放課後の向うがわⅡ-26

 わくわくしながら、その日を待ったわ。
 セピア色だった女子高の日常が、鮮やかな色に輝き出した。
 で、ある週末の放課後。
 川上先生の様子に異変を感じた。
 わたしは、折りたたみの手鏡を机に置いて、ずっと先生を観察してたの。
 だから、小さな変化も見逃さなかった。
 それほど忙しい時期でもないのに、居残ってるし……。
 と言って、仕事をしてるふうでも無い。
 ノートパソコンに向かいながらも、心ここにあらずって感じね。
 何かあるって思ったわ。

 外が暗くなりかけたころ……。
 川上先生がパソを落とし、起ちあがった。
 まばらに残る同僚に、『お先に』の言葉を残して扉を出てった。
 先生の足音が聞こえなくなるまで待ち、わたしも席を立った。
 廊下に出ると、もう先生の姿は見えなかった。
 もし、わたしの思い違いで、先生が真っ直ぐに帰ったんなら……。
 それはそれで仕方ない。
 次の機会を待てばいい。
 わたしは、躊躇なく塔に向かった。
 曲がり角ごとに、そっと覗くんだけど……。
 先生の姿は見えない。
 やっぱり今日は外れかと思いつつ、最後の角から顔を覗かせたら……。
 遠い扉の前に、背中が見えた。
 見間違えようのない、白いブラウス。
 わたしは、慌てて顔を引っこめた。
 振り向かれたらヤバいもんね。
 遠くで扉の閉まる音を確かめ、扉に続く廊下に踏み出した。
 もう、そこには誰の姿も無かった。
 でも、さっきの背中が、扉の向こうに消えたことは間違いない。
 その扉のほかに、行き場は無いんだから。
 わたしは、足音を殺しながら、扉に駆け寄った。
 なんだか、身体がフワフワと軽くて、宙を飛んでるように思えた。
 夢の中にいるみたい。
 扉の前で立ち止まって初めて……。
 自分の心臓が、早鐘みたいに鳴ってるのがわかった。
 2,3度深呼吸して、ノブに手を掛ける。
 開かない。
 やっぱり、向こうからロックしたのね。
 もちろん、これは想定内。
 わたしは、ポケットから合鍵を取り出し、ノブの鍵穴に挿しこんだ。
 指に伝わる手応えを感じながら、鍵を回す。
 くぐもった金属音を響かせて、鍵は180度回った。
 でも、なかなか扉を開く勇気が出ない。
 この扉を入ったら、もう後戻りできない。
 そんな気がしたの。
 だけど、そのまま引き返す気なんて、もちろん無かった。
 気づくと、握ったノブが、わたしの手の温度と同じになってた。
 校舎の外で、カラスが鳴いた。
 わたしには、それが合図だった。
 ドアノブを回し、押し開く。

 考えてみれば……。
 塔に入ったのは、竣工パーティ以来かも。
 建築中は、毎日のように通ってたのにね。
 でも、目の前に開けたホールは、記憶にあるままだった。
 まるで、ここだけ時が止まってたみたい。
 夕暮れの、がらんと静まり返ったホール。
 もちろん、明かりは灯されてない。
 ステンドグラスから差しこむ光が、床に綺麗な模様を描いてる。

 わたしは、もう一度復唱する。
 ここに入ったのは、川上先生を見かけて、不思議に思ったから。
 扉には、鍵がかかってなかった。
 うなずきながら、扉を振り返る。
 でもそれなら……。
 わたしがここをロックしたら、ヘンかな?
 だけど、開けっ放しにしておくのは、どうしても不安だった。
 わたしと同じように、ここに入りこむ人物がいないとも限らない。
 背後から、誰かがつけてくる……。
 その妄想だけは振り切りたかった。
 ラッチを回し、扉をロックする。
 無意識にロックしたんだと、自分に言い聞かせながら。
 でも、ノブを掴み、開かないことを確認すると……。
 逆に、度胸が座った。
 この先、鬼が出るか蛇が出るか……。
 見届けてやりましょう、ってね。

 ホールの空気は、しんと静まり返って、人のいる気配がない。
 それなら、川上先生はどこに消えたのか。
 2階しか考えられなかった。
 わたしは、華奢な階段に向けて歩き出した。
 吹き抜けの高いホールに、ヒール音が木霊する。

 階段から見下ろす景色は、夢で見た記憶のように綺麗だった。
 ステンドグラスを透いた細長い影が、床に幾本も絵画を描いてる。
 わたしは思わず立ち止まり、胸ポケットからカメラを取り出した。
 川上先生を監視するようになってから、カメラは常時持ち歩くようにしてるの。
 どんなネタが撮れるかわからないものね。

 カメラを構えると、細い手すりに両腕を載せて固定する。
 液晶を覗きながら、ホールの全景を収める。
 小さなシャッター音が響いた。
 写真を撮るのは、わたしにとって、おまじないのひとつなのよ。
 緊張してるときとか、不安になったときに撮るの。
 カメラを構えるってのは、そのシーンで第3者になる儀式なわけ。
 当事者の立場じゃなくてね。
 だから、客観的になれるんじゃないかな。
 美里も、大学受験のときとか、やってごらん。
 試験場のまわりとか、受験生の表情。
 シャッター押さなくても、覗くだけでもいいのよ。
 はは。
 また、脱線ね。
 でも、勉強になったでしょ?

 階段を上りきったところで、ホールを背にした。
 正面の理事長室まで、綺麗な遠近法で真っ白い廊下が伸びてる。
 左右に、いくつかの扉。
 川上先生は、そのどれかに入ったに違いない。

 廊下を歩き始めると、思いのほか靴音が響いた。
 パンプス、脱いじゃおうかと思ったけど……。
 そんな姿を見られたら、言い訳のしようが無いし。
 懸命に足音を忍ばせて進んだ。
 扉の前では足を止め、中の気配を伺った。
 でも、何も聞こえない。
 気配もしない。
 理事長室の扉が、真正面に迫ってくる。
 今にもそれが開き……。
 わたしを糾弾する指が突きつけられる。
 そんな妄想がちらつき始めたころ……。
 聞こえた。
 声。
 女の人の声。
 言ってる言葉までは聞き取れなかったけど……。
 日常会話じゃないってことは、はっきりとわかった。
 粘るような甘ったるいトーンが、ところどころ跳ねあがる。
 2種類の声が交差し、重なってる。
 わたしは、声の漏れてる扉に擦り寄った。
 それがこの、理事会室だった。

 この部屋の工事は、途中で放棄されたはず。
 立ち会ったわたしは、その経緯を知ってる。
 その後、工事が再開された話なんて聞かない。
 それならどうして、その部屋から声が聞こえるのか?
 逃げ出したい恐怖に、好奇心が勝った。

