放課後の向うがわⅡ-21

「一流のエンターテイナーは、思わぬハプニングも、舞台演出に変えてしまうもの。
 で、出番を間違って舞台に上がって来てしまった先生にも……。
 このシーンに参加していただくことにしたってわけ」

 あけみ先生は、ゆっくりと川上先生に歩み寄った。
 上体をかがめ、下から舐め上げるように視線を上げる。
 子供のころ読んだ漫画の、ろくろ首を思い出した。

「ほんとに美味しそうな身体。
 縄のおふんどしが、よく似合いましてよ。
 ほら、このお腹の肉。
 縄に乗りあげて。
 とっても素敵。
 男なら、精子をかけずにいられませんわ。
 川上先生?
 いったい何人の男が、この身体に精子をかけてきましたの?」
「い、岩城先生……。
 下ろしてください」
「まぁ。
 誰かさんと同じことを言うのね。
 気が合って、うらやましいわ。
 でも、つまらない。
 どうしてさしあげようかしら?」
「下ろして!
 下ろしてぇぇ」

 川上先生は、空中で身をよじった。
 でも、両脚が宙を藻掻くだけだった。

 天井の梁が、かすかに軋んだ。

「案外、頭の悪い人ね。
 そんな格好で喚いたって、事態が好転しないことくらい……。
 わかりそうなものだわ。
 美里!
 何、引っこんでんのよ。
 こっち、おいで」

 あけみ先生の声が、突然頬を叩いた。
 こうして、観客席の隅に隠れてたわたしも、舞台に引っ張りあげられることになった。

「川上先生、この子、ご存知でしょ?」
「た、棚橋さん!
 岩城先生、まさかこの子にまで?」
「ほんとに、気が合いますわね。
 誰かさんと。
 まったく同じこと聞くんだから。
 でも、いいですか、先生。
 この生徒には、縄もなんにも掛かってないでしょ。
 つまり、この子は自由なの。
 てことは……。
 自分の意志でここにいるわけ。
 そして……」

 あけみ先生は、わたしの腕を掴むと、自分の脇に引っ張り寄せた。
 剥き出しの骨盤が、先生の太腿にあたった。

「ほら、ご覧くださいな。
 2人の格好。
 同じでしょ。
 下半身だけ、素っ裸。
 つまり、2人はチームなの。
 これが、チームのユニフォーム。
 すなわち、この子は、わたしの助手ってわけ。
 おわかり?」

 あけみ先生は、わたしの腕を掴んだまま、川上先生の正面に回った。

「美里、見てごらん、この身体。
 これが、大人の身体よ。
 体育の着替えとかで、同級生のは見てるだろうけど……。
 ぜんぜん違うでしょ?
 身体の丸みが。
 生殖可能な雌同士でも、成熟度合いによって、こんなに違うものなの。
 男はね……。
 こういう身体が、大好きなのよ。
 こういう裸を見ると……。
 精子を出したくなるの。
 わたしが男だったら、このまま突っこんでるかも」

 あけみ先生の手の甲が、ベールを掲げるように、川上先生の太腿を撫であげた。

「い、いやぁぁぁぁ」

 絹織みたいな声が、窓を目指して伸びた。
 声は、窓を塞ぐ横板の隙間を抜け、空に逃げていく。

「素晴らしいソプラノですこと。
 でも、閨でこんな声出したら、近所迷惑ですわよ。
 少し、調律が必要みたいね。
 ここかしら?」

 あけみ先生の指が、川上先生の乳房に伸びた。
 器用に束ねられた指先が、乳首を摘む。
 指先が、葡萄を潰すように撓った。

「痛いっ。
 痛いぃぃぃ」
「生きてる証拠ですわ」

 あけみ先生の手首が裏返った。
 乳首は摘んだままだった。
 乳輪がよじられ、渦巻状に皺が走った。

「ひぎぃ」

 川上先生が、全身で跳ねた。
 背中の柱が、ギシギシと音を立てた。

「ちょっと、重量超過かしら。
 でも、ほら。
 思ったとおり」

 あけみ先生は、乳首から指を離した。
 離れた指先が伸び、乳首を指し示してる。

「起っちゃった。
 川上先生。
 はしたない声あげながら……。
 こんなに乳首、おっ起てて。
 やっぱり、お好きなんでしょ?
 乱暴に扱われるのが」
「ち、違います!」
「違わないわよ!」

 乳首を指してた指が翻ると、手の平となって戻った。
 大きな肉音が立った。
 手の平が、したたかに乳房を打ったのだ。
 縄に戒められた乳房が、肉のボールのように弾んだ。
 乳房には、みるみる赤い指跡が浮き上がった。

「助けてぇ。
 誰か、助けてぇぇぇぇ」

 川上先生の声が、狂ったリボンのように宙を駆けまわる。

「あらあら。
 先生が、はしたない声あげるから……。
 お目覚めのようだわ」

 畳に突っ伏してた理事長が、顔を持ち上げてた。


 まだ半分夢の中みたいで、視線が壁際を這ってる。
 川上先生には、まったく気づいてない。

「川上先生。
 心強いでしょ。
 ここには、お仲間がいたのよ」

 床の理事長を隠す形で立ってたあけみ先生が、ゆっくりと身を移した。
 川上先生から理事長まで、視界が開けた。
 川上先生の目蓋が、大きく開いた。

「さすがだわ。
 背中を見ただけで、誰だかわかったみたいね。
 ま、こんな素晴らしい裸の持ち主は、そうそういないけど。
 でも、それって……。
 その裸が誰のものか、知ってるってことよね」

 川上先生は唇を震わせながら、身をうねらせた。
 開脚したまま吊られたマリオネットみたいだった。

「理事長。
 お尻向けてないで、こちらをご覧になって」

 あけみ先生は、理事長の傍らに歩み寄ると、床に蟠る縄を拾いあげた。
 理事長の背中から伸びる縄だった。
 あけみ先生が、指揮者みたいなモーションで縄を振り上げた。
 縄は、生を得たように一直線に伸びた。

