ぼんやり思った途端、雫が目の中に落ちた。
 わたしは、銃弾に撃たれたみたいに跳ね退いた。
 わたしの支えを失っても、ともみさんはその場に立ってた。
 真っ白い目が、床板を睨んでた。

「あぶぶ」

 唇から、あぶくが噴き零れた。
 床を指してぶら下がった両手の先が、ビンの蓋を開けるみたいに回ってた。
 階段柱にあげた片脚が、ゆっくりと離陸する。
 バレーダンサーが片脚足立ちしたポーズが、一瞬だけ固定された。
 窓枠からの光が、そのフォルムを包んでた。
 光を背に受けたともみさんの輪郭が、ダイヤモンドリングみたいに輝いた。
 頭の中で、ゆっくりとシャッターの落ちる音がした。
 刹那……。
 ともみさんの身体は、その場に崩れ落ちた。

 床板には、2体の壊れた人形が転がってた。
 ともみさんとあけみちゃん。
 横向きのあけみちゃんの目蓋は、すでに閉じられてた。
 制服の胸が、規則正しく起伏してる。
 白い頬に、光が浮いてた。

 対するともみさんは、まだ死にたてって感じだった。
 仰向けに転がった勢いで、両脚は大きく開いてた。
 スカートは、お腹の上まで捲れ……。
 無毛の下腹部が剥き出し。
 陰核は、真珠を嵌めこんだみたいに勃起したまま。
 半開きの陰唇は、まだ新しい雫を生んでた。

 わたしの脚は、夢遊病者みたいにひとりでに歩んだ。
 ともみさんの頭部に回りこむ。
 仰向けの顔が、真下に見えた。
 両目は見開いたまま。
 でも、大きく紡錘形に開いた目の中に、瞳は無かった。
 練乳のような眼球が、虚空を見据えてる。
 綺麗だった。
 わたしも、こんな顔をして死にたいと思った。

 わたしの指が、勝手に動き出してた。
 もちろん、陰核を揉んでるのよ。
 膝を開き、腰を落とした。
 いわゆる“がに股”の姿勢ね。
 この格好でする立ちオナニーは、ほんとに気持ちいいんだよ。
 快感を、情動が後押しするのかな。
 叫びたくなる。
 わたしは、変態なのよぉって。

 注射痕を揉むように動き出したわたしの指が、次第に速度を増した。
 見下ろす指先が、輪郭を消す。
 陰核は、たちまち練りあげられた。

「イ、イク」

 尻たぶが、魚の鰓みたいに宙を煽るのがわかった。
 刹那、瘤立った柱が全身を貫いた。

「あぎゃっ」

 視界が大きくぶれると同時に、緞帳が落ちたみたいに世界が暗転した。
 瞳が裏返ったんだね。
 自分の頭が、床に転がる音を聞いた気がする。
 それっきり、わたしの意識は消失した。

第十六話へ続く

文章 Mikiko
写真 杉浦則夫
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