 鍵穴を覗いたけど、何も見えない。
 扉に耳を着ける。
 声は、部屋の奥からのようだった。
 耳を着けても聞き取れない。
 ぷつぷつと粒を潰すような響きに、ときどき裏返った高音が伸びあがる。
 我慢できず、ドアノブに手を掛けた。
 鍵が掛かってなかったことに気づいたのは、扉が開いてからだった。
 でも、この事実に、わたしは意を強くした。
 だって、ここに鍵が掛かってないってことは……。
 塔の入口に鍵を掛けただけで、事足りるってこと。
 つまり、塔の中には、この部屋の声の主しかいないってことじゃない?
 それなら、背後から誰かが現れる心配は、もうしなくていい。
 わたしは、扉の隙間を少しずつ広げていった。

 まだ外は暮れ切ってないはずなのに、扉の中は夜のように暗かった。
 窓に打ちつけられた横板のせいだってわかったのは、後になってから。
 そう言えば、おととしだったかの台風のとき……。
 塔の窓を、大急ぎで塞がせたことがあったの。
 外から塞ぐのは無理だから、内側から塞いだわけ。
 割れたガラスが散乱しないように。
 台風のあと、ほかの部屋の板は外されたようだけど……。
 ここだけは、そのままにされたみたいね。
 ま、倉庫代わりに使うんなら……。
 光が入らない方が、収納物が日焼けする心配も無いわけだし。

 扉の隙間から、中を伺う。
 聞こえる声は、少し大きくなったけど……。
 聞き分けるには、まだ遠かった。
 声の主は、扉からは離れた位置にいるようだった。
 目が慣れると、部屋は真っ暗じゃなくて、遠くから微かな光が差してるのがわかった。
 声の主は、きっとその光源付近にいるに違いない。
 扉からわたしが入っても、声の主は気づかないだろう。
 そう思ったけど、なかなか踏み出せない。

 じっと耳を澄ます。
 声は、ときおり重なるようだった。
 明らかに、2種類。
 中にいるのは2人。
 2人とも女性であることは間違いない。
 ひとりはおそらく、忽然と消えた川上先生。
 なら、もう1人は?
 好奇心を抑えきれなくなった。
 思い切って、扉の隙間を擦り抜ける。
 咎められたらどうしようかと思ったけど……。
 使われてないはずの部屋で声が聞こえたから入ってみたって、開き直る覚悟だった。
 もう、後戻りは出来ない。

 ドアは、開けたままにしておくことにした。
 閉めるとき音がしそうだったし……。
 逃げ道を確保しておくためもあった。
 扉に鍵が掛かってなかったんだから、第三者が扉から入ってくる危険も無いだろうし。

 ようやく一人歩きを始めた子供みたいに、恐る恐るドアノブから手を離す。
 声の聞こえる方へ、身体を向ける。
 床材をほんのりと浮かびあがらせる光も、その方向から漏れてるのがわかった。
 部屋の奥だった。
 でも、人影は見えない。
 わたしの視線は、不思議な材質の幕に遮られてた。
 声の主は、その幕の向こうにいる。
 踏み出そうとする脚が、震えてるのに気づいた。
 足音を殺す自信が無かった。
 思い切ってパンプスを脱ぐ。
 逃げる用心のために、パンプスは手に持った。
 もう、言い訳も出来ない格好ね。

 ストッキングを滑らせるようにして床を進む。
 木製の床は、能舞台を思わせた。
 薪の火だけが、舞台を照らす。
 一歩踏み出すごとに、鼓の音が聞こえるようだった。
 でも、数歩進んだところで、能役者の脚がすくんだ。
 幕の向こうから、バイオリンの弦を引くような高音が伸びてきた。
 わたしのすぐ脇をすり抜けてった声は、日常会話では有り得ない音色だった。
 その高音に、粘り気を帯びた声が重なる。
 引き伸ばした飴に、濃厚なシロップが絡むみたい。
 ようやく確信した。
 2つの声は、明らかに睦言だ。
 下腹が痛くなった。
 膝が震える。
 幕が降りたまま、舞台ではとんでもない劇が演じられてるに違いない。

 ようやく幕までたどり着いた。
 不思議な材質に見えた幕が、ブルーシートだってわかったのもこのとき。
 そこまで近づくと、声ははっきりと聞こえた。
 でも、声はもう、意味のある言葉を発してなかった。
 明らかに、佳境に入った声。

 シートの裾からは、光が漏れてる。
 光源に照らされた舞台を、早く見たかった。
 わたしは、ブルーシートを見回し、覗ける場所が無いか探した。
 シートは、中央部で重なってた。
 そこを開けば見えるだろうけど、幕の真ん中から顔を出すわけにはいかない。
 わたしは、下手に回った。
 壁面に、光が漏れてる。
 幕の側面が、壁に沿って揺らいでる。
 そのあたりは光源から遠いようで、漏れる光も弱かった。
 ここから覗けば、中の2人には気付かれないはず。
 でも、高い位置からシートを捲るのは憚られた。
 わたしは、その場にひざまずいた。
 シートの側面に手を掛ける。
 わたしの手が触れると、シートが震えた。
 もちろん、わたしの指が震えてたから。
 僅かにシートを開くと、黄色い光が、スカートに差した。
 その状態で、声に耳を澄ます。
 気取られてないことを確信すると、少しずつシートを捲ってく。
 身を壁に目一杯寄せ、頬を壁に着けながら、隙間に顔を差し入れた。
 光源を、右頬に感じた。
 光に視線を向ける。
 そこには、裸電球の光源と……。
 2つの声の音源があった。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-25

「か。
 かはぁ」

 すべての精液を放出したわたしは……。
 石炭を食い尽くした機関車みたいに、動きを止める。
 尻たぶだけが、ひくひくと収縮してる。
 きっと、顎は外れたようにぶら下がり……。
 唇の端からは、涎を垂らし……。
 瞳は半分、上瞼に隠れてる。
 断崖に爪先立って、懸命に意識だけは保ってる。

「あぅぅ」

 川上先生が、身をくねらせた。
 骨のないゴム人形みたい。
 女の身体って、どうしてこう柔らかいのかしら。
 でも弾みで、わたしの姿勢は、危うい均衡を失った。
 その場にひっくり返りそうになり、無意識に脚を送った。

「あぁっ」

 陰茎が抜けた。
 川上先生の声は、明らかに喪失の悲鳴を含んでた。
 たたらを踏む足元を、懸命に踏ん張る。
 陰茎はまだ硬度を失わず、先生の膣液に塗れたまま、ネラネラと光ってる。
 射出口には、名残の精液が、珠のような雫を結んでる。
 わたしは、陰茎の基部を握ると、切っ先に向けて扱きあげる。
 指の股に絡め取った精液を、鼻先に翳す。
 クラクラするほど臭い。
 初夏の森に迷いこんだような匂い。

「先生……。
 最高でしたわ。
 でも……。
 絶対、妊娠しちゃったと思う。
 すっごく濃いもの。
 感じたでしょ?
 子宮口に。
 どうです?
 ご気分は?
 女の胤で、子供を宿すお気持ちは?」
「い、いや……。
 いやです」