「でも、ほんと可愛いお尻ね。
 こんなお尻抱えながら腰振れる男は、幸せものだわ。
 でも……。
 ほんとにそんな男、1人でもいたのかしら?
 だって、レズビアンなんですものね。
 理事長先生」

 背中の縄を引っ張られた理事長は、全身を揉むように蠢いた。
 起ちあがろうとしてかなわず、再び畳に突っ伏す。

「あらあら。
 スゴい格好。
 理事長。
 お尻の穴まで見えてますよ。
 美里、そこの縄束持ってきて。
 本格的に目を覚ましそうだから」

 あけみ先生の指先は、カメラの載った机の下を指してた。
 そこには、飴色の縄の束が、いく巻もうずくまってた。
 4本の机の脚に囲まれた縄は、まるで檻の中の蛇のように見えた。

「早く!」

 わたしは、恐る恐る檻に手を差しこみ、縄束を拾いあげた。

「1本は、その机の脚に結んで。
 お団子結びでいいから。
 そうそう。
 そしたら、そのまま引っ張って、こっち来て。
 あと、もう1本は束のまま持って来て」

 あけみ先生は、わたしから縄の一端を受け取ると……。
 突っ伏した理事長の左足首を括り上げた。
 もう1本の縄で右足首を縛り、そのままウィンチの載る作業台まで後退る。
 理事長の頭が、持ち上がった。

「お目覚めですか、理事長。
 でも、寝相が悪いですわね。
 朝は、きちんと仰向けでむかえましょう」

 あけみ先生は、持ってた縄を、大きく引っ張った。
 縄は一瞬にして張り詰めると、理事長の右足が持ちあがる。

「ほら、美里。
 掛け声。
 何て言うんだっけ?
 綱引きのとき。
 あ、そうそう。
 これだ。
 オーエス、オーエス」

 あけみ先生は、両手を交互に移し変えて、縄を手繰り寄せた。
 先生は、うつ伏せた理事長の左側に立ち、理事長の右足を引っ張ってる。
 理事長の左足は逆に、右手にある机に縛られてる。
 起こる事態はひとつ。
 理事長の身体は畳の上で裏返り、仰向けになった。
 でも、あけみ先生は、綱引きを止めようとしなかった。
 理事長の両脚が開いてく。

「オーエス、オーエス」
「い、ぃぃぃ」
「どうしました、理事長?」
「い、痛いぃ」
「そんなはずありませんでしょ。
 その柔らかい身体なら、180度開脚も出来るはずよ。
 ほら、もっと頑張って」

 あけみ先生は、床にお尻を落とした。
 両脚で床を蹴りながら後退る。
 踵が床で空転するようになると、ボートを漕ぐように上体を反らせた。

「あぎぃ。
 痛い痛い痛い」

 理事長の悲鳴を聞いても、あけみ先生は縄を緩めようとしなかった。
 改めてあけみ先生を見ると、すごい格好だった。
 床にお尻を落とし、両脚は床に踏ん張って、目一杯開脚してる。
 下半身を覆うものは、何ひとつ無い。
 陰毛さえも。
 つまり、股間は丸見え。
 陰唇が、おちょぼ口みたいに開いてた。
 先生は、その格好のままお尻を送り、ウィンチの載る机脇まで移動した。
 引き絞ってた縄を、机の脚に巻きつける。
 縄は、蛇のように机の脚を括りあげた。
 縄目を結ぶと、先生はゆっくりと起ちあがる。

「最後、ちょっと緩んじゃったけど……。
 ま、こんなものね。
 ほら、美里。
 こっち来てごらん。
 すごい格好だから」

 先生の招く手に吸い寄せられるように、わたしは立ち位置を移した。
 先生の傍らに立つと、理事長の大きく開いた股間が、イヤでも目に入った。

 いいえ。
 イヤでもってのは、ウソよね。
 見たかったから、自分で動いたの。
 仰ぎ見る存在でしかなかった理事長が……。
 無残に股間まで晒してる。
 その恥ずかしい姿を……。
 理事長の生殖器を、見たくてしょうがないわたしがいた。

「でもほんと、素晴らしい体型よね。
 筋肉質の身体って、無理な姿勢を取らせるほど、美しさが際立つみたい。
 ほら、この太腿の張り」

 理事長の太腿には、大きな筋肉のはざまに、渓谷みたいな翳が走ってた。

「そうそう。
 この姿、川上先生にも見てもらいましょう」

 あけみ先生は数歩後ずさり、川上先生の視線を迎えた。
 わたしも、反対側に身を退けた。
 川上先生から理事長まで、モーゼの海のように視界が開けた。

「ほら。
 よく見なさいよ。
 何でさっきから黙ったままなの?
 顔、こっちに向けなさいって。
 どうしたの?
 恥ずかしいの?
 そんな格好、見られるのが」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週金曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


芦屋美帆子×緊縛桟敷 特別編川上ゆうも同時掲載

芦屋美帆子杉浦則夫緊縛桟敷にて掲載開始。
小柄(148cm)なモデルさんです。いっけん人あたりがきついようにみえますが恥ずかりやで撮影が進むにつけてうちとけ笑顔の可愛い女性でした。なぜ赤い下着か疑問に思われる方もあるかと思います、毎回の白あるいは黒の下着は無難ですが、黒いストッキングの下に透けて見える赤いパンツの扇情的な効果を求めてみたかった、普通ならばそれは熟女にセッティングするところをロリ顔の美帆子にとあえてつけさせた、ある効果はあったように思う。
このところの毎回緊縛好きの女性との撮影が続いたせいか縄拘束の厳しさが増しビギナーの美帆子をいつもの調子で厳しく縛ってしまったせいで号泣させてしまった失敗でした。

