放課後の向うがわⅡ-28

 理事長は、歯を食いしばった表情のまま、後退った。
 半身に折った背中越しに、お尻が迫り上がった。

「ゆう。
 ゆう。
 見て」
「こんなに近くで見てる」
「後ろ。
 後ろから見て。
 ゆいのおまんこに、肉棒が突き刺さるとこを……。
 見てぇぇぇぇぇ」

 理事長は、きりりと眉を上げ……。
 そのまま後ろに、身を煽った。
 眼球が、引き上げられた深海魚みたいに膨れた。

「あぎゃぁ」

 表情が、弾けるように崩れた。
 首をうねらせ、空中を舐め回す。

「あぐぅ。
 ゆうちゃん……。
 見てる?」
「……」
「言って。
 どうなってるか言って」
「奥まで刺さってる」
「見える?」
「お尻に隠れて、よく見えない」

 理事長は顔を持ちあげ、再び表情を整えた。
 力んだ眉が、阿修羅像みたいだった。

「はぅ」

 理事長は、深淵を覗くように、身を前傾させた。

「見えた。
 見えたよ」
「言って。
 どうなってるか、言って」
「咥えこんでる」
「やらしい?」
「ゆいのおまんこ、動いてる。
 焼き網に載せられたアワビみたい」
「じっとしてると、肉棒を呑みこもうとするの」
「あ、お汁が零れた」
「あぁ……。
 焦れったい。
 がんがん突いて欲しいのに」
「無理よ。
 柱にそんなこと言っても」
「それなら、わたしが動くわ。
 こうやって。
 はぅっ」

 理事長が、身を畳んだまま後ろに跳ねた。
 外敵から逃れるエビのようだった。
 尻が柱を叩き、鈍い音を立てた。

「そんなにしたら、子宮が破けちゃう」
「奥がいいの。
 いいのぉぉ」

 理事長は再び前傾すると、すぐさま身を煽った。
 柱が揺れた。

「はぅぅ」

 理事長は、たちまち往復するピストン機関となった。
 尻が、高速で柱を打ち始める。
 柱は、アフリカの打楽器のように鳴り始めた。

「もう、速すぎて見えない」
「前に、前に来て。
 おまんこ、見せて」

 川上先生が、理事長の前に回った。
 理事長の顔が、川上先生の身体に隠れる。
 この状態なら、わたしへの視線は来ない。
 鏡の裏から片目で覗いてたわたしは、鏡から顔を出した。
 川上先生の肉付きのいい後ろ姿が、目の前にあった。
 みっしりと、隙間も見せず揃った太腿。
 曲線を描いて張り出したお尻。
 そして、腰骨の上で翳を孕む、天使のえくぼ。
 妄想したとおりの裸だった。

「はぅっ。
 はぅっ。
 ゆうちゃん……。
 開いて。
 開いて見せて」

 川上先生の太腿が別れた。
 両膝を外側に割り、腰を落とす。
 いわゆる、がに股の姿勢。
 尻たぶが、羽二重を押したように窪んだ。

「おまんこも開いて」
「できないわ。
 縛られてるんですもの」
「力を入れて。
 ぐっと。
 そう。
 見えた。
 見えたわ。
 ゆうちゃんのハラワタ」
「あぁぁ。
 弄りたい。
 弄りたいよぉ」

 川上先生は、がに股のまま身をくねらせた。

「そんな格好で、オナニーしたいの?」
「したい……」
「したことあるのね」
「……」
「どこで?」
「学校の、おトイレ」
「まぁ、はしたない」
「だって、理事長先生……。
 じゃなくて、ゆいとの夜を考えたら……。
 待ちきれなかったんですもの」
「可愛いわぁ。
 おトイレで、立ったままやったのね」
「思い切り」
「声が出ちゃうでしょうに」
「パンティを咥えて」
「ショーツ脱いじゃってたの?」
「全部脱いでた」
「全裸で?
 変態ね」
「あぁ。
 言って。
 もっと言って」
「変態!
 ゆうの変態!」
「あひぃ」
「でも、ゆうだけじゃないわ。
 ゆいも変態。
 だから2人は、変態姉妹。
 畜生の姉妹よ」
「あぁぁぁ」

 川上先生は、夜の桃みたいに重そうなお尻を、ゆらゆらと揺らし始めた。
 “天使のえくぼ”が翳を孕み、顔のように見えた。

「もうたまらないのね。
 もっと近くに来て。
 わたしが、お口でしてあげる」

 川上先生が、尻たぶを窪ませながら、にじり寄る。
 その尻たぶが跳ねた。

「わひぃ」

 ピストンを止めようとしない理事長の顔が、川上先生の股間を叩いたのだ。
 川上先生は、一瞬砕けかけた腰を立て直すと、理事長の顔を迎えに行った。
 理事長の顔が繰り出されるのに合わせ、腰を煽る。
 わたしからは見えなかったけど……。
 理事長の顔と川上先生の股間が、空中で衝突してるのが、はっきりとわかった。

 理事長のピストンが速まった。
 纏めてた髪が解けた。
 理事長は、散らし髪を振り立てながら、川上先生の股間を抉る。
 川上先生の腰も、輪郭を消し始めた。

「イ、イク。
 イク」

 川上先生が、声を裏返したそのときだった。

「何してるの、あんたたち!」

 叩きつけるような声が、間近から聞こえた。
 わたしは、新たな人物の登場に動転し、その場に身を縮めるしかなかった。
 その人物は、まさに忽然と現れたとしか思えなかった。
 いくら2人の痴態に見入ってたとしても、近づく靴音くらいは聞こえたっていいはずだ。
 身を縮めたわたしに、初めてその靴音が聞こえた。

「おとなしく待ってなさいって、言ったでしょ」

 靴音は少し遠ざかり、その人が舞台中央に進んだのがわかった。

「あぁ」

 川上先生の、嘆きに似た裏声と共に、重そうな響きが床を伝わった。

「はしたない子ね。
 腰抜かしたりして。
 呆れ返ったわ。
 人の顔使ってオナニーするなんて。
 それでも教師なの。
 あらあら。
 もう、何を言っても聞こえないみたいね。
 白目剥いちゃって」

 再び、靴音が響いた。

「でも、こっちはもっと悪いわね。
 仮にも理事長でしょ。
 学校法人の。
 それが、柱に括りつけたディルドゥを、下の口に咥えこむなんて……。
 はしたないにも程があるわ。
 上のお口で舐めてなさいって言ったでしょ。
 まだ、咥えこんでる気?
 抜きなさいって」