 川上先生のおまんこが収縮した。
 酢を垂らされたアワビみたい。
 肛門まで、シャッターのように絞られてる。
 懸命に、精液を押し出そうとしてるの。

「あ、垂れてきた垂れてきた。
 先生、椅子降りて。
 座面が汚れちゃう」

 背中の縄を引っ張って、先生を引きずり下ろす。

「ほんとにイヤらしいお尻。
 また突っこみたくなるわ。
 先生、待ってくださいね。
 垂らさないでちょうだいよ。
 今、バケツ持ってきますから」

 掃除用のバケツを拾い、先生の足元に据える。


「ほら、いいですよ。
 息んで。
 お腹押してあげましょうか?」

 先生の股間で、アワビが収縮する。

「スゴい締めつけ。
 こんなに締められたら、どんな男だって我慢出来ないわ。
 でも、出ないわね。
 わたしの、よっぽど濃かったのかしら?
 先生。
 やっぱり、妊娠、決まりみたいですわ」
「い、いやぁ」

 先生が顔を歪めると、なんと、股間のアワビが泣き出した。
 おしっこ、し始めたのよ。
 押し出せないなら、水で流そうってわけ?
 おしっこで膣内なんて、洗えないのにね。

「終わりました?
 少しは流れたかしら?」

 わたしはバケツを覗きこむ。
 ブリキの底には、うっすらとレモン色に色づいた液体が溜まってる。

「精液、出てないみたいですよ」

 顔を近づけると、メガネが曇った。
 それで一気に、興奮が昂まる。
 バケツに顔ごと突っこみ、濃厚な蒸気を堪能する。

「あー、いい香り。
 でも、精液が混じってるか、嗅いだだけじゃわからないわ。
 味見してみないと。
 先生、飲んでみていいですか?」
「ダメ!
 止めてください。
 汚い」
「あら、教師にあるまじき不見識ね。
 出たばかりのおしっこって、無菌なんですよ。
 綺麗なものなの。
 飲んでも、ぜんぜん平気。
 でも、飲む前にまず……。
 顔、洗わせていただきますわ」

 わたしは、バケツの底を両手で掬う。
 薄黄色い水を透いて、指の腹は、並んで泳ぐ小魚みたい。

「先生、こっち見て」

 わたしは、両手を抜きあげ、そのまま顔に叩きつける。
 弾けた飛沫が、耳の穴に入った。
 わたしは、手の平で顔を捏ね回す。
 唇を伝う雫は、啜りこむ。

「美味しいー。
 匂いも最高」

 指先に纏わる滴りを、鼻の穴に突きこむ。

「止めて、止めてぇぇぇ」
「止められるもんですか」

 わたしは、バケツを頭上に掲げると、水垢離をするように、ひっくり返す。
 生温い滝が、頭上から降り注ぐ。
 バケツを床に戻すと、両手で髪を掻き回す。
 流れる雫を、全身に塗りたくる

「もう、止めて……」

 脇の下に塗りこむと、鼻先を突っこむ。
 発汗した脇の臭いと、雌の小便の臭い。
 どんなチーズも敵わない、至高の香り。
 下腹部に滴る小便を、陰茎に塗りたくる。

「先生……。
 わたし、また勃っちゃいました。
 いいですか?
 もう一発。
 ほら、お尻あげて」

 ビシィッ。
 尻肉が、小気味いい音を立てる。
 尻たぶがほんのりと染まっていく。
 先生のお尻が、ゆっくりと上がる。
 相臀のあわいから、生々しいアワビが覗く。

 わたしの陰茎は、舌なめずりするヘビのように近づいてく。

「はは。
 まーた、脱線しちゃったわね。
 何の話してたんだっけ。
 あ、そうそう。
 この塔への鍵の話よね。
 川上先生が持ってた、革のストラップが付いた鍵。
 それを見かけたのが、更衣室だったってとこまで話して……。
 話が逸れちゃったのよね。

 それじゃ、その続きから。
 ロッカーの扉の裏に付いた鏡で、後ろが見える。
 通路を挟んだ反対側の川上先生が、ローッカーを開けてると……。
 その中が見えるわけよ。
 革のストラップが付いた鍵がぶら下がってるのも見えた。
 何の鍵だろうって、不思議に思ってた。
 朝、その鍵を持って出ないから、机の鍵でもない。

 でも、謎は、偶然にも解けたわけよ。
 その鍵で川上先生が、塔への扉を開くのを見ちゃったんだから。
 川上先生が、扉の前で後ろを振り返ったときの目。
 きっと、あの目に出会った瞬間よ。
 わたしの心に、悪魔が宿ったのは。
 怯えたような、でも、期待に膨らんでるみたいな……。
 葡萄を思わせる眼だった。
 わたしの好きな、大手拓次って詩人に、『藍色の蟇』って詩があるわ。
 その中の一節が、脳裏に蘇った。

『太陽の隠し子のやうにひよわの少年は
 美しい葡萄のやうな眼をもつて、
 行くよ、行くよ、いさましげに』

 そう。
 その時の川上先生の目は……。
 まさに、少年の目だった。
 でも、健康な目じゃない。
 病床の布団の中で、熱に浮かされてるひよわな少年。
 でも、彼の意識は、想像の森を歩いてるの。
 “いさましげに”よ。
 はは。
 また脱線した。
 でも、それくらい印象的な目だった。
 わたしの心臓を、鷲掴みするくらいね。

 で、先生の手から下がる革製のストラップが、塔への扉を開くのを見たとき……。
 わたしの肩越しに、悪魔がささやいた。
 お前は、オールマイティのカードを持っているんだぞ、って。
 そうよ。
 あのロッカーのマスターキー。
 それまでのわたしは……。
 あのキーを悪用しようなんてこと、これっぽっちも考えたことが無かった。
 これは本当よ。
 きっと、教師という立場が、無意識のブレーキを掛けてたのね。
 でも、悪魔の声を聞いた瞬間……。
 ブレーキが外れた。

 以来、マスターキーを常にポケットに入れ、チャンスを待ったわ。
 その機会は、案外早く訪れた。
 川上先生が、年休を取ったの。
 わたしは、人気のない時間を見計らい、更衣室に向かった。
 他人のロッカーに鍵を挿しこむときは……。
 さすがにドキドキしたわね。
 でも、あっけないほど簡単に、扉は開いた。
 当たり前だけど。

 ロッカーの中には……。
 川上先生の匂いが、かすかに籠ってるようだった。
 思わずオナニーしそうになったけど……。
 さすがに、そこは持ちこたえた。
 目的は、そんなことじゃないものね。
 そう。
 目あての物は、まさしく目の前にぶら下がってた。
 革のストラップの付いた鍵。
 それを持ち出すと、昼休みに街に出て……。
 合鍵を作った。
 もちろん、先生の鍵は、そのままロッカーに戻した。
 こうして、オールマイティなマスターキー君のおかげで……。
 わたしの手元には、大変な鍵が手に入ったわけよ。
 そう。
 “禁区”と呼ばれる、この塔への扉。