さらに今週は「特別編」として、杉浦則夫緊縛桟敷では未公開だった川上ゆうさんの原稿を掲載致します。上下二回に分けた掲載ですので、下は来月あたりに公開される予定です。
男たちに囲まれて晒し者にされるゆうちゃん、ビールをつっこまれるのもいいですが、やはり股間生花は必見です。


緊縛桟敷のアンケート欄(アンケート後に画像のプレゼントがありますが、IDとパスワードが必要です。記事最後にIDとPASSが記載されています)に撮影時に開脚は必要かとの問いにほぼ全員が必要と答えています、私も然りと思いますが緊縛の美しさ凄さはかたく閉じた脚の姿だと思う、先日の奈加あきらさんの縄会に参加したおりに<いろは>さんが前屈みの立ちポーズを被虐感あふれる姿を見せてくれていた、とうぜん頭はうなだれて顔は見えない程であるん、だが美しい、顔を上げてしまってはこの美しさはまったく壊れてしまう、それでも表情の見える顔を写さねばならないのだろうかと自問しながら<いろは>の美しく立つ姿に見惚れていた。
ようするにそのような絵画的な美しさと猥褻な開脚画が両方あれば理想か。

芦屋美帆子杉浦則夫緊縛桟敷にて掲載開始。

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放課後の向うがわⅡ-20

「パンパンパンパンパンパンパンパンパン。

 痩せた腰を抱えて、連打の嵐です。
 背肉が、さざ波みたいに震えてる。
 手を前に回し……。
 下を向いて、わずかに膨らみを見せている乳房を握る。
 乳首は、棗みたいに尖ってます。
 捻り潰す。

『わひぃぃ。
 痛いぃ』
『嫌いじゃないでしょ』
『好き!
 好き!
 痛いのも、先生も、大好きぃぃぃぃ。
 結婚してぇぇぇぇぇ』
『それは、無理ですぅぅぅぅぅ。
 出る!
 出る!』
『出して!
 いっぱい出して!
 わたしのオマンコの中に、精液出してぇぇぇぇ』
『あぁ。あっ! あっ!』
『来てる! 熱いのが、来てるぅぅぅぅぅ』

 ふう。
 何の話、してるんでしたっけ」
「呆れた先生ですわ。
 人の授業に、いきなり裸で乱入して……。
 生徒の前で、同僚との情事の描写を延々となさりながら……。
 剥き出しのちんぽ、勃起させるなんて」
「すみません。
 今日はまだ、抜かれてないもんで。
 それじゃ、みんな。
 これから、日本史の授業を始める。
 この先生のちんちん、これが、『成り成りて成り余れる処』だ。
 これを……。
 この川上先生のお尻の間に覗く、『成り成りて成り合はざる処』に突っこむ。
 日本という国は、この“国産み”の儀式によって出来たのです。
 川上先生、もう少しお尻を上げてください。
 そうです、そう。
 素晴らしい!

 国語の先生とは、大違いです。
 どうです、この丸み。
 美しい!
 男なら、精子をかけずにはおられません。
 それでは、イカせていただきます……。
 って、なんじゃこりゃー」
「どうしました?」
「まんこに縄が食いこんでて、突っこめないじゃありませんか」
「先生のおちんちんなら、隙間から入りません?」
「失敬な。
 針金じゃないんですから。
 くそ。
 どうやって解くんだ、これ?
 結び目がお団子になってる。
 あぁ、焦る」
「不器用すぎますわ」
「激しく焦ってるからです。
 もう、出そうなんです」
「早すぎじゃありません?」
「男は、新鮮な刺激に弱いんです。
 妻や国語の先生なら、慣れきってますから……。
 余裕でズコズコできます。
 でも、憧れの川上先生のお尻を前にしたら……。
 もう、発射秒読みです」

「じゃ今日は、そのまま射精していただこうかしら。
 生徒にも、男性が射精するところを、よく観察してほしいから」
「そんな!
 鮭じゃないんですから、かけるだけじゃ満足できません。
 中に出したいです」
「勝手に入ってきて、贅沢な方ですわ。
 それじゃ……。
 もうひとつ、新鮮な刺激を与えてさしあげますわ」
「ど、どうする気です、岩城先生?
 あ、スカートたくし上げたりして。
 げ、ストッキングが、太腿で切れてる。
 それ、好きなんです!
 パンティは……。
 は、穿いてない!
 しかも、股に縄!
 さらに、パイパン!
 過激すぎです。
 厳しすぎます。
 あっ、あっ。
 ダメ、ボクちゃん、もうダメ。
 出る!
 出る!
 わきゃっ。
 わきゃきゃっ」
「ほら、みなさん。
 よく見て。
 これが、男性の射精ですよ。
 思いのほか、飛ぶでもんでしょ。
 どうしたの、あなた?
 顔にかかった?
 まぁ、生徒にまで顔射するなんて、悪い先生。
 大丈夫よ。
 顔にかかったくらいじゃ、妊娠しないから。
 嗅いでごらんなさい。
 植物の匂いがするから。
 森の中で嗅ぐみたいな匂いよ」
「わきゃっ。
 ぅわきゃ」
「まだ出るんですか。
 腎虚になりますよ。
 あら、もう目の玉裏返して。
 立ったまま気絶してるだけでなく……。
 気絶したまま射精を続けるなんて、異常体質としか思えませんわ」
「あ、あかか」
「あら、残念。
 ひっくり返っちゃいましたね。
 でも、仰向けになっても、ちんぽを離さないなんて……。
 木口小平みたいですわ。
 みなさん、集まって。
 川上先生の周り。
 あ、日本史の先生、踏まないようにね。
 ほら、スゴいでしょ、この精液。
 たくさん出したものね。
 川上先生のお尻一面、精子まみれ。
 工作用の糊を撒き散らしたみたい」