 床を、柔らかい音が打った。
 理事長の身体が崩れたに違いない。

「悪い子たちには……。
 お仕置きが必要ね」

 靴音が微かに近づいたけど、逆に声は遠くなった。
 その人は、こちらに背を向けたに違いない。
 音楽やってると、そういう音の気配が感じられるのよ。
 ここまで来て、わたしは我慢が出来なくなった。
 見届けたかった。
 学園の理事長と教師を、自在に蹂躙できるその人物を。

 わたしは、伏せていた身から、ヘビのように首を持ちあげた。
 もし見つかったとしても、縛られてる床の2人は戦力にならない。
 それなら、女同士の1対1だ。
 声の発せられる高さからして、それほど大柄な女性じゃない。
 逃げるチャンスは、十分あるはず。
 そう自分に言い聞かせながら、鏡の裏から顔を覗かせた。

「呆れた人たち。
 2人して気をやっちゃうなんて」

 その人は、仰向いた理事長の枕元に腰を下ろし、顔を覗きこんでた。
 理事長は、白目こそ剥いてなかったけど……。
 視線はあらぬ方を指してて、意識の焦点は結ばれてないようだった。

「ほんとに気持ちよさそうにイッちゃって。
 どうなの、この顔」

 その人の手が、理事長の顎を掬い取った。
 理事長の顔が横を向き、視線がこちらに流れた。
 思わず、首を引っこめそうになったけど……。
 その両目が何も見てないことは、すぐに解った。


「死に顔みたい。
 こんな顔で死ねたら、幸せよね。


 魂を失った抜け殻って、どうしてこんなに美しいのかしら。
 このまま、わたしの魂が身投げしたら……。
 この美しい身体に入れるんじゃないかしら。
 なんてね。
 いくらわたしでも、そこまでの能力は無いわ。
 ほら、いつまで寝てるの!
 起きなさい」

 その人は、理事長を邪険に突き放し、その場に起ちあがった。

「まだ起きないつもり?
 もう気持ちのいい時間は終わりよ。
 先にいい目を見ちゃった子には……。
 たっぷりと痛みを味わってもらうわ。
 どうしてやろうかしら」

 その人は、顎を指先で支え、思案を巡らせてるようだった。

「あら」

 軽やかにヒールを響かせながら、その人は部屋の隅に屈みこんだ。
 再び身を起こすと、手には細長い棒のようなものを持ってた。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-27

 縄を纏った女が2人。
 床には、畳が敷いてあった。
 2人は、その畳に座りこんでる。
 2人の間には柱が立ってて、その柱を挟むように向かい合ってる。
 ひとりの顔は、正面から見えた。
 思ったとおり、川上先生だった。
 想像だけしてた裸が、目の前にあった。
 思ってた以上のボリュームに驚いた。
 お腹の肉が括れを作ってる。
 もう1人の身体は、見事なほど引き締まってた。
 ときおりうねる背中に、筋肉が浮きあがる。
 アップにまとめた髪から、解れた髪がうなじに流れてる。
 同僚の教師に、こんな体型の持ち主は思い当たらない。
 と言って、生徒では絶対ない。
 成熟しきった大人の身体だった。
 誰なのか確かめたい。
 わたしは、危険も忘れて身を乗り出した。
 刹那……。
 川上先生が、高い声で鳴きながら、仰け反った。
 それに応えるように、もう1人が顔を傾けた。
 見えた。
 知ってる顔だった。

 考えてみれば……。
 もう1人が塔の主だってことは、ごく当然のことだったのよね。
 川上先生が、塔への鍵を持ってたわけも、これでわかった。
 でも、理事長には命令されることしか無かったせいか……。
 自分と同じ人間だって意識を、持ってなかったのかも。
 だから、裸を想像したこともなかった。
 これまで、天上から見下ろされてた人が、今、わたしの眼の前にいる。
 性欲を剥き出しにした、1人の雌として。
 激しい興奮が、わたしの脊髄を貫いた。
 下腹が捻られる。
 思わず、スカートの股間に拳を押しあてた。

 2人は、何かささやき交わしてた。
 でも、弦を引くような高音に、くぐもった鼻濁音が混じって、よく聞き取れない。
 もどかしかった。
 2人は、畳にひざまずき……。
 柱に取り付けられた何かを、両側から挟むように向き合ってる。
 柱を中心線にした鏡像みたいな格好ね。
 その柱に取り付けられた何かが、よく見えない。
 最近、近視が進んで、コンタクトが合わなくなってるの。
 声を聞きたいし、2人の姿をもっと近くで見たい。
 我慢できなかった。
 身を移せる場所は、さっきから目に入ってた。
 大きな姿見が、立ててあったの。
 そう。
 ここにある、この鏡よ。

 この姿見が、2人の方を向いて置かれてあったの。
 まるで、2人の舞台を見る観客席みたいに。
 あの裏側なら、隠れられる。
 そうは思ったけど……。
 なかなか踏み出せなかった。
 でも、とうとう好奇心が勝った。

 天上から下がる裸電球は、わざとワット数の小さい電球を使ってるとしか思えなかった。
 2人の舞台をほんのりと浮かびあがらせるだけで、壁際までは届いてない。
 わたしは、手に持ったパンプスを、幕の外に置いた。
 暗がりに揃えられたパンプスは……。
 なんだか、身投げする人が残したみたいに見えた。
 でも、そう思ったら、逆に度胸が座った。
 そう。
 この幕を抜けて、わたしは彼岸に渡るんだ。
 別の自分に変わるんだって。

 もう一度、2人の様子を確認する。
 声はすでにうわ言に近く、忘我の境地って感じだった。
 おそらく、お互いの目の中しか見えてないはず。
 わたしは、幕の裾から這い出した。
 そのまま、壁際に沿って移動する。
 2人と鏡を結ぶ線上の位置で止まり、90度方向を変える。
 鏡が作る死角に身を縮め、這い寄っていく。
 おそらく、こちらを注視されたら、身を隠し切れてはいないはず。
 でも、見られる心配は薄いようだった。
 2人は、眼球を鎖で繋がれたように見つめ合ってたから。