 でもね。
 なかなか勇気が出なかった。
 あの扉を開く勇気が。
 塔の中に、誰がいるかもわからないし。
 もし、わたしが塔に入ってるところを見咎められたら……。
 言い訳のしようが無いじゃない?
 どうしてここに入れたんだって、問い詰められるわ。
 いろいろ口実を考えたけど……。
 やっぱり、一人で入るのは危険だって結論しか出なかった。
 それなら、どうするか。
 川上先生に続いて入るしか無いじゃない。
 川上先生が、塔に入るところを目撃し……。
 不思議に思い、後を追った。
 これなら理由になるでしょ?
 もちろん川上先生は、入った後、扉をロックしたって反論するでしょうけど。
 でも、鍵なんて掛かってなかったって言い張れば……。
 結局は、川上先生の掛け忘れってことに帰着するはずよ。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-24

 ビシッ。

「あぅぅ。
 ぶたないで……。
 お願いだから、ぶたないで」
「嘘おっしゃい。
 お尻ぶたれるたびに、お汁垂らしてるくせに」
「ち、違います」
「ほんとに、上の口は嘘つきだわ。
 下のお口は、こんなに正直なのに。
 ほら、ヌルヌル」
「いやぁぁぁ」
「イヤじゃないでしょ。
 気持ちいいです、でしょ。
 まだそんなこと言うのね。
 それじゃ、もうひとつのお口にも聞いてみようかしら。
 どろどろまんこの上で、おちょぼ口でお澄まししてる、おしりの穴。
 こんな可愛いお尻から、毎日太いうんこしてるのよね。
 こればっかりは、否定できないでしょ?
 したら、本当の嘘つきだものね。
 でも、ほんとに可愛いお口。
 指も入らないみたいなのに、どうしてうんこが出てこれるのかしら。
 ちょっと、チェックします」

 わたしは中指をしゃぶり、たっぷりと唾液を絡める。

「お尻あげて。
 また、ぶつわよ。
 そろそろ内出血しちゃうかも。
 ふふ。
 ちょっと素直になったわね。
 でも、妬けるわ。
 お尻の痣を気にするってことは……。
 彼氏がいるって証拠ですものね。
 その彼も、ぜったい後ろからヤルのが好きなのよね。
 この丸々したお尻を抱えて、天使のえくぼを見下ろしながら腰振ってたら……。
 あっという間にイッちゃうでしょうね。
 彼は、どこに出すのかしら?
 コンドームの中じゃ、味気ないものね。
 やっぱり、このお尻かな。
 象牙を溶かしたみたいな精液が、鞭となってお尻を叩く。
 幾本も、幾本も。
 見たいわぁ。
 あ、そうだ。
 今、出来るんじゃないの。
 わたしは、こんな立派なちんちん持ってるんですもの。
 おっと、その前にお尻のチェックね。
 指、乾いちゃった。
 もう一度、舐め舐め。
 さ、お尻あげて」

 わたしの中指の先が、肛門を隠す。
 川上先生のお尻が、跳ねあがる。
 指先を、一気に送りこむ。
 白い指が、巣穴に潜りこむように沈んだ。

「ひぃっ」
「動かないで。
 爪が腸壁を傷つけたら、後が怖いわよ。
 そうそう、そのまま。
 うんこは……。
 溜まってないみたいね。
 腸壁も、つるつるして健康そうだわ。
 温ったかい。
 ほんと、気持ちよさそう。
 男が、アナルに突っこみたくなる気持ち、わかるわ。
 どう?
 そっちも気持ちいい?
 まだ、首振ってんの。
 あ、そうか。
 1本じゃ、ご不満?」

 中指を引きあげる。
 指は、粘液に包まれたみたいに濡れてた。
 ジュンサイという水草の芽を思わせた。
 わたしは、濡れた中指に薬指を添えて揃える。

「じゃ、2本いきますよ」

 ゆっくりと送りこむ。

「あぅぅぅ」
「ほら、何の抵抗もない。
 うんこは、これより太いものね。
 どう?
 気持ちいい?
 あら、そんなでもないの?
 それじゃ、これはどうかしら?」

 わたしは、肛門に突きこんだ2本の指はそのままに、膣口にも親指を送りこむ。
 先生の背肉がうねる。
 わたしは、2本の指で腸壁を押し下げながら、親指で膣壁を持ち上げる。
 わたしの手は、影絵の狐を象ってる。
 耳に見立てた人差し指と小指は、ピンと起ちあがって、尻肉に食いこんでる。
 そして……。
 エッチな狐が、悪さを始める。
 上下から挟んだ指で、腸壁と膣壁を揉みしだく。

「あひぃっ。
 ひっ。
 ひぃっ」
「どう?
 初めての感覚でしょ?
 病みつきになるんだから。
 事前に浣腸しておいて……。
 揉まれながら漏らすと、最高よ。
 相手の腕に、水様便をぶち撒けるの。
 浣腸もしとけば良かったか。
 でもここじゃ、後始末が大変だもんね。
 ほら、先生どうしました。
 もっと?
 もっと?
 グリグリグリグリ」

「あっひぃ」
「いい声。
 聞いてるだけで、こっちがイキそうだわ。
 あらま、はしたない。
 お尻振っちゃって。
 あ、そうか。
 クリちゃんも弄ってほしいわけね。
 こんなに尖らせちゃって、悪い子」

 わたしは、もう一方の手の平を、恥丘に宛てがう。
 柔らかな陰毛が、手の平でそよぐ。

「ふふ。
 いたいた。
 悪い子が。
 ここを、こうしてほしいんでしょ?
 こうして」

 わたしは、揃えた指の腹で、陰核を優しく潰す。
 そのまま、恥骨に揉みこんでいく。

「わひぃぃ。
 わひっ。
 わひっ」
「先生。
 はしたないですわよ。
 もう少し可愛い声出さなきゃ、彼氏に嫌われちゃうわ。
 でも、気持ちいいでしょ?
 これがホントの三所攻めだわ。
 そーれ、グリグリグリグリ」
「あがっ。
 あがががが」
「ちょっと。
 もうイッちゃったの?
 ビクンビクンしちゃって。
 目が飛んじゃってる。
 あらあら、涎。
 また、床汚して。
 先生。
 しっかりしてくださいよ。
 ほんと、身勝手なんだから。
 おまんこ、パクパクさせちゃってさ。
 わたしももう、我慢出来ないわ。
 先生、突っこませていただきますわよ」