「嗅いでご覧なさい。
 もっと近くで。
 結婚したら、毎晩嗅ぐことになるのよ。
 ほら、山下さん。
 あなた、クラス委員でしょ。
 こっち来て、しゃがんで。
 男性の精子、見るのは初めて?
 そう。
 びっくりした?
 でも、匂いを嗅いだら、もっとびっくりするわよ。
 男性の体内から出たとは、とても思えない匂い。
 植物の香りがするの。
 初めて精子を嗅いだとき、この人は森の精かもって思った子もいるくらい。

 ほら。
 もっと顔、近づけて。
 焦れったい子ね。
 手伝ってあげるわ。
 えい。
 ほほ。
 顔ごと、突っこんじゃったわね。
 精子の海に。
 どう?
 スゴい匂いでしょ。
 あら、逃げないのね。
 まぁ。
 ほっぺた、擦りつけてる。
 鼻の穴まで精子詰めて。
 大人しそうな顔して、とんだ変態っ子だわ。
 下の方、どうなってるのかしら。
 ほら、膝ついて、お尻上げてごらん。
 見てあげるから。
 スカートを捲って……。
 まぁ、ミッキーとミニー。
 まだこんなパンツ穿いてるの。
 でも、中身はもう立派な大人ね。
 お股のとこが、透けてるわ。
 それじゃ、みなさん。
 わたしの手元に注目。
 クラス委員のおまんこ、ご開帳しますよ。
 ほぅら、出た。
 うわっ。
 スゴい。
 糸引いたわ。
 見たでしょ?
 ほら、もうドロドロ。
 これはもう、授業開始から濡らしてたわね。
 開いてみましょうか。
 山下さん、触るわよ。
 まぁ、お尻突きつけてきた。
 肛門までピクピクさせて。
 それじゃ、開きますね。
 熱っつい。
 火傷しそう。
 溶け崩れたお菓子みたい。
 指が滑っちゃうわ。
 ちょっと、動かないで。
 あら、気分出ちゃった?
 お尻、うねらせちゃって」

「このとおり、女子高生の身体ってのは……。
 いつでも生殖可能な、もう立派な雌ってわけよね。
 江戸時代なら、子供産んでて当たり前の歳だし。
 性に対する、きちっとした教育が、なされなすぎだわ。
 山下さん、ここ気持ちいい?
 まぁ、ガックガックうなずいちゃって。
 どうしたの?
 初めてってわけじゃないでしょ?
 オナニー、してないの?
 え?
 母親に禁じられてる?
 子供の頃から、布団の上に両腕を出しておくように命じられて……。
 毎晩、チェックに来るの?
 それは、ちょっとヒドいわね。
 自分は旦那とヒーヒーやってるくせに……。
 娘にはオナニーさえ禁じてるっての?
 さっき言ったように、生殖できる身体を持ってるってことでは……。
 母親も娘も、まったく対等なのよ。
 許しがたいわ。
 ほら、いいでしょ?
 こんなに気持ちいいのよ、女性の身体って。
 まぁ、ヨダレまで垂らして……。
 可哀想に。
 家で出来ないんなら……。
 学校ですればいいのよ。
 おトイレなんかで、隠れてすることないわ。
 大っぴらにやればいいのよ。
 そうだ。
 今度、1時間目が始まる前に、オナニータイムを作ろうか。
 クラス全員でするの。
 バスタオルを畳んで、椅子の上に置いて……。
 スカートを広げ、お尻をタオルに載せる。
 もちろん、パンティは脱いであるわ。
 で、思う存分捏ね回すの。
 噴きあがる嬌声は、セミの合唱みたいでしょうね。
 教師は、席の間を巡りながら……。
 間違ったやり方をしてる子がいないか、チェックするの。
 シャーペン突っこんでたりしたら、危ないものね。
 もちろん、監督する教師だって我慢出来なくなる。
 歩きオナね。
 面倒だから、スカートなんか脱いじゃってるわ。
 生徒たちの手元を凝視しながら……。
 自分のまんこを、存分に掻き回す。
 きっと、教師の方が先にイッちゃうわね。
 泡噴きながら、その場にひっくり返る。
 気持ちいいでしょうね……。
 頭が真っ白になるわ。

 え?
 あらやだ、また自分の世界に入っちゃってたみたいね。
 どうしたの、美里ちゃん?
 川上先生が、目を覚ましそう?
 あら、ほんとだ。
 それじゃ、第二幕の開演ね。

「川上先生?
 お目覚めですか?」

 川上先生は、柱を背にしてた。
 でも、立ってるわけじゃない。
 宙吊り。
 両脚は、小さい女の子がおしっこさせてもらう形に開いてる。
 でも、膝裏を掬いあげてるのは、母親の手じゃない。
 飴色の縄。
 両膝を括った縄が、天井に伸びてた。
 もちろん、股間は大きく開いてる。

 でも、性器は見えなかった。
 股間を、縄が戒めてた。
 お臍の下に回る横縄から、束ねられた縦縄が幾本も降りてる。
 性器も肛門も、縄のふんどしが隠してる。
 でも、陰毛までは隠し切れない。
 柔らかそうな陰毛が、縄目から萌え出て見えた。

「先生?
 川上先生?」

 あけみ先生の問いかけに、川上先生の目蓋が、うっすらと開いた。


「おはようございます、先生。
 どうですか、ご気分は?」
「……、岩城先生?
 ここは……?」

 川上先生は、まったく事態を理解できないみたいだった。
 視線は定まらず、宙を泳いでる。
 身じろぎしようとして、ようやく……。
 自らに施された戒めに気づいたようだ。
 縄を打たれた身体を、のろのろと見回してる。