 ようやく、鏡の真裏に身を寄せた。
 大振りな鏡は、おそらくわたしの全身を隠してくれてる。
 わたしは、鏡の縁から、そっと顔を覗かせた。
 2人の姿が、間近に見えた。

 柱から突き出てるものの正体が、ようやくわかった。
 それは、わたしの想像を超えた、最低に下品な代物だった。

 張り型だったのよ。
 わかる?
 勃起した陰茎を象った作り物。
 安っぽい肌色の質感が、よけいに淫猥に見えた。
 バイブみたいな棒型じゃなくて、陰嚢を模した平らな基部を持ってる。
 立てておけるのね。
 その基部が柱に密着し、陰茎は水平におっ勃ってる。
 もちろん、柱に括りつけられてるわけ。
 それがまた、白い布でね。
 まるで、褌を絞めたみたい。
 褌の脇から、ちんぽを突き出した変態男。
 その陰茎を、一生懸命2人で舐めてるの。

 理事長は、張り型に舌先を這わせてる。
 陰茎の肌には、誇張された血管が巡ってる。
 浮き出た血管を舌が乗り越えるたび、舌体がビラビラと震える。
 陰唇みたい。
 女の口が性器だってことが、まざまざとわかる。
 川上先生は、舌先で亀頭をなぞってる。
 張り出したカリ首を、愛おしむように。
 わたしはエラの張ったカリが好きなんですって、一生懸命舌が言ってた。


 ここまで近づくと、2人の声もはっきり聞こえた。
 はしたなくて、イヤらしい雌同士の会話。

「理事長先生……。
 頬張りたい。
 お口いっぱいに」
「ダメよ……。
 お預けって言われてるでしょ。
 舐めるだけって」
「欲しいの……。
 ノドの奥まで」
「あぁ……。
 そんなこと言わないで。
 わたしも欲しくなっちゃう。
 このカリで、おまんこの襞を研ぎ下ろされたら……。
 どんなにいいでしょう」

 聞いてるほうが、おかしくなりそうだった。
 わたしは、スカートの上から、拳を股間に押し当てた。
 太腿に力を籠めると、お汁が滲むのがわかった。

「理事長先生、もう我慢出来ない。
 お口に欲しいの」


「ダメダメ。
 叱られるわ」
「ちょっとだけ。
 だって、ほったらかしにするあの方が悪いのよ」
「もうすぐよ。
 もうすぐ戻ってらして、お預けを解いてくださるわ」

 この会話で、わたしは総身に水を浴びたように震えあがった。
 どうして気づかなかったんだろう。
 目の前の2人は、どちらも後ろ手に縛られてる。
 ひとりがもうひとりを縛ることは出来ても……。
 残された1人は、自分自身を縛れない。
 つまり、もう1人いたのよ。
 この2人を縛った誰かが。
 わたしは床に突っ伏し、身を縮めた。
 その誰かに、真後ろから襲われそうな気がした。

 ここから、逃げなければ。
 もう一度、2人の視線を確かめる。
 陰茎を舐めあがった理事長も、舌先を亀頭に這わせてた。
 2人の女は向かい合い、舌先を炎のようにちらつかせてる。

 こっちは見えてない。
 身を翻すタイミングを図る。

「まだなの?
 まだお姉さまはお戻りにならないの?」
「ほんとに遅いわねぇ」

 わたしは、反転しかけた身を止めた。
 お姉さま?
 ということは、第3の人物は女性だ。
 しかも、“あの方”という言葉を使うからには、それもひとり。
 そうであれば、さほど恐れることはないではないか。
 ここにいる2人は、後ろ手に縛られ、戦力にはならない。
 もうひとり現れたとしても、実際には一対一だ。
 逃げる隙はあるはず。
 それに……。
 この2人を縛った“女性”を、どうしても見届けたかった。
 わたしは、反転させかけた身を戻し、再び鏡の後ろにうずくまった。

「ゆうちゃんにちょうだい。
 このおちんちん、ちょうだい。
 ゆうちゃん、お口一杯に頬張りたいの」
「またそんな赤ちゃん言葉使って。
 ずるい子ね。
 その甘ったれ声で、お姉さまに気に入られようとしてるのね」
「そんなことしてません。
 どうしてそんなこと言うの?
 おかしいわ」
「そうなの。
 あの方が現れてから……。
 頭の中が、大混乱。
 ゆうちゃんが、ハーネスを付けたあの方に犯されてるとこ見ると……。
 悲しくて切なくて、涙がボロボロ出るのに……。
 下のお口からも、お汁がどんどん溢れてくる。
 わかる?
 この気持」
「すごくわかる」
「うそうそ」
「わかるもん」
「じゃ、今日は、わたしがお姉さまに犯されてもいい?」
「いや。
 理事長先生のそんな姿、見たくない」
「“理事長先生”は、やめて。
 そんな偉そうな肩書きで崇められる日常が、ほんとは好きじゃなかった。
 あの方が現れてから、それがはっきりわかったの」

「あの方に命令されると、嬉しくて仕方ないの。
 ご褒美に、足の指をしゃぶらせていただくのが、至福のとき」
「理事長先生……」
「だから、それはやめて。
 名前で呼んで。
 結(ゆい)って」
「ゆい?」
「そうよ。
 ゆうとゆい。
 まるで、双子の姉妹みたい」
「双子?」
「そう。
 2人は、羊水の中にいるときから、裸で寄り添ってたの」
「そして今も?」
「そうよ。
 だから今も、2人とも裸」
「でも、ゆうは、威厳のある理事長先生が好きなのに」
「2人だけのときは、これからもそうしてあげる。
 でも、あの方の前では、双子の姉妹にさせて」
「ゆいとゆう?」
「そう。
 ゆうとゆい」
「わかった」
「じゃ、いいでしょ?
 今日は、わたしが犯される番。
 ゆうに見つめられながら……。
 欲しいままに犯されたいの。
 あぁ。
 まだかしら。
 もう、我慢出来ないわ」
「どうする気?」
「このディルドゥを、あの方がハーネスに装着するまで待てないの。
 今、欲しいの」

 理事長は、その場に起ちあがった。
 後ろ手に縛られた身体が、よろめいた。
 脚が痺れたというより……。
 ささやき交わした睦言のせいで、腰が抜けそうなほど興奮してるのがわかった。
 股間から垂れ零した液体で、ナメクジが這ったような筋が、太腿を伝っていた。