 わたしの股間からは、ピノキオの鼻みたいな陰茎が起ちあがってる。
 握る。
 ドクドクと打つ心臓の脈動が、手の平に返ってくる。
 膨れあがった亀頭は、顔が映るほどに張り詰め、つやつやと輝いてる。
 押し下げる。
 無毛の恥丘から起ちあがる基部は、まさしく“男根”の名に恥じない太さを誇ってる。
 そしてその基部の下側には、大量の精液を溜めた陰嚢がぶら下がってる。
 それを思うさまぶち撒けられる歓びが、わたしの脊髄を駆けあがる。
 2つの陰嚢のあわいに開くまんこが、だらだらと涎を零した。

「先生……」

 わたしは優しく声を掛け、片手を尻に添える。
 先生の意識は、まだ閾下に沈んだまま。
 押しさげた亀頭で、陰唇をなぞる。
 湯煎した肉片みたいな陰唇が、亀頭を満遍なく濡らす。
 切っ先を膣口に宛てがう。

「先生、いきますわよ。
 それ!
 はうぅっ」

 一気に陰茎を送りこむ。
 十分に湿った肉襞は、何の抵抗も示さなかった。
 長大な陰茎は、一瞬にして根元まで飲みこまれた。
 わたしの下腹が、先生の尻まで届いた。

「あぅぅ。
 気持ちいぃよぉ。
 女の人の中って、こんなに気持ちいいものなのね。
 先生?
 まだイッたままなの?
 しっかりしてよ。
 先生は今、同僚の女に、後ろから突っこまれてるんですのよ。
 ほら!」

 わたしは、鞭を入れるように、先生の尻を叩いた。
 破裂音みたいな小気味いい音が、狭い更衣室に響く。
 もう一発。
 先生の尻に、みるみる手形が浮き上がる。

「それ」

 振り下ろした手を腰骨に掛けると、わたしは思い切り腰を振る。

「それそれそれそれそれそれそれそれそれ」

 わたしの腰と先生の尻が、湿った肉音を立て始める。

 パンパンパンパンパンパンパンパンパン。

 それはまるで、更衣室に響くファンファーレ。
 歓喜の歌。
 先生の顔が、椅子の上で踊り出す。
 頭蓋が、木製の背もたれを叩き始める。
 先生の意識が、ようやく閾下から浮かびあがってきた。
 上瞼に隠れてた瞳が、ダイスの目のように戻る。
 わたしは腰を使いながら、その目を見下ろす。
 泳いでた目が、わたしの視線に絡んだ。
 まだ、事情が把握できてないようだ。

「先生。
 お気づきですか?
 勝手に使わせていただいてますのよ。
 おまんこ」

 先生の視線が、自らの背後に移った。
 その視線には……。
 丸々とした自分の尻と、そこに打ちつけられるわたしの腰が映ってるはず。
 膣内の感覚を合わせれば、何が行われてるかは一目瞭然。

「い、いや!
 岩城先生、止めて!」
「いかがです?
 女に後ろから犯されてる感覚は?
 いいものでしょ?」
「いやぁ。
 止めて……。
 止めてぇ。
 後ろから……。
 後ろから、犯さないでぇぇぇぇぇ」
「あら、前からの方が良かったのかしら?
 でも、もう遅いわ。
 だって……。
 もう、出そうなんですもの。
 先生?
 いいですか?
 中に出していいですか?
 わたしの精液……。
 先生のおまんこの中に、思い切りぶち撒けていいですか?」
「ダメぇぇ。
 お願い、止めて!
 中に……。
 中に、出さないでぇぇ」
「あら、今日は危険日でした?
 でももう、間に合いませんわ。
 我慢出来ないんですもの。
 行きますわよ。
 行きますわよ。
 あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
 イクっ!
 イクっ!」

 わたしの脊髄を、細い螺旋が駆けあがる。
 刹那!
 わたしは、全身で爆ぜた。

「わきゃっ。
 ぅわきゃ」

 陰嚢が、ゴムポンプを潰すように収縮し、大量の精液を送り出す。
 全身を踊らせながら、尻たぶを絞る。
 亀頭から噴き出す灼熱の精液が、子宮口を突き抜くのがわかった。
 種を残す歓びが、脳幹を沸騰させる。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-23

 わたしは、乗っかったまま後ろにスライドし、両膝を挟むように立て膝になる。
 さすがに、タイトスカートは引きちぎれないから……。
 サイドホックを外す。
 ファスナーを下ろすと、筒状の布を抜き取る。
 現れたのは、再びふたつの丘。
 さっきは乳房だったけど、今度はお尻ね。
 相臀は丸々と膨れて、大きな瓜が並んだみたい。
 もちろんまだ、ストッキングとショーツのラッピングに包まれてるけど。

「イヤらしいお尻。
 男なら、見ただけで射精しちゃいそう。
 先生……。
 何人の男が、このお尻を抱えて腰を振りましたの?」

 先生は答えず、わたしの下から這い出そうとする。
 お尻に力が籠り、肉が蠢く。
 もう我慢出来ない。
 ストッキングのウェストに両手を掛け、引き下ろす。
 途中でショーツも引っ掛け、一気に抜き取る。

「ほら、見えた。
 天使のえくぼ」

 腰骨の上には、葉陰のような2つの窪み。

「先生、もう堪りませんわ。
 わたしのおちんちん、弾けちゃいそう。
 ほら、お尻を上げて。
 上げてってば」

 先生は、歯を食いしばったまま、言うことを聞かない。

「そういう子には、またお仕置きよ。
 生徒への体罰は、教則で固く禁じられてるけど……。
 教師同士なら、問題ありませんものね」

 わたしは、思い切り片手を振り上げる。
 股間の陰茎が、真似をしたがる子供のように、一緒に伸びあがる。
 鞭のように矯めた片手を、バレーボールのアタックみたいに振り下ろす。
 丸いお尻に。

 ビシッ!

「ひぃっ。
 痛いぃ」

 お尻には、わたしの手形がみるみる浮きあがる。
 わたしは、2度めの腕を振りあげる。
 川上先生の横顔が、子供みたいに歪む。
 それが、わたしの嗜虐心に火をつける。
 上体を捻りながら、渾身の一撃を叩きおろす。

 ビッシィ!