「これは……。
 どういうわけですか?」
「見てのとおりですわ。
 囚われの身ということになりますね」
「まさか……。
 まさか、岩城先生が?」
「本意ではありませんでしたのよ。
 この部屋で作業してたら……。
 先生が入って来ちゃったんですもの。
 床に転がるお荷物を見つけられそうだったから……。
 眠っていただきましたの。
 思い出したみたいですわね」
「岩城先生でしたの!」
「そう。
 後ろから羽交い絞めにして、ハンカチで口を覆ったのは、このわたし」
「どうして!」
「ですから、こんな予定、最初からありませんでしたの。
 完全なハプニング。
 2人いっぺんになんて、考えてもいなかった。
 そこまで大胆じゃないもの、わたし。
 ひとりずつって思ってた。
 今日はまず、理事長先生。
 川上先生は、またの日のお楽しみ。
 そのはずだったの。
 でも、床に倒れて眠ってしまった先生を見たら……。
 これも天のお導きだって思った。
 もう1人のターゲットが、向こうから転がりこんで来たんですもの」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週金曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-19

「さて、さっそく授業を始めましょうか。
 あ、その前に。
 なぜ、川上先生は縄を打たれてるのか。
 もちろん、川上先生が罪を犯したというわけではありません。
 でもね……。
 縄が無ければ、どうなると思う。
 ただの素っ裸よね。
 考えてもご覧なさい。
 制服を着た生徒たちの前に、裸で出るわけよ。
 とても恥ずかしいことなの。
 普通にしてたら、心が持ちこたえられない。
 だから……。
 縄を打たれ、わたしに命じられているという体を取ったわけ。
 決して、自ら裸になったわけじゃないって設定ね。
 おわかり?

 さて、それでは授業を始めます。
 どう?
 みなさん。
 川上先生の裸を見て。
 綺麗よね?
 まさに、女体としての理想の体型じゃないかしら。
 ファッションモデルみたいにギスギスしてなくて、適度な脂肪が載ってる。
 まるで、西洋絵画に描かれた女性みたい。
 川上先生、ちょっと後ろを向いてくださる?

 そうそう。

 ほら。
 このお尻の膨らみ。
 このフォルムは、どんな陶工でも作れない。
 まさしく、神が造りたもうたラインね。
 あと、ここ見てご覧なさい。
 お尻の上。
 わからない?
 指し棒が要るわね。
 あなた、机から取って来てちょうだい。

 ありがとう。
 さて、それじゃ、指し棒の先をよく見てください。
 ほら、交差する腕のすぐ下に、笑窪みたいな窪みが見えるでしょ?
 キューピー人形って知ってる?
 あの人形にはあるのよ。
 実際、欧米人には比較的多いんだけど……。
 東洋人では滅多にいない。
 これ、何て呼ばれてるか、知ってる?
 “ヴィーナスのえくぼ”って云うの。
 ほんと、素敵なお尻。
 頬ずりしたくなっちゃう。
 神さまってスゴいわね。
 赤ちゃんを産ませるために、骨盤を膨らませ、こんなすてきなお尻を造った。
 もっとよく見てみたいわね。
 川上先生。
 座ってくださる。
 両膝を着いて」

「そう。

 どう、みなさん?
 この太腿のボリューム、見てちょうだい。
 まるで、古代建築の柱みたいでしょ。
 川上先生、そのまま上体を倒して行ってくださる。
 あ、ちょっと待った。
 ストップ。
 これこれ。
 このお腹に載った、豊かな脂肪。


 川上先生、どうされました?
 嫌なの?
 このお腹。
 まぁ、とんでもない思い違いだわ。
 女性の腹部に載った適度な脂肪は……。
 男性からは、この上なくセクシーに見えるものなんですのよ。
 ときどきAVなんかだと、スカートやランジェリーを、お腹にたくし上げたままヤッてるシーンがあるけど……。
 とんでもない心得違いだわ。
 お腹を隠すなんて。
 特に、オシメを替えられるみたいに両脚を上げた姿勢だと……。
 お臍の下に、オムレツみたいな括れが出来て……。
 それはそれは、美味しそうな膨らみ。
 それを隠すなんて!
 言語道断もいいとこ!

 おっと、失礼。
 ちょっと興奮してしまいましたね。
 あ、言っときますけど……。
 AVは、資料として見てるんですからね。
 こうして保健の授業をするためには……。
 男女のまぐわいシーンの研究は不可欠なの。
 決して、オナニーするために見てるんじゃないわよ。
 ここんとこ、間違わないでちょうだい。

 あれ?
 川上先生?
 ひょっとして、乳首起ってません?
 あらあら。
 そんなに首振って。
 イヤなの?
 生徒に、勃起した乳首見られるの?
 いいじゃありませんか。
 こんなに素敵な乳首なんですもの。
 薄い肉色で、ほんとに綺麗。
 しゃぶしゃぶのお肉を、一瞬だけお湯に潜らせたみたい。
 大きさも、ベリーみたいで、人の唇に含むには最適の大きさ。
 川上先生の赤ちゃん、幸せだわ。
 いえ、その前に、将来の旦那さまが幸せものだけど。
 こんなおっぱいに吸い着いたら……。
 それだけで射精しちゃうかもね」

「おっぱいにほっぺた着けて、母乳を吸いたてながら……。
 川上先生の優しい手コキで射精する。
 幸せでしょうね。
 残業なんかしてられっこない。
 すっ飛んで帰ってくるわね。
 腎虚になるかも。
 ほんと、や~らしい乳首。
 先生、言ってご覧なさい。
 『わたしの乳首は、イヤらしく勃起してます』って。
 どうしたの?
 言えないの?
 まだ、認めないつもり?
 こんなになってるのに。
 こういう悪い子の乳首は……。
 指し棒で突いてあげます。
 えい。
 ほほ。
 見た、今の反応?
 敏感敏感。
 体ごと跳ね上がったじゃありませんか。
 ほんと、嬲りがいのある体。

 さて。
 また脱線してしまいました。
 こんなことしてたら、時間がいくらあっても足りないわ。
 神秘の授業を進めます。
 この骨盤の膨らみを、みなさんに見てもらわなきゃね。
 先生、上体を倒してってください。
 そうそう。