「見て。
 ゆいが後ろから犯されるとこ」

 理事長は、腰をかがめながら顔をひねり、川上先生を見上げた。

「ダメよ。
 叱られるわ」
「叱られてもいいの。
 いいえ。
 叱られたいの。
 罰されたいの」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-26

 わくわくしながら、その日を待ったわ。
 セピア色だった女子高の日常が、鮮やかな色に輝き出した。
 で、ある週末の放課後。
 川上先生の様子に異変を感じた。
 わたしは、折りたたみの手鏡を机に置いて、ずっと先生を観察してたの。
 だから、小さな変化も見逃さなかった。
 それほど忙しい時期でもないのに、居残ってるし……。
 と言って、仕事をしてるふうでも無い。
 ノートパソコンに向かいながらも、心ここにあらずって感じね。
 何かあるって思ったわ。

 外が暗くなりかけたころ……。
 川上先生がパソを落とし、起ちあがった。
 まばらに残る同僚に、『お先に』の言葉を残して扉を出てった。
 先生の足音が聞こえなくなるまで待ち、わたしも席を立った。
 廊下に出ると、もう先生の姿は見えなかった。
 もし、わたしの思い違いで、先生が真っ直ぐに帰ったんなら……。
 それはそれで仕方ない。
 次の機会を待てばいい。
 わたしは、躊躇なく塔に向かった。
 曲がり角ごとに、そっと覗くんだけど……。
 先生の姿は見えない。
 やっぱり今日は外れかと思いつつ、最後の角から顔を覗かせたら……。
 遠い扉の前に、背中が見えた。
 見間違えようのない、白いブラウス。
 わたしは、慌てて顔を引っこめた。
 振り向かれたらヤバいもんね。
 遠くで扉の閉まる音を確かめ、扉に続く廊下に踏み出した。
 もう、そこには誰の姿も無かった。
 でも、さっきの背中が、扉の向こうに消えたことは間違いない。
 その扉のほかに、行き場は無いんだから。
 わたしは、足音を殺しながら、扉に駆け寄った。
 なんだか、身体がフワフワと軽くて、宙を飛んでるように思えた。
 夢の中にいるみたい。
 扉の前で立ち止まって初めて……。
 自分の心臓が、早鐘みたいに鳴ってるのがわかった。
 2,3度深呼吸して、ノブに手を掛ける。
 開かない。
 やっぱり、向こうからロックしたのね。
 もちろん、これは想定内。
 わたしは、ポケットから合鍵を取り出し、ノブの鍵穴に挿しこんだ。
 指に伝わる手応えを感じながら、鍵を回す。
 くぐもった金属音を響かせて、鍵は180度回った。
 でも、なかなか扉を開く勇気が出ない。
 この扉を入ったら、もう後戻りできない。
 そんな気がしたの。
 だけど、そのまま引き返す気なんて、もちろん無かった。
 気づくと、握ったノブが、わたしの手の温度と同じになってた。
 校舎の外で、カラスが鳴いた。
 わたしには、それが合図だった。
 ドアノブを回し、押し開く。

 考えてみれば……。
 塔に入ったのは、竣工パーティ以来かも。
 建築中は、毎日のように通ってたのにね。
 でも、目の前に開けたホールは、記憶にあるままだった。
 まるで、ここだけ時が止まってたみたい。
 夕暮れの、がらんと静まり返ったホール。
 もちろん、明かりは灯されてない。
 ステンドグラスから差しこむ光が、床に綺麗な模様を描いてる。

 わたしは、もう一度復唱する。
 ここに入ったのは、川上先生を見かけて、不思議に思ったから。
 扉には、鍵がかかってなかった。
 うなずきながら、扉を振り返る。
 でもそれなら……。
 わたしがここをロックしたら、ヘンかな?
 だけど、開けっ放しにしておくのは、どうしても不安だった。
 わたしと同じように、ここに入りこむ人物がいないとも限らない。
 背後から、誰かがつけてくる……。
 その妄想だけは振り切りたかった。
 ラッチを回し、扉をロックする。
 無意識にロックしたんだと、自分に言い聞かせながら。
 でも、ノブを掴み、開かないことを確認すると……。
 逆に、度胸が座った。
 この先、鬼が出るか蛇が出るか……。
 見届けてやりましょう、ってね。

 ホールの空気は、しんと静まり返って、人のいる気配がない。
 それなら、川上先生はどこに消えたのか。
 2階しか考えられなかった。
 わたしは、華奢な階段に向けて歩き出した。
 吹き抜けの高いホールに、ヒール音が木霊する。

 階段から見下ろす景色は、夢で見た記憶のように綺麗だった。
 ステンドグラスを透いた細長い影が、床に幾本も絵画を描いてる。
 わたしは思わず立ち止まり、胸ポケットからカメラを取り出した。
 川上先生を監視するようになってから、カメラは常時持ち歩くようにしてるの。
 どんなネタが撮れるかわからないものね。

 カメラを構えると、細い手すりに両腕を載せて固定する。
 液晶を覗きながら、ホールの全景を収める。
 小さなシャッター音が響いた。
 写真を撮るのは、わたしにとって、おまじないのひとつなのよ。
 緊張してるときとか、不安になったときに撮るの。
 カメラを構えるってのは、そのシーンで第3者になる儀式なわけ。
 当事者の立場じゃなくてね。
 だから、客観的になれるんじゃないかな。
 美里も、大学受験のときとか、やってごらん。
 試験場のまわりとか、受験生の表情。
 シャッター押さなくても、覗くだけでもいいのよ。
 はは。
 また、脱線ね。
 でも、勉強になったでしょ?