「ひぎぃ」

 ゼリーみたいな尻肉の揺れが収まると、2つめの手形が浮き出てくる。
 ひとつめの手形とは僅かにズレ重なって、まるで拍手してるみたい。
 そう、それは、川上先生の白いお尻を讃える、わたしの喝采。

「お尻を上げなさい。
 これは命令よ」

 川上先生は、ベソをかきながら、もぞもぞと両膝を折り畳んだ。

「さーて。
 それでは、突っこませていただこうかしら。
 でも、この態勢だと、ちょっとこっちが苦しいわね。
 どうしようかな……。
 あ、いいこと思いついた。
 そのまま、じっとしてるのよ。
 逃げようとしたら、もっと酷い目に合うんだから。
 もっとも、両手が使えなかったら、ドアノブも掴めないでしょうけど」

 わたしは、更衣室の隅から、椅子を持って来る。
 ほら、家庭科におばあちゃん先生がいるでしょ。
 あの先生、膝が悪いの。
 で、靴下履くのに苦労してるみたいだったから……。
 わたしが、音楽室の古いピアノ椅子、ここに持って来てあげたのよ。

「はい。
 川上先生、この上に乗っかって。
 ほら、もたもたしない。
 また痛い目に合いたい?」

 思ったとおり。
 川上先生は、痛みの王の前では、素直な奴隷になる。

「ちょっと、何まともに座ろうとしてるの。
 そうじゃないでしょ。
 反対向き。
 背もたれの方を向いて、膝で上がるの。
 そうそう。
 いい子ねぇ」

 わたしは、先生の顔を後ろから覗きこむ。

「どう?
 ご気分は。
 更衣室の片隅で、女から突っこまれるご感想は?」

 先生は、何も言わず奥歯を噛み締めてる。

「あれ?
 川上先生?
 ひょっとして、乳首起ってません?」

 先生は、懸命に顔を振る。
 乱れた髪の毛が、頬を打つくらいに。
 でも、その仕草とは裏腹に、戒められた乳房の中心で……。
 乳首は明らかに尖ってた。

「お口は嘘つきだけど……。
 身体は正直ね。
 ほんとは大好きなのよね。
 屈服するのが。
 そして、もっと好きなのは……。
 苛められること」

 わたしは、トッピングみたいに突き出た乳首を摘む。
 力を籠めると、弾力が指を跳ね返してくる。

「こうされるのが、好きなんでしょ。
 グリグリ」
「いやぁぁ」
「正直じゃないわね。
 大好きなんでしょ?
 こんなふうに苛められるの。
 ほら、一生懸命我慢してるのがわかるわ。
 大好きって叫びだしたい口を、懸命に堪えてる。
 足の指を、力いっぱい折りたたんでるのが、その証拠。
 足の裏が皺々になるほどじゃありませんか」

 川上先生は、座面に頬を擦りつけながら、懸命に首を振ってる。

「言ってご覧なさい。
 こういう格好で苛められるのが、大好きですって」
「ち、違います」
「どう違うの。
 それじゃ、証拠を見せてもらいますわ。
 お尻上げて。
 おまんこ見せてくださらない?
 もし、そこが泣き崩れてなかったら……。
 先生のおっしゃること、信じてさしあげられますわ。
 ほら、どうしたの?
 お尻、上げてってば。
 上げなさい!」

 わたしは、丸々としたお尻に、手の平を振り下ろす。
 肉音が、嬌声のように響いた。

「ほら、お尻真っ赤よ。
 わたしの指、ピアノで鍛えてるから、けっこう効くでしょ?
 もう一発あたったら、内出血しちゃうかも。
 彼氏、変に思いますよ。
 いいんですか?
 いいんですね」

 わたしは、思い切り腕を振りあげる。

「止めてぇ」

 川上先生のお尻が上がった。
 豊かな相臀のあわいに、おちょぼ口みたいな肛門が穿たれてる。
 そしてその下、少し色素の沈着した会陰に連なり、雌の生殖器が覗いてた。

「ふふ。
 思ったとおり。
 どうして、こんなに濡れてるんですの?
 あら。
 まだ、首振ってるの?
 こんなに、てらてら光らせておいて。
 触ってみれば、もっとよく分かるわ」

 わたしは、湧き水を掬うみたいに、下から手の平を差し入れる。
 手の平が触れたとたん、川上先生のお尻が跳ねた。
 ドミノが倒れるように、背骨がうねった。

「熱っつい。
 こんなに火照らせちゃって……。
 発情中の雌そのものじゃないですか」

 川上先生は、わたしの手の平から逃れようと、お尻を上げた。

「まぁ、はしたない。
 肛門が丸見えですわよ」

 自分の格好に改めて気づいたのか、先生はお尻を下げた。
 わたしの手の平に、性器が落ちてきた。
 バターまみれの熱いアワビ。
 再び跳ね上がろうとするお尻を、わたしのもう一方の手が押し下げる。
 白い羽二重のお尻と、アワビのサンドイッチね。
 わたしは、掬った手の平を動かし、位置を探る。
 揃えた指先の腹が、突起を捉えた。
 皮に包んだまま、ゆっくりと練り始める。

「あぅぅ」

 先生の肛門が、切ない呼吸を始めた。

「まぁ。
 敏感ですこと。
 クリが、気持ちいいんですね。
 オナニーでも、こうやってるのかしら?
 クリを恥骨に絡めながら、焦らすように揉みしだくと……。
 長いこと楽しめますよね。
 お休みの日には最適。
 でも、こんなおまんこしてたら……。
 お休みの日だけのオナニーじゃ、とうてい我慢出来ないでしょ?
 時間の無いときは、どうしてるんです?
 たとえば……。
 学校のトイレとか?
 してないの?
 ウソおっしゃい。
 急ぐときは……。
 こうやって、一気に追い詰めるのよね」

 わたしは、揃えた指先に力を籠める。
 指先の描くオーバルが、周回を速める。
 軌道の下で、陰核が練りあげられていく。

「あひぃぃぃぃ。
 いっ。
 いっ」
「あら、もうイキそう?
 お手軽な人ね」

 わたしは、手の平を外す。

「あぁっ」

 先生の口から、非難めいた悲鳴が漏れた。

「ふふ。
 そう簡単にイカれたら、わたしがバカみたいじゃないの。
 ご奉仕してるみたい。
 でも、ほら。
 この手の平。
 滴るお汁で、びっしょり。
 床まで濡らして。
 そこにバケツがあるから、後で拭いといてくださいね。
 さてと。
 それじゃそろそろ、中を楽しませていただこうかしら。
 お尻あげて。
 ほら、上げなさい!」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-22

 あけみ先生は、川上先生に近づいた。
 川上先生は、顔を背けたまま動かない。
 あけみ先生は、ゆっくりと上体を折ると、川上先生の髪に鼻を埋めた。

「いい香り……」

 川上先生は懸命に頚を折り、逃れようとした。

「そんなに嫌がらなくてもいいでしょ。
 そう言えば、思い出した。
 バスの中で、一度だけ痴漢シーンを見たことがあるの。
 でも、あれは痴漢行為とは云えないのかな?
 だって、女性は気づいてなかったんだから。
 若い女性だったんだけど……。
 その後ろに、男が立ってた。
 ちょっとくたびれた、失業中みたいな感じの中年男。
 そいつがね、若い女性の後ろから、髪の匂いを嗅いでるの。
 もちろん、鼻を突っこんだりはしてなかったけど。
 うっとりと目を閉じて、ほんとに気持ちよさそう。
 ていうか、ほんとに気持ち良かったんだと思う。
 だって、右腕のジャンパーの袖が、小刻みに動いてたもの。
 あれは絶対、袖から出た手が、自分のちんぽ弄ってたのよ。
 ひょっとしたら、フィニッシュまでいっちゃったかも?
 女性のスカートのお尻には、工作用の糊みたいなのがベッタリ?