 そのまま、顔を床に着ける。
 お尻を上げる。
 ほら!
 もっと。


 よしよし。
 それじゃ、みなさん。
 こっちに回って。
 川上先生の後ろから見てみましょう。
 先生は動かないでくださいね。
 ほら、お尻下げない!
 どうしたの?
 いまさら、恥ずかしいの?
 悪い子ね。
 そういうお尻は、縄で吊り上げてさしあげますわ。
 あなた、ロープ取ってきて。
 教卓の引き出し。
 そうそう。

 それじゃ、みなさん。
 マジックショーの始まり始まり。
 この一本の縄が……。
 撚れ絡み、結び合うと……。
 人の快感を貪る蛇に変わる。
 ほうら出来た。
 縄の、おふんどし。
 あなた、これ持って。
 上に吊りあげてちょうだい。
 そうそう。
 川上先生。
 いいかげんお尻上げてくださいな。
 素直にしないと……。
 指し棒で、下から突き上げてあげます。
 えい。
 ほら、上がった。

 どう、このお尻?
 “ヴィーナスのえくぼ”が、くっきりと見えるでしょ。
 きっとここには、天使の羽が生えてたのね。
 見れば見るほど、まんまるなお尻。
 男性だったら、突っこまずにおれないわね」

「そのとおりです!」
「誰です?」
「保健授業の助手として、まかりこしました」
「まぁ。
 あなたは、毎日愛妻弁当を持って来てる、新婚の日本史の先生じゃありませんか」
「詳細なご説明、ありがとうございます」
「でも、授業中の教室に、いきなり真っ裸で入ってくるのは、どういう心得ですの?
 生徒たち、みんな引いちゃったじゃないですか」
「真っ裸ではありません。
 ちゃんと、ネクタイはしてます」
「よけいに変態ですわ」
「本日は、憧れの川上先生がモデルと聞き及び……。
 是が非でも、授業の助手を務めさせていただきたく、馳せ参じた次第です」
「口調が、いちいち日本史すぎます」
「かたじけない」
「わけわかりません。
 でも、国語の先生は、放っといていいんですか?
 最近は、学校でもなさってるんでしょ?」
「あの、エロババア……。
 いや、失礼。
 しかし、恐ろしいものですな。
 あの歳で歓びを知ると。
 完全にタガが外れてしまってます。
 最近は、トイレで待ちぶせしてるんですよ。
 女子高にあって、男子トイレは一種の聖域です。
 侵すべからざる、謂わば“禁区 ”。
 そこに平気で入ってこられたんじゃ、男性にとって、安息の地は無くなってしまいます。
 あのバアさん、男子トイレの個室に潜んでるんですよ。
 で、わたしが小便器で気持よく用を足してると……。
 個室から飛び出してくる。
 しかも、全裸で。
 たまげますよ。
 いきなり後ろから、全裸の女が飛び出して来たら。
 初めてやられたときは、うんこ漏らしそうになりました。
 『先生は、足音でわかりますのよ』なんて言いながら、用を足してるわたしの傍らにしゃがみこむ。
 逃げようにも、おしっこは途中で止められません。
 で、あのエロババア、わたしのちんちんに、ちょっかい出してくる。

『やめてください』
『こっち向いてぇ』
『うわっ』」

「とうとう、ちんちん横を向かされました。
 バアさん、おしっこの軌道に顔突っこんで来て……。
 顔をうねらせながら、満遍なくおしっこを浴びるんです。
 終いには飲み始める。
 でも、お酒飲んでないときのおしっこなんて、すぐに止まってしまいます。

『あら、もうお終いですの?』
『もう空っぽです』
『ウソですわ。まだ残ってます』
『ありませんって』
『残ってます。
 真っ白くて、栗の花みたいな臭いのするおしっこが。
 今度は、それを出していただきますわ』。

 言いながらもう、ちんちんしゃぶってます。
 そこまでされると……。
 わたしも、勃たざるをえないでしょう。
 なにしろ、朝方、妻とやったきりですから。
 男子トイレの小便器前で、全裸の女にフェラされる……。
 思えば、興奮もののシチュエーションではあるわけです。
 女が、もう少し良ければいいんですが。
 でも、骨盤を尖らせたヤセ女が、背骨をうねらせながらフェラしてるのを見下ろすのは……。
 一種、倒錯的な興奮をもたらすものです。
 ちんちんは、あっという間に硬度を増します。
 ビンビンです。
 ほらみんな、よく見て。
 男性の陰茎は、こんなふうにビンビンになるんだよ。
 まるで骨が入ってるみたいだろ?
 みんな、触ってみて。
 痛っ。
 岩城先生、指し棒でちんちんを叩くのは止めてください。
 でも、ちょっと気持ちよかったかも。
 あ、話が途中でしたね。
 で、ちんぽがビンビンになると……。
 やっぱり、突っこみたくなる。
 国語の先生を引っ張りあげると……。
 小便器を抱えさせます。
 肉の薄い尻で、ちょっと突き出しただけで、肛門まで見えるんですよ。
 もちろん、その下の性器も丸見え。
 砕いたウニみたいに蠢いてます。
 そこを目掛け、思い切り腰をぶつける。

『わひぃ』
『先生、相変わらず狭いですね』
『突いてぇ』
『いきますよ。
 それそれ』
『わひわひ、わひひひ』
『どうです?』
『いぃっ。いぃ。
 犯されてるのね。
 わたしは犯されてる。
 男子トイレで、素っ裸に剥かれて』
『自分で脱いだんでしょ』
『言わないで!
 あぁ。
 身動きの出来ないわたしに、凶悪な肉棒が!』『エロ小説の読みすぎじゃありませんか?』『毎晩読んでます。
 こんなシーンを夢見ながら。
 でも今は、今は、夢じゃない!
 突いてください。
 突いて!
 突いて突いて突いてぇぇぇぇ』」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週金曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-18

