本サイトの出演は最多で、その人気もだんとつのトップである。人気の裏には川上の努力と変態嗜好にある、緊縛が心地いいものと知ってから4年猶予のあいだに体で覚えた感覚を毎回深めている。
その過去には文字道理傷だらけで危険な過去も通過している。高て小手責めで左腕の神経を切り運動麻痺、首縄締め責めでの窒息寸前で死斑らしきものをつくったり、足先から頭までの拘束に呼吸困難をきたした恐怖、数えれば毎回がこんな挑戦的な態度で楽しみを深めているのだろう。
初めの頃は大勢のスタッフの前で隠れた本心を曝け出す視姦的な快楽であったはずのものが、今は長時間の逆さ吊りなどで頭の思考の感覚が消え、真っ白い世界を招くうちにある時間、そこからゆっくりと覚醒してくるあいだの感覚が現実にはない感覚で気持ちいいという。
経験者にない私にとっては失神時の暗黒の世界からたちかえった五感のめばえにちかい再生と置き換えて理解におよぶしかない。
今回の掲載は三和出版発行の「川上ゆう写真集2」(仮題)4月中旬発売との合同撮影を2日にわたって撮影した、写真に関しては桟敷が先行掲載であり、三和出版の内容にはVTRに江戸刑罰の責めを主体に構成されている、まだ編集されたものは見ていないが撮影時の現場での感想はいいものであった。緊縛桟敷キネマ館で掲載のVTRは川上ゆうの緊縛時の心のうちを撮る試みをしている。
さて本文に戻ります、撮影当日は大変寒い日でした、大勢のいる部屋の窓を二重に閉め暖房を極度にきかせた部屋の空気はまたたくまに汚れ希薄になる、こんな環境ではまず最初に倒れるのはモデルさんである。撮影中場に柱に縛られたゆうの顔から血の気がひいた、スタッフが慌てて中止を叫んだが、私はそれを制して撮影を続けた、力の抜けたゆうの姿があまりにも艶かしく美しいのだ、肌は透明でさえある、視点を失い浄化された顔、まさに緊縛写真のテーマがそこにあった、過酷ではあったがゆうならば許すはずだ。
石抱きの刑罰、鋭角に三角に刻まれた波打つ板の上に数分正座することは自信の体重で脛の骨に激痛がおこり耐え得るものではない。が、ゆうはその上に三枚の石を抱き耐えた、泣いた、しかしゆうにとってそれも自分への挑戦であろうし納得のある姿を読者に見ていただくための姿勢だ。駿河問い責め、ここでも石責めに挑む。この撮影を終えて全てを出し切った清々しさを味わう。
杉浦則夫緊縛桟敷 より原稿掲載
緊縛桟敷キネマ館 にて発売中