 ほほ。
 その時の男の気持ち、今わかったわ。
 女性の後ろから、髪の匂いを嗅ぐって、こんなにいいものなのね。
 わたしもこのまま、しちゃおうかしら。
 あの時の男みたいに。
 でも、精子をかけられないのが、ほんとに残念。
 せめて、こすりつけようかしら。
 そのまんまるなお尻に、おまんこのお汁を」

 あけみ先生は、腰を突きつけるように、にじり寄った。

「い、いやぁぁ」

 川上先生が悲鳴を噴きあげ、身を捩った。

「ゆうちゃん?
 ゆうちゃんなの?」

 振り返ると、理事長が懸命に頚をもたげてる。

「理事長先生。
 助けて……」
「どうして……。
 どうして、ゆうちゃん……。
 いえ、川上先生にまで、こんなことするの!
 岩城先生、どうして!」

「ふふ。
 ゆうちゃん、か。
 まさか……。
 学園の理事長と英語教師が……。
 レズビアンの関係にあるなんてね。
 驚いちゃうわよね」
「そんな!
 違います」
「違いません。
 だってわたし、見ちゃってるんだもの。
 お2人のお熱い場面。
 鼻の穴膨らませて、ふーふーいいながら、はしたないことしてらっしゃいましたよね。
 ここで」
「ウソ……」
「ウソじゃないことは、お2人が一番ご存知でしょ。
 なんなら、証拠を見せましょうか?
 佳境の場面の写真、撮ってありますのよ」
「目的は何なの?
 岩城先生、これは明らかに犯罪よ。
 こんなことまでして、どうしようって言うの!」
「どうしようかしら?
 何されたい?
 最後は、2人の愛の集大成に、心中させてあげましょうか?
 わたしがお手伝いしますわよ。
 このロープで。
 お2人の細い頚を並べて縛って、締めあげてさしあげます。
 お2人は、頬を寄せ合いながら……。
 互いの顔から、目玉や舌が飛び出すのを見届けて死んでいくの。
 噴きあげる便臭の中でね。
 どう?」
「狂ってる……。
 狂ってるわ」
「そうよ。
 だから、ほんとに何するか、わからないわよ」
「助けてあげて。
 川上先生だけは、助けて」
「ゆうちゃん、でしょ?
 言ってご覧なさい」
「……ゆうちゃんを、助けて」
「まぁ、妬けちゃうわね。
 でも、理事長。
 こんな目にあってるのは、そのゆうちゃんのせいなんですのよ。
 この塔への鍵をわたしにくれたのは、川上先生なんですもの」
「ウソです!
 そんなこと、してません!」
「したのよ。
 もちろん、そんなつもりは無かったんだろうけど」

 あけみ先生は、オーバーブラウスのポケットから、鍵束を取り出した。
 2人に見せつけるように指先で吊るし、鈴のように振ってみせる。
 擦れあった鍵は、しゃらしゃらと儚い音を立てた。

「夏休みに、更衣室のロッカーが入れ替えられたでしょ。
 前のロッカーは、ほんとに酷かったですよね。
 あんなところに予算をケチって、旧校舎のロッカーが転用されてたんですもの。
 でもさすがに、鍵の無くなったのやら、扉が閉まらなくなったのが多くなって……。
 ようやく新品に入れ替えられることになった。
 搬入は、夏休み。
 でもその日、搬入に立ち会うはずだった事務員が休んじゃったのね。
 ま、父親が急死したんじゃ仕方ないわ。
 で、たまたま事務員からの電話を受けたわたしが、代わりに立ち会うことになったわけ。

 立ち会うったって、大したことするわけじゃないの。
 ここに入れてくださいって、業者さんを案内して……。
 後は、設置後に検収するだけ。
 何事もなく終了したわ。
 新しい金属の匂いが、部屋いっぱいに広がってた。
 で、業者さんに御苦労さまでしたって言おうとしたら、鍵をひとつ渡されたの。
 もちろん、個々のロッカーに掛かる鍵は、それぞれ鍵穴にぶら下がってる。
 リングで繋がれたスペアキーも一緒にね。
 首を傾げたわたしに、業者さんは、その鍵の役割を説明してくれた。

 マスターキーだったのよ。
 今時のロッカーでは普通らしいけど、思いもつかなかったわ。
 つまり、個々の扉は、それぞれの鍵で開け閉めするわけだけど……。
 ほかにもうひとつ、すべての扉を開閉できるキーがあったわけ。

 そのときは感心しただけで、スカートのポケットに仕舞ったんだけどね。
 もちろん、その鍵をどうこうしようなんて、考えもしなかった。
 事務員が復帰したら、渡すつもりだったわ。
 でも、父親の葬儀だから、忌引きが長かったのよ。
 で、ポケットに入れたまますっかり忘れちゃって……。
 そのスカート、たまにしか穿かないやつだったから、ずっとワードローブに下がったまま。
 気づいたのは、スカートをクリーニングに出そうとしたときだった。
 鍵を受け取ってから、10日も経ってた。
 そうなると、今さら出しにくいわよね。
 マスターキーをずっと持ってたなんてことが知れたら、なに疑われるかわからない。

 それに……。
 事務員を始めとして、マスターキーがどこにあるかなんて、誰ひとり聞かなかったのよ。
 つまり、新しいロッカーにマスターキーがあるってこと、誰も知らなかったわけでしょ。
 そんなら、最初から無かったことにすればいいやって……。
 机の奥に仕舞っちゃった。
 そんときは、それでお終い」

「あれは、2学期が始まったばかりのころだった。
 放課後。
 川上先生の後ろ姿を見かけた。
 ぷりぷりのお尻を見送ってると……。
 先生は、真っ直ぐに塔への扉に向かって行った。
 あの塔は、一般教師には無縁の場所のはず。
 不思議に思って見てると……。
 川上先生は、扉の前まで来て振り返る素振りを見せた。
 あわてて、廊下の曲がり角に身を隠した。
 わたしがコソコソしなきゃならない理由は無いんだけどね。
 でも、川上先生の挙動には、そうさせる怪しさがあったの。

 好奇心が抑えられず……。
 角から偶然出てきたって感じで、もう一度廊下に踏み出した。
 川上先生は、もう背中を向けてた。
 で、ポケットから何か出すと、それを扉に差しこんだ。
 扉が開いた。
 驚いたわ。
 一般教師が、塔への鍵を持ってるなんて。
 川上先生が扉の向こうに消えた後……。
 扉に駆け寄り、ノブを回してみたけど、開かなかった。
 向こう側からロックしたのね。