 その人は、梁を支える柱を背にしてた。
 真っ直ぐに立ってれば、十字架にかかるキリストに見えたかも知れない。
 でも、その人は、床を踏んではいなかった。
 柱の中ほどの宙に、吊り下げられてたから。
 キリストのような、腰の覆いもなく……。
 全裸で。
 しかも、直立姿勢じゃない。
 大きく開いた両腿は、斜め上を指してる。
 両膝に縄が掛かってて、上から吊られてるの。
 膝から下は、真下に降りてる。
 いわゆる、M字開脚ってやつよね。
 股間は、剥き拡げられてるんだけど……。
 性器は見えなかった。
 臍下を回る横縄から、幾本も束ねられた縦縄が下り、性器から肛門までを覆ってる。
 でも、陰毛だけは隠しようがない。
 縦縄から覗く大陰唇に、翳のような薄い陰毛が烟ってた。

 両腕は、理事長と同じく、背中で束ねられてるみたいだった。
 幾本もの縄が、乳房を上下から潰してる。
 理事長のよりも、ひと回り大振りな乳房だった。
 鎖骨のすぐ下から、膨らみが始まってる。
 だから、乳房の上に掛かる縄は、傾斜の途中を押しつぶす形で回ってる。

 そんな姿を晒しながら、その人は、身動きひとつしない。
 足先の力が抜け、爪先が床を指してぶら下がってる。
 その人が意識を持ってないことは、誰の目にも明らかだった。
 でも、肌の色は艶やかに輝き、腹部が僅かに起伏してた。
 命を保ってることも、また明らかだった。
 柱に凭れた顔では、両目が閉じられてた。
 開いた時の大きさが想像できる、長い眼尻だった。
 睫毛の半分を、黒髪が覆ってる。
 それでも、誰かはわからない。
 その人の口も、布で覆われてたから。

「誰だかわかる?」

 首を振るしかなかった。
 でも、とうてい生徒には見えなかった。
 豊かな肉付きは、成熟した大人の女性を思わせた。

「それじゃ、ご披露しましょうね」

 先生はパンプスを脱ぐと、畳にあがった。
 柱に近づく。
 先生の息が届くほど近づいても、その人の目蓋は閉じられたままだった。

「よく眠ってる。
 まだ薬が効いてるのね。
 体質かしら。
 理事長は、先に醒めちゃったのに。
 あ、でも、この姿勢もあるのかな。
 なんか、後ろから抱っこされてるみたいに見えない?
 小さいころ、こんなふうに抱っこされて、道端でおしっこしたっけな。
 安心する姿勢なのかも知れないわね。
 でもやっぱ、大人がすると、イヤらしさ満々よね」

 先生は、その人に顔を近づけると、身体のカーブに沿って鼻先を動かした。

「いい匂い。
 雌の匂いってやつね。
 牡が嗅いだら、速効でおっ起つわ」

 先生は、その人の後ろに回った。
 先生の両手が、髪の後ろで動いてる。
 すぐに、白い布地が緩んだ。
 でも、柱と頭の間に挟まってるのか、布地は落ちなかった。
 先生は、その人の横に身を移した。
 片手は、布地を握ったまま。

「それじゃ……。
 ご開帳」

 白い布地は、プラナリアのように宙を泳ぎ去った。
 その人のすべてが、電球の下に曝された。

「もうわかったでしょ?
 誰だか」

 現れた唇は、少し開いてた。
 その唇の形を、わたしは知ってた。
 授業中、ずっとそこを見てたから。
 その唇から、綺麗な英単語が、音符のように零れるのを。
 そう。
 その人はまさしく、わたしが憧れてた、英語の川上先生だった。

 川上先生は……。
 生徒に人気のある先生だった。
 授業が終わった後も、ノートを持った生徒が教卓を囲み、なかなか帰してもらえなかった。
 転入したばかりのわたしには、それを見てることしか出来なかったけど。
 だから、川上先生と直接言葉を交わしたこともない。
 でも、憧れてた。
 ていうか……。
 はっきり言って、好きだった。

 その川上先生が、目の前にいる。
 しかも、全裸で吊られて。

 わたしは、肛門を引き絞った。
 お腹が痛くなるほど動揺してた。

「可愛い先生よね。
 美里も好きなんでしょ?
 わたしも昔は、このくらい可愛かったんだけどな。
 さすがに今は、対抗できないけど。
 でも、ほんと……。
 庇護してあげたくなる雰囲気よね。
 男が放っておかないでしょうに。
 それが、なんで山の中の女子高教師なんかになったのか。
 ずっと不思議だった。
 でも、最近になってわかったのよ。
 この綺麗な顔、綺麗な身体が、女しか愛せないってことを。
 つまり、レズビアンってこと。
 女子高にレズビアン教師ってのは、笑っちゃうシチュだけど……。
 いるのよね、やっぱり。
 でもほんと……。
 ノーマルな女性でも、この顔見てたら、変な気起きるかも」

 川上先生は、両目蓋を閉じたままだった。
 眼尻は、頬を覆う髪に隠れてる。
 大きな眼だった。
 開いてるときは、いつも潤んでるように見えた。
 生徒からは、“嘆き姫”なんて呼ばれてた。
 宿題を忘れたときなんか、あの大きな瞳が悲しそうに潤むと……。
 自分が、とんでもない大罪を犯したように思えるんだって。