 階段を上りきったところで、ホールを背にした。
 正面の理事長室まで、綺麗な遠近法で真っ白い廊下が伸びてる。
 左右に、いくつかの扉。
 川上先生は、そのどれかに入ったに違いない。

 廊下を歩き始めると、思いのほか靴音が響いた。
 パンプス、脱いじゃおうかと思ったけど……。
 そんな姿を見られたら、言い訳のしようが無いし。
 懸命に足音を忍ばせて進んだ。
 扉の前では足を止め、中の気配を伺った。
 でも、何も聞こえない。
 気配もしない。
 理事長室の扉が、真正面に迫ってくる。
 今にもそれが開き……。
 わたしを糾弾する指が突きつけられる。
 そんな妄想がちらつき始めたころ……。
 聞こえた。
 声。
 女の人の声。
 言ってる言葉までは聞き取れなかったけど……。
 日常会話じゃないってことは、はっきりとわかった。
 粘るような甘ったるいトーンが、ところどころ跳ねあがる。
 2種類の声が交差し、重なってる。
 わたしは、声の漏れてる扉に擦り寄った。
 それがこの、理事会室だった。

 この部屋の工事は、途中で放棄されたはず。
 立ち会ったわたしは、その経緯を知ってる。
 その後、工事が再開された話なんて聞かない。
 それならどうして、その部屋から声が聞こえるのか?
 逃げ出したい恐怖に、好奇心が勝った。

 鍵穴を覗いたけど、何も見えない。
 扉に耳を着ける。
 声は、部屋の奥からのようだった。
 耳を着けても聞き取れない。
 ぷつぷつと粒を潰すような響きに、ときどき裏返った高音が伸びあがる。
 我慢できず、ドアノブに手を掛けた。
 鍵が掛かってなかったことに気づいたのは、扉が開いてからだった。
 でも、この事実に、わたしは意を強くした。
 だって、ここに鍵が掛かってないってことは……。
 塔の入口に鍵を掛けただけで、事足りるってこと。
 つまり、塔の中には、この部屋の声の主しかいないってことじゃない?
 それなら、背後から誰かが現れる心配は、もうしなくていい。
 わたしは、扉の隙間を少しずつ広げていった。

 まだ外は暮れ切ってないはずなのに、扉の中は夜のように暗かった。
 窓に打ちつけられた横板のせいだってわかったのは、後になってから。
 そう言えば、おととしだったかの台風のとき……。
 塔の窓を、大急ぎで塞がせたことがあったの。
 外から塞ぐのは無理だから、内側から塞いだわけ。
 割れたガラスが散乱しないように。
 台風のあと、ほかの部屋の板は外されたようだけど……。
 ここだけは、そのままにされたみたいね。
 ま、倉庫代わりに使うんなら……。
 光が入らない方が、収納物が日焼けする心配も無いわけだし。

 扉の隙間から、中を伺う。
 聞こえる声は、少し大きくなったけど……。
 聞き分けるには、まだ遠かった。
 声の主は、扉からは離れた位置にいるようだった。
 目が慣れると、部屋は真っ暗じゃなくて、遠くから微かな光が差してるのがわかった。
 声の主は、きっとその光源付近にいるに違いない。
 扉からわたしが入っても、声の主は気づかないだろう。
 そう思ったけど、なかなか踏み出せない。

 じっと耳を澄ます。
 声は、ときおり重なるようだった。
 明らかに、2種類。
 中にいるのは2人。
 2人とも女性であることは間違いない。
 ひとりはおそらく、忽然と消えた川上先生。
 なら、もう1人は?
 好奇心を抑えきれなくなった。
 思い切って、扉の隙間を擦り抜ける。
 咎められたらどうしようかと思ったけど……。
 使われてないはずの部屋で声が聞こえたから入ってみたって、開き直る覚悟だった。
 もう、後戻りは出来ない。

 ドアは、開けたままにしておくことにした。
 閉めるとき音がしそうだったし……。
 逃げ道を確保しておくためもあった。
 扉に鍵が掛かってなかったんだから、第三者が扉から入ってくる危険も無いだろうし。

 ようやく一人歩きを始めた子供みたいに、恐る恐るドアノブから手を離す。
 声の聞こえる方へ、身体を向ける。
 床材をほんのりと浮かびあがらせる光も、その方向から漏れてるのがわかった。
 部屋の奥だった。
 でも、人影は見えない。
 わたしの視線は、不思議な材質の幕に遮られてた。
 声の主は、その幕の向こうにいる。
 踏み出そうとする脚が、震えてるのに気づいた。
 足音を殺す自信が無かった。
 思い切ってパンプスを脱ぐ。
 逃げる用心のために、パンプスは手に持った。
 もう、言い訳も出来ない格好ね。

 ストッキングを滑らせるようにして床を進む。
 木製の床は、能舞台を思わせた。
 薪の火だけが、舞台を照らす。
 一歩踏み出すごとに、鼓の音が聞こえるようだった。
 でも、数歩進んだところで、能役者の脚がすくんだ。
 幕の向こうから、バイオリンの弦を引くような高音が伸びてきた。
 わたしのすぐ脇をすり抜けてった声は、日常会話では有り得ない音色だった。
 その高音に、粘り気を帯びた声が重なる。
 引き伸ばした飴に、濃厚なシロップが絡むみたい。
 ようやく確信した。
 2つの声は、明らかに睦言だ。
 下腹が痛くなった。
 膝が震える。
 幕が降りたまま、舞台ではとんでもない劇が演じられてるに違いない。

 ようやく幕までたどり着いた。
 不思議な材質に見えた幕が、ブルーシートだってわかったのもこのとき。
 そこまで近づくと、声ははっきりと聞こえた。
 でも、声はもう、意味のある言葉を発してなかった。
 明らかに、佳境に入った声。

 シートの裾からは、光が漏れてる。
 光源に照らされた舞台を、早く見たかった。
 わたしは、ブルーシートを見回し、覗ける場所が無いか探した。
 シートは、中央部で重なってた。
 そこを開けば見えるだろうけど、幕の真ん中から顔を出すわけにはいかない。
 わたしは、下手に回った。
 壁面に、光が漏れてる。
 幕の側面が、壁に沿って揺らいでる。
 そのあたりは光源から遠いようで、漏れる光も弱かった。
 ここから覗けば、中の2人には気付かれないはず。
 でも、高い位置からシートを捲るのは憚られた。
 わたしは、その場にひざまずいた。
 シートの側面に手を掛ける。
 わたしの手が触れると、シートが震えた。
 もちろん、わたしの指が震えてたから。
 僅かにシートを開くと、黄色い光が、スカートに差した。
 その状態で、声に耳を澄ます。
 気取られてないことを確信すると、少しずつシートを捲ってく。
 身を壁に目一杯寄せ、頬を壁に着けながら、隙間に顔を差し入れた。
 光源を、右頬に感じた。
 光に視線を向ける。
 そこには、裸電球の光源と……。
 2つの声の音源があった。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-25

