放課後の向うがわⅡ-29

「こんなとこに忘れてったのね。
 危ない危ない。
 まさか、変なことには使って無かったでしょうね」

 その人は、棒を電球に翳した。
 光を浴びて、棒は光沢を見せた。
 竹だった。
 粉を吹いた地肌が光を返し、まるで自ら光を発してるように見えた。
 なぜだか、かぐや姫の物語が頭に浮かんだ。

 その人は、理事長の傍らに身を沈めた。
 さっきから、顔を確かめようとしてるんだけど……。
 出来なかった。
 なぜなら、その人は帽子を目深に被り、つばの作る影が、顔の上半分を隠してたから。

「ほら。
 おネンネの時間は終わりよ」

 その人は、理事長の身体を引き起こした。
 癇癪持ちの子が、人形を扱うような邪険な仕草だった。
 上体を起こされた理事長は、視線を四囲に彷徨わせてる。
 その人は、魔法めいた手際で、理事長の縄を解いた。
 しかし、理事長に自由は与えられなかった。
 理事長の両腕は、再び後頭部で束ねられ、縄打たれた。
 その縄に、竹が通される。
 理事長の頭の後ろを、竹が渡った。
 わたしには、理事長の首を突き抜けたように見えた。
 理事長の瞳が、焦点を結んだ。

「……、お姉さま」
「やっと目が覚めた?
 わたしに無断で、気持ちいいことしてたわね」
「ごめんなさい」
「気までやって。
 ほら、ゆうはまだ、大股拡げて寝てるわ。
 あの子も、筋金入りの変態。
 あんな綺麗な顔に生まれながら、不憫なものよね。
 さてと。
 まずは、あなたのお仕置き。
 どうしようかしら。
 どうされたい?」
「……。
 突いて。
 突いてください。
 あのディルドゥで」
「は?
 馬鹿じゃないの。
 それじゃ、お仕置きにならないでしょ。
 ふざけたこと言ってないで、ほら!」

 その人は起ちあがりながら、理事長の身体を引きあげた。
 理事長は自ら応えて身を起こすと、膝を突いた姿勢で背中を見せた。
 張り出したお尻から、腰への括れが見事だった。
 後頭部で束ねられた両腕には、竹が通っている。
 まるで、竹に射抜かれたビーナスだった。

 その人は、理事長を見下ろすように立ってる。
 高いピンヒールから伸びる脚は、網タイツのガーターストッキングに包まれてた。
 ストッキングが、ガーターだってわかると云うことは……。
 つまり、スカートは穿いてなかったの。
 股間は、かろうじて布地に覆われてたけど。
 その黒いパンティには、真紅の花があしらわれてた。

「これが、ほしいの?」

 その人は……。
 やっぱ、この呼び方って言いづらいな。
 ここからは、女王さまにするね。
 女王さまは、柱のディルドゥを指さした。
 さっき、理事長と川上先生が、舐めてたやつね。


「ください」
「さっきまで、つまみ食いしてたくせに」
「お姉さまに突いてほしい」
「そうかしら。
 ひとりで遊ぶの、大好きなくせに。
 わたしが、お預けを言いつけて置いても……。
 言うこと聞かないじゃない。
 ベッドに仰向けになったまま、腰振り出してさ。
 ガードパイプに燭台で据えたディルドゥを上目で睨めながら……。
 お尻をシーツに擦り始める。


「だって、お姉さまが、あんまり焦らすんですもの」
「甘え声出すんじゃないの。
 焦らさなきゃ、お預けの意味がないでしょ。
 ぜんぜん聞きゃしないんだから。
 勝手に起きあがって、ディルドゥ舐め始める。
 しかも、尻の穴をねぶりながら。


「だって……」
「また、だって?」
「前を弄ること、禁じられてるんですもの」
「“前”なんて曖昧な言い方、止めてちょうだい。
 ちゃんと言いなさい。
 どこをどうすることを禁じてあるの?」

「……。
 おまんこ」
「はっきり!
 おまんこをどうするの?」
「おまんこを、自分で弄ることです」
「そっちのいいつけだけは守ってるって言いたいわけ?
 それでお尻の穴弄ってたら、世話ないわ。
 あげくの果てに、ディルドゥ様を燭台から持ち出してさ。
 床に据え付けて……。
 舐め回すわ、頬ずりするわ。

 浅ましいったらありゃしない。
 わたしに見咎められなければ……。
 あのまま突っこんでたでしょ?」
「そんなこと、しません」
「ウソおっしゃい。
 ディルドゥが溶け出しそうなほど、頬張ってたくせに。
 そういう人は、罰を受けなきゃならないのよ」