「でも、ほんとに素晴らしい身体。
 着痩せするタイプなのね。
 顔が小さいからかしら。
 こんなにボリュームがあったとは意外よね」

 わたしは、思わずうなずきそうになった。
 決して、太ってるわけじゃない。
 でも、女らしい脂肪が、みっちりと着いて……。
 お臍の下を渡る縄で、肉が括れてる。

「苛めたくなる身体って云うのかしら。
 縛ってるときは、マジで興奮したわ。
 男になった気分」

 あけみ先生は、両手を腰の後ろに回し、川上先生の周りを巡った。
 まるで、美術品を鑑賞するようだった。

「オブジェみたいよね。
 だけど、限りなくイヤらしいオブジェ。
 美術の授業で、これをデッサンしなさいなんて課題が出たら、どうなるかしら?
 ま、男の子なら、我慢できなくなるでしょうね。
 わたしでも、ヘンな気分になるもの。
 この身体の前に立つと……。
 わたしのクリがペニスに変わって、精子出すんじゃないかって思うほど。
 綺麗だろうなぁ。
 この身体に精子がかかったら。
 練乳みたいな白い鞭が、この肌を縦横に打つの。
 あぁ、興奮してきた」

 あけみ先生は、ゆっくりと上体を折った。
 視線の先は、川上先生の顔から胸に移った。
 あけみ先生は、身を屈めたまま、川上先生の乳房を凝視してる。
 正確に云うと、乳房の中央から突き出た、乳首ね。
 女のわたしが見ても、吸い付きたくなるような乳首だった。
 ほら、高校生くらいだと、乳房は発達しても……。
 乳首が、乳輪に陥没してるみたいな子っているでしょ。
 でも、川上先生のは違った。
 まさしく、大人の乳首って云うのかな。
 烟るような薄い乳輪の上に、トッピングみたいに、球形の乳首が載ってる。
 ベリーの実みたいだった。
 唇に含んだら、きっと丁度いい大きさよね。

 あけみ先生の口元が、その実を頬張りそうに近づいた。
 鼻翼がはためいてた。
 匂いを嗅いでるのね。
 離れてても、川上先生の身体は香ってた。
 もちろん、香水とかの匂いもあるんだろうけど……。
 その奥から、もっと濃厚な匂いが噴きあげてるようだった。
 そう。
 まるで、森の奥から、百合の香りが漂ってくるみたいに。

 あけみ先生は、夢見るように目蓋を閉じた。
 鼻翼をはためかせながら、顔が小刻みに振れ始めた。
 いつの間にか、あけみ先生の片手は、自らの股間に回ってた。
 指先が、中心を練るように動いてる。
 1本だけ立った小指が、宙に楕円を描いた。

「川上先生……。
 廊下ですれ違うときも、教員室でお話するときも……。
 いつもわたし、先生の裸を想像してましたのよ。
 このスーツの下には、どんな裸が隠されてるのかって。
 そして、その白い肌には、どんな形に縄を打ったらいいかって。
 そう。
 わたしの中で先生は、いつも裸だった。
 その裸体にわたしは、自在に縄を打つ。
 白い肌を戒める縄は、先生にとって唯一の正装。

 先生はその姿で、教室の扉の前に立つの。
 扉の向こうからは、生徒たちの笑い交わす声が聞こえてる。
 わたしは先生の後ろに立ち、花嫁の介添人のように縄を整える。
 縄の衣装は、上半身だけ。
 歩いて登場してもらいたいから。
 縄は、乳房を上下から挟み、両腕に巻き付いて後ろに回ってる。
 背中で交差する手首の縄を確かめると、わたしは教室の引き戸を開く。

 生徒の幾人かは、もう先生に気づいた。
 先生は、僅かにためらった後、敷居を跨ぐ。
 まるで、結界を踏み越すように。
 全裸の先生が教室に入ると、生徒たちの笑い声は、一瞬にして消え去る。

 この時間は、そうね。
 保健の授業。
 机や椅子は、すべて教室の後ろに押しやられ……。
 生徒たちは、リノリウムの床に散らばってる。
 保健の授業なのに、何が始まるんだろうって話してたんでしょうね。

 さてそれでは……。
 特別授業の開始よ」

 わたしに背中を押され、川上先生は教室の中に歩み出した。


 生徒たちは息を飲んで立ち竦んでる。
 先生の素足が、リノリウムの床を踏む音まで聞こえそう。
 先生が教室の中央まで進むと、近くにいた生徒は、波が引くように後ずさった。
 その顔を見回しながら、わたしは厳かに語り出す。

「さて、みなさん。
 今日の保健の時間は、特別授業を行います。
 教師を務めるのは、わたくし、岩城あけみ。
 ご存知のとおり、音楽の教師です。
 なぜ、音楽教師が保健の授業を受け持つのか……。
 それは聞かないでちょうだいね。
 諸般の事情ってのがあるのよ。

 さて、本日の授業内容は、『女体の神秘』です。
 大事な授業ですよ。
 みなさんがこれから成長し、子供を産み、そして育てていくためには……。
 まず、自らの身体のことを、よく知らなくてはなりませんから。

 わたしの授業では、教科書など使いませんよ。
 薄っぺらな二次元の情報では、大切な事柄を伝えることは不可能ですから。
 で、『女体の神秘』を語るためには……。
 実際の女体を前にしなければならない。
 もちろん、わたしが裸になってもいいんだけど……。
 それじゃ、授業がやりにくい。
 と言って、みなさんの誰かに裸になってもらうわけにもいかない。
 誰かいる?
 志願者。
 わたし、みんなの役に立つなら、モデルになりますって人。
 山下さん、あなたクラス委員よね。
 どう?
 あなた、みんなのために、それこそ一肌脱げる?
 ダメ?
 ほかの人は?
 いない……、ようね。
 ふふ。
 何も、目を逸らさなくてもいいわよ。
 ま、これは予想できたことですけど。
 でも、人のために自らを投げ出すって精神は、わが学園の校訓でもあります。
 今日の授業は、この校訓を教師が実践してみせる、という意義もあるの。
 こうしてみなさんの目の前に、裸を晒している川上先生。
 憧れてる人も、少なくないんじゃないかしら。
 その先生が、みなさんのために、こうして自ら身を投げ出してくれてるわけ。
 どう?
 これが、わが校の校訓で謳われる“愛他の心”よ」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週金曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。