「か。
 かはぁ」

 すべての精液を放出したわたしは……。
 石炭を食い尽くした機関車みたいに、動きを止める。
 尻たぶだけが、ひくひくと収縮してる。
 きっと、顎は外れたようにぶら下がり……。
 唇の端からは、涎を垂らし……。
 瞳は半分、上瞼に隠れてる。
 断崖に爪先立って、懸命に意識だけは保ってる。

「あぅぅ」

 川上先生が、身をくねらせた。
 骨のないゴム人形みたい。
 女の身体って、どうしてこう柔らかいのかしら。
 でも弾みで、わたしの姿勢は、危うい均衡を失った。
 その場にひっくり返りそうになり、無意識に脚を送った。

「あぁっ」

 陰茎が抜けた。
 川上先生の声は、明らかに喪失の悲鳴を含んでた。
 たたらを踏む足元を、懸命に踏ん張る。
 陰茎はまだ硬度を失わず、先生の膣液に塗れたまま、ネラネラと光ってる。
 射出口には、名残の精液が、珠のような雫を結んでる。
 わたしは、陰茎の基部を握ると、切っ先に向けて扱きあげる。
 指の股に絡め取った精液を、鼻先に翳す。
 クラクラするほど臭い。
 初夏の森に迷いこんだような匂い。

「先生……。
 最高でしたわ。
 でも……。
 絶対、妊娠しちゃったと思う。
 すっごく濃いもの。
 感じたでしょ?
 子宮口に。
 どうです?
 ご気分は?
 女の胤で、子供を宿すお気持ちは?」
「い、いや……。
 いやです」

 川上先生のおまんこが収縮した。
 酢を垂らされたアワビみたい。
 肛門まで、シャッターのように絞られてる。
 懸命に、精液を押し出そうとしてるの。

「あ、垂れてきた垂れてきた。
 先生、椅子降りて。
 座面が汚れちゃう」

 背中の縄を引っ張って、先生を引きずり下ろす。

「ほんとにイヤらしいお尻。
 また突っこみたくなるわ。
 先生、待ってくださいね。
 垂らさないでちょうだいよ。
 今、バケツ持ってきますから」

 掃除用のバケツを拾い、先生の足元に据える。


「ほら、いいですよ。
 息んで。
 お腹押してあげましょうか?」

 先生の股間で、アワビが収縮する。

「スゴい締めつけ。
 こんなに締められたら、どんな男だって我慢出来ないわ。
 でも、出ないわね。
 わたしの、よっぽど濃かったのかしら?
 先生。
 やっぱり、妊娠、決まりみたいですわ」
「い、いやぁ」

 先生が顔を歪めると、なんと、股間のアワビが泣き出した。
 おしっこ、し始めたのよ。
 押し出せないなら、水で流そうってわけ?
 おしっこで膣内なんて、洗えないのにね。

「終わりました?
 少しは流れたかしら?」

 わたしはバケツを覗きこむ。
 ブリキの底には、うっすらとレモン色に色づいた液体が溜まってる。

「精液、出てないみたいですよ」

 顔を近づけると、メガネが曇った。
 それで一気に、興奮が昂まる。
 バケツに顔ごと突っこみ、濃厚な蒸気を堪能する。

「あー、いい香り。
 でも、精液が混じってるか、嗅いだだけじゃわからないわ。
 味見してみないと。
 先生、飲んでみていいですか?」
「ダメ!
 止めてください。
 汚い」
「あら、教師にあるまじき不見識ね。
 出たばかりのおしっこって、無菌なんですよ。
 綺麗なものなの。
 飲んでも、ぜんぜん平気。
 でも、飲む前にまず……。
 顔、洗わせていただきますわ」

 わたしは、バケツの底を両手で掬う。
 薄黄色い水を透いて、指の腹は、並んで泳ぐ小魚みたい。

「先生、こっち見て」

 わたしは、両手を抜きあげ、そのまま顔に叩きつける。
 弾けた飛沫が、耳の穴に入った。
 わたしは、手の平で顔を捏ね回す。
 唇を伝う雫は、啜りこむ。

「美味しいー。
 匂いも最高」

 指先に纏わる滴りを、鼻の穴に突きこむ。

「止めて、止めてぇぇぇ」
「止められるもんですか」

 わたしは、バケツを頭上に掲げると、水垢離をするように、ひっくり返す。
 生温い滝が、頭上から降り注ぐ。
 バケツを床に戻すと、両手で髪を掻き回す。
 流れる雫を、全身に塗りたくる

「もう、止めて……」

 脇の下に塗りこむと、鼻先を突っこむ。
 発汗した脇の臭いと、雌の小便の臭い。
 どんなチーズも敵わない、至高の香り。
 下腹部に滴る小便を、陰茎に塗りたくる。

「先生……。
 わたし、また勃っちゃいました。
 いいですか?
 もう一発。
 ほら、お尻あげて」

 ビシィッ。
 尻肉が、小気味いい音を立てる。
 尻たぶがほんのりと染まっていく。
 先生のお尻が、ゆっくりと上がる。
 相臀のあわいから、生々しいアワビが覗く。

 わたしの陰茎は、舌なめずりするヘビのように近づいてく。

「はは。
 まーた、脱線しちゃったわね。
 何の話してたんだっけ。
 あ、そうそう。
 この塔への鍵の話よね。
 川上先生が持ってた、革のストラップが付いた鍵。
 それを見かけたのが、更衣室だったってとこまで話して……。
 話が逸れちゃったのよね。

 それじゃ、その続きから。
 ロッカーの扉の裏に付いた鏡で、後ろが見える。
 通路を挟んだ反対側の川上先生が、ローッカーを開けてると……。
 その中が見えるわけよ。
 革のストラップが付いた鍵がぶら下がってるのも見えた。
 何の鍵だろうって、不思議に思ってた。
 朝、その鍵を持って出ないから、机の鍵でもない。

 でも、謎は、偶然にも解けたわけよ。
 その鍵で川上先生が、塔への扉を開くのを見ちゃったんだから。
 川上先生が、扉の前で後ろを振り返ったときの目。
 きっと、あの目に出会った瞬間よ。
 わたしの心に、悪魔が宿ったのは。
 怯えたような、でも、期待に膨らんでるみたいな……。
 葡萄を思わせる眼だった。
 わたしの好きな、大手拓次って詩人に、『藍色の蟇』って詩があるわ。
 その中の一節が、脳裏に蘇った。