 俄然、探究心が湧いた。
 どうして、わたしより後輩の川上先生が、塔への鍵を持ってるのか。
 川上先生が鍵を差しこんだとき、手の平から革のストラップが下がってるのが見えた。
 そのストラップには、見覚えがあったの。
 すぐに思い出したわ。
 更衣室で見たんだって。
 わたしと川上先生のロッカーは、通路を挟んで向かい合ってる。
 つまり、ロッカーを使うときは、背中を向けてるわけだ。
 偶然、更衣室で一緒になることも、珍しくはなかった。
 お互い後ろを向いて他愛ない話をしながら、わたしは川上先生の背中を見てた。
 なぜ見えるかと云うと……。
 ロッカーの扉の裏には、小さな鏡が付いてるから。
 扉を一杯に開いてると、真後ろが見えるのよ。

 鏡に映る背中は、ほんとに魅力的だった。
 豊かな肉付きが、ブラウス越しにも見て取れた。
 真っ白いうなじから続く肌を想像する。
 きめが細かくて、手の平を当てたら、しっとりと吸い付くんじゃないかってね。
 男だったら、絶対に襲いかかってたわね。
 実際、2人きりのときは、妙な気が起きかけて困ったわ。
 知らなかったでしょ?
 他愛ない話をしながら……。
 わたしが頭の中で、何を考えてたかなんて」

 ふふ。
 ここでわたしが、いきなり裸になったら……。
 この先生はどんな反応するかしら、なんて妄想してたのよ。
 ま、実際にやったら……。
 呆れられて逃げられるだけでしょうけど。
 妄想の中ではそうはいかない。
 そう。
 妄想の中のわたしは、半陰陽。
 つまり、両性具有。
 クリトリスが、長大な男根に変化してるの。
 わたしは、手早く服を脱いでいく。
 ボタンを外す指がもどかしく震える。
 ブラウスとブラをロッカーに放りこみ……。
 スカートを下ろす。
 ショーツのウェストから、男根が顔を覗かせてるのが見えた。
 射出口から漏れた先走り汁が、ストッキングを濡らしてる。
 ストッキングごとショーツを下ろす。
 踏みつけて脱ぐわ。
 晴れて全裸になれたわたしは、男根を握り締める。
 鏡の中の先生は、まだわたしの変貌に気づいてない。
 わたしは、おヘソまで届く男根を吊り上げたまま、操縦桿のように振り回す。
 男根を追って、わたしの身体も反転する。
 川上先生の背中が、目の前にあった。
 わたしの手の平は、すでに男根を擦リ始めてる。
 そのまま、背中に近づいてく。
 ようやく気配を感じたらしい川上先生が、後ろを振り向く。
 笑顔のまま、顔が凍り付くわね。

「川上先生……。
 やっと見てくださいましたわね。
 どんなご感想です?
 男根をおっ勃てた女が……。
 あなたを見ながら、擦ってるんですのよ」
「……」

 先生の顔から、笑顔の仮面が剥がれ落ちる。
 恐怖と嫌悪の表情を隠そうともせず、先生は身を翻す。
 でも、わたしは逃さない。
 逃げようとする腕を掴む。

「離して!
 痛い痛い」

 そう。
 両性具有のわたしは、男性の膂力を持ってるの。
 腕を捻りあげられ、川上先生は膝を折る。
 その背中を押しつぶすと、先生はあっけなく床に突っ伏した。
 でもすぐに、這って逃げようとする。
 その肩を捉えて、身体ごと裏返す。
 逃げる間を与えず、馬乗りになる。
 抵抗して振りあげる両手首を掴むと、もう先生は身動き出来ない。
 大きく起伏する胸の上で、男根が上下に振れてる。

「川上先生……。
 わたし、ずっと先生に興味ありましたの。
 もちろん、性欲の対象として。
 今日はもう、我慢できませんわ。
 おわかりになるでしょ?
 ちんちんが、こんなに大きく膨らんじゃって……。
 先生のおまんこに収まりたいって、ピーピー泣いてるんですもの。
 ちんちんの願い、叶えてくれませんか?
 そうすれば、決して乱暴なことはいたしませんわ。
 ほんのいっとき、おまんこをお貸しくださるだけでいいの。
 わたしのちんちんが射精するまでの、ほんのいっとき。
 先生のおまんこの中に、臭い精液を、いっぱい出させていただきたいの」
「い、いや。
 いやぁぁぁぁ」
「うるさい!」

 わたしは、手首を掴んだ手を離すと、思い切り振りかぶる。
 頬骨に打ち下ろす。
 芯まで響く音と共に、先生の顔は真横を向く。

「痛いぃぃぃぃ」
「痛いでしょう?
 これが、男性の力よ。
 もう一発、味わってみる?」
「ひっ」

 わたしが、腕を振り上げると、先生の顔は幼児のように歪んだ。
 思ったとおり、痛みには屈服するタイプね。
 眉根に皺を寄せて、目をつぶっちゃってる。
 そのあからさまな恐怖が、わたしの嗜虐心に火をつけるの。
 もう片一方の手首を離すと、反対側の頬に打ち下ろす。

 ビシイッ!

 肉塊を叩く湿った音が響く。
 先生の顔は反対側を向き、ノドまで伸びちゃってる。

「あぅぅぅぅ」

 その顔はもう、人の言葉を発せないほど、苦痛と恐怖に支配されてた。
 わたしは、容赦なく腕を振るう。
 大鎌となったわたしの腕は、弱々しく遮ろうとする両手を、葦のように薙ぎ払う。

 バシッ!
 ビシッ!

 湿った厳しい音が数度響くと、先生はもう放心状態。
 涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔から、魂が飛んじゃってる。
 半開きの唇が弱々しく震え、齧歯類みたいな前歯が覗いてる。
 小動物を嬲る獣の歓びが、お腹の底から突きあがる。
 真っ白なブラウスに両手を掛けると、左右に引き千切る。
 弾け飛んだボタンが、噴水めいた軌跡を見せて視界の外に消えて行く。
 現れたのは、真っ白いふたつの丘。
 もちろん、ブラで隠されてる。
 わたしの両手がワイヤーにかかると、真上に捲りあげる。
 ブラと変わらないほどの真っ白い肉球が転び出る。
 その頂点には、トッピングみたいな大ぶりの乳首。
 でも、スライスした生ハムのような、綺麗な肉色。
 わたしは、思わず両手の指で摘む。
 指の腹で潰しながら、捻る。

「先生……。
 こんなことされながら、乳首が起っちゃいましたよ」
「う、うそです」

 先生は、ようやく放心状態から脱したみたいで、再び抵抗を始めた。
 華奢な指が、わたしの前腕を掴む。
 わたしは、苦もなく振りほどくと、腰を浮かし……。
 先生の身体を反転させる。
 うつ伏せになった先生の背中から、ブラウスを剥ぎ取る。

「綺麗な背中。
 こんな背中には、ブラなんて無粋なもの似合いませんわ」

 ブラのホックを外し、両腕から抜きあげる。

「この背中に相応しいのは……。
 縄。
 こんなふうに」

 妄想って便利よね。
 川上先生の背中には、一瞬にして縄が打たれた。
 縄に括られた腕が、芋虫みたいに蠢く。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
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