『太陽の隠し子のやうにひよわの少年は
 美しい葡萄のやうな眼をもつて、
 行くよ、行くよ、いさましげに』

 そう。
 その時の川上先生の目は……。
 まさに、少年の目だった。
 でも、健康な目じゃない。
 病床の布団の中で、熱に浮かされてるひよわな少年。
 でも、彼の意識は、想像の森を歩いてるの。
 “いさましげに”よ。
 はは。
 また脱線した。
 でも、それくらい印象的な目だった。
 わたしの心臓を、鷲掴みするくらいね。

 で、先生の手から下がる革製のストラップが、塔への扉を開くのを見たとき……。
 わたしの肩越しに、悪魔がささやいた。
 お前は、オールマイティのカードを持っているんだぞ、って。
 そうよ。
 あのロッカーのマスターキー。
 それまでのわたしは……。
 あのキーを悪用しようなんてこと、これっぽっちも考えたことが無かった。
 これは本当よ。
 きっと、教師という立場が、無意識のブレーキを掛けてたのね。
 でも、悪魔の声を聞いた瞬間……。
 ブレーキが外れた。

 以来、マスターキーを常にポケットに入れ、チャンスを待ったわ。
 その機会は、案外早く訪れた。
 川上先生が、年休を取ったの。
 わたしは、人気のない時間を見計らい、更衣室に向かった。
 他人のロッカーに鍵を挿しこむときは……。
 さすがにドキドキしたわね。
 でも、あっけないほど簡単に、扉は開いた。
 当たり前だけど。

 ロッカーの中には……。
 川上先生の匂いが、かすかに籠ってるようだった。
 思わずオナニーしそうになったけど……。
 さすがに、そこは持ちこたえた。
 目的は、そんなことじゃないものね。
 そう。
 目あての物は、まさしく目の前にぶら下がってた。
 革のストラップの付いた鍵。
 それを持ち出すと、昼休みに街に出て……。
 合鍵を作った。
 もちろん、先生の鍵は、そのままロッカーに戻した。
 こうして、オールマイティなマスターキー君のおかげで……。
 わたしの手元には、大変な鍵が手に入ったわけよ。
 そう。
 “禁区”と呼ばれる、この塔への扉。

 でもね。
 なかなか勇気が出なかった。
 あの扉を開く勇気が。
 塔の中に、誰がいるかもわからないし。
 もし、わたしが塔に入ってるところを見咎められたら……。
 言い訳のしようが無いじゃない?
 どうしてここに入れたんだって、問い詰められるわ。
 いろいろ口実を考えたけど……。
 やっぱり、一人で入るのは危険だって結論しか出なかった。
 それなら、どうするか。
 川上先生に続いて入るしか無いじゃない。
 川上先生が、塔に入るところを目撃し……。
 不思議に思い、後を追った。
 これなら理由になるでしょ?
 もちろん川上先生は、入った後、扉をロックしたって反論するでしょうけど。
 でも、鍵なんて掛かってなかったって言い張れば……。
 結局は、川上先生の掛け忘れってことに帰着するはずよ。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
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時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-24

 ビシッ。

「あぅぅ。
 ぶたないで……。
 お願いだから、ぶたないで」
「嘘おっしゃい。
 お尻ぶたれるたびに、お汁垂らしてるくせに」
「ち、違います」
「ほんとに、上の口は嘘つきだわ。
 下のお口は、こんなに正直なのに。
 ほら、ヌルヌル」
「いやぁぁぁ」
「イヤじゃないでしょ。
 気持ちいいです、でしょ。
 まだそんなこと言うのね。
 それじゃ、もうひとつのお口にも聞いてみようかしら。
 どろどろまんこの上で、おちょぼ口でお澄まししてる、おしりの穴。
 こんな可愛いお尻から、毎日太いうんこしてるのよね。
 こればっかりは、否定できないでしょ?
 したら、本当の嘘つきだものね。
 でも、ほんとに可愛いお口。
 指も入らないみたいなのに、どうしてうんこが出てこれるのかしら。
 ちょっと、チェックします」

 わたしは中指をしゃぶり、たっぷりと唾液を絡める。

「お尻あげて。
 また、ぶつわよ。
 そろそろ内出血しちゃうかも。
 ふふ。
 ちょっと素直になったわね。
 でも、妬けるわ。
 お尻の痣を気にするってことは……。
 彼氏がいるって証拠ですものね。
 その彼も、ぜったい後ろからヤルのが好きなのよね。
 この丸々したお尻を抱えて、天使のえくぼを見下ろしながら腰振ってたら……。
 あっという間にイッちゃうでしょうね。
 彼は、どこに出すのかしら?
 コンドームの中じゃ、味気ないものね。
 やっぱり、このお尻かな。
 象牙を溶かしたみたいな精液が、鞭となってお尻を叩く。
 幾本も、幾本も。
 見たいわぁ。
 あ、そうだ。
 今、出来るんじゃないの。
 わたしは、こんな立派なちんちん持ってるんですもの。
 おっと、その前にお尻のチェックね。
 指、乾いちゃった。
 もう一度、舐め舐め。
 さ、お尻あげて」

 わたしの中指の先が、肛門を隠す。
 川上先生のお尻が、跳ねあがる。
 指先を、一気に送りこむ。
 白い指が、巣穴に潜りこむように沈んだ。

「ひぃっ」
「動かないで。
 爪が腸壁を傷つけたら、後が怖いわよ。
 そうそう、そのまま。
 うんこは……。
 溜まってないみたいね。
 腸壁も、つるつるして健康そうだわ。
 温ったかい。
 ほんと、気持ちよさそう。
 男が、アナルに突っこみたくなる気持ち、わかるわ。
 どう?
 そっちも気持ちいい?
 まだ、首振ってんの。
 あ、そうか。
 1本じゃ、ご不満?」

 中指を引きあげる。
 指は、粘液に包まれたみたいに濡れてた。
 ジュンサイという水草の芽を思わせた。
 わたしは、濡れた中指に薬指を添えて揃える。

「じゃ、2本いきますよ」

 ゆっくりと送りこむ。

「あぅぅぅ」
「ほら、何の抵抗もない。
 うんこは、これより太いものね。
 どう?
 気持ちいい?
 あら、そんなでもないの?
 それじゃ、これはどうかしら?」

 わたしは、肛門に突きこんだ2本の指はそのままに、膣口にも親指を送りこむ。
 先生の背肉がうねる。
 わたしは、2本の指で腸壁を押し下げながら、親指で膣壁を持ち上げる。
 わたしの手は、影絵の狐を象ってる。
 耳に見立てた人差し指と小指は、ピンと起ちあがって、尻肉に食いこんでる。
 そして……。
 エッチな狐が、悪さを始める。
 上下から挟んだ指で、腸壁と膣壁を揉みしだく。

「あひぃっ。
 ひっ。
 ひぃっ」
「どう?
 初めての感覚でしょ?
 病みつきになるんだから。
 事前に浣腸しておいて……。
 揉まれながら漏らすと、最高よ。
 相手の腕に、水様便をぶち撒けるの。
 浣腸もしとけば良かったか。
 でもここじゃ、後始末が大変だもんね。
 ほら、先生どうしました。
 もっと?
 もっと?
 グリグリグリグリ」

「あっひぃ」
「いい声。
 聞いてるだけで、こっちがイキそうだわ。
 あらま、はしたない。
 お尻振っちゃって。
 あ、そうか。
 クリちゃんも弄ってほしいわけね。
 こんなに尖らせちゃって、悪い子」

 わたしは、もう一方の手の平を、恥丘に宛てがう。
 柔らかな陰毛が、手の平でそよぐ。

「ふふ。
 いたいた。
 悪い子が。
 ここを、こうしてほしいんでしょ?
 こうして」

 わたしは、揃えた指の腹で、陰核を優しく潰す。
 そのまま、恥骨に揉みこんでいく。

「わひぃぃ。
 わひっ。
 わひっ」
「先生。
 はしたないですわよ。
 もう少し可愛い声出さなきゃ、彼氏に嫌われちゃうわ。
 でも、気持ちいいでしょ?
 これがホントの三所攻めだわ。
 そーれ、グリグリグリグリ」
「あがっ。
 あがががが」
「ちょっと。
 もうイッちゃったの?
 ビクンビクンしちゃって。
 目が飛んじゃってる。
 あらあら、涎。
 また、床汚して。
 先生。
 しっかりしてくださいよ。
 ほんと、身勝手なんだから。
 おまんこ、パクパクさせちゃってさ。
 わたしももう、我慢出来ないわ。
 先生、突っこませていただきますわよ」

 わたしの股間からは、ピノキオの鼻みたいな陰茎が起ちあがってる。
 握る。
 ドクドクと打つ心臓の脈動が、手の平に返ってくる。
 膨れあがった亀頭は、顔が映るほどに張り詰め、つやつやと輝いてる。
 押し下げる。
 無毛の恥丘から起ちあがる基部は、まさしく“男根”の名に恥じない太さを誇ってる。
 そしてその基部の下側には、大量の精液を溜めた陰嚢がぶら下がってる。
 それを思うさまぶち撒けられる歓びが、わたしの脊髄を駆けあがる。
 2つの陰嚢のあわいに開くまんこが、だらだらと涎を零した。

「先生……」

 わたしは優しく声を掛け、片手を尻に添える。
 先生の意識は、まだ閾下に沈んだまま。
 押しさげた亀頭で、陰唇をなぞる。
 湯煎した肉片みたいな陰唇が、亀頭を満遍なく濡らす。
 切っ先を膣口に宛てがう。

「先生、いきますわよ。
 それ!
 はうぅっ」

 一気に陰茎を送りこむ。
 十分に湿った肉襞は、何の抵抗も示さなかった。
 長大な陰茎は、一瞬にして根元まで飲みこまれた。
 わたしの下腹が、先生の尻まで届いた。

「あぅぅ。
 気持ちいぃよぉ。
 女の人の中って、こんなに気持ちいいものなのね。
 先生?
 まだイッたままなの?
 しっかりしてよ。
 先生は今、同僚の女に、後ろから突っこまれてるんですのよ。
 ほら!」

 わたしは、鞭を入れるように、先生の尻を叩いた。
 破裂音みたいな小気味いい音が、狭い更衣室に響く。
 もう一発。
 先生の尻に、みるみる手形が浮き上がる。

「それ」

 振り下ろした手を腰骨に掛けると、わたしは思い切り腰を振る。

「それそれそれそれそれそれそれそれそれ」

 わたしの腰と先生の尻が、湿った肉音を立て始める。

 パンパンパンパンパンパンパンパンパン。

 それはまるで、更衣室に響くファンファーレ。
 歓喜の歌。
 先生の顔が、椅子の上で踊り出す。
 頭蓋が、木製の背もたれを叩き始める。
 先生の意識が、ようやく閾下から浮かびあがってきた。
 上瞼に隠れてた瞳が、ダイスの目のように戻る。
 わたしは腰を使いながら、その目を見下ろす。
 泳いでた目が、わたしの視線に絡んだ。
 まだ、事情が把握できてないようだ。

「先生。
 お気づきですか?
 勝手に使わせていただいてますのよ。
 おまんこ」

 先生の視線が、自らの背後に移った。
 その視線には……。
 丸々とした自分の尻と、そこに打ちつけられるわたしの腰が映ってるはず。
 膣内の感覚を合わせれば、何が行われてるかは一目瞭然。

「い、いや!
 岩城先生、止めて!」
「いかがです?
 女に後ろから犯されてる感覚は?
 いいものでしょ?」
「いやぁ。
 止めて……。
 止めてぇ。
 後ろから……。
 後ろから、犯さないでぇぇぇぇぇ」
「あら、前からの方が良かったのかしら?
 でも、もう遅いわ。
 だって……。
 もう、出そうなんですもの。
 先生?
 いいですか?
 中に出していいですか?
 わたしの精液……。
 先生のおまんこの中に、思い切りぶち撒けていいですか?」
「ダメぇぇ。
 お願い、止めて!
 中に……。
 中に、出さないでぇぇ」
「あら、今日は危険日でした?
 でももう、間に合いませんわ。
 我慢出来ないんですもの。
 行きますわよ。
 行きますわよ。
 あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
 イクっ!
 イクっ!」

 わたしの脊髄を、細い螺旋が駆けあがる。
 刹那!
 わたしは、全身で爆ぜた。

「わきゃっ。
 ぅわきゃ」

 陰嚢が、ゴムポンプを潰すように収縮し、大量の精液を送り出す。
 全身を踊らせながら、尻たぶを絞る。
 亀頭から噴き出す灼熱の精液が、子宮口を突き抜くのがわかった。
 種を残す歓びが、脳幹を沸騰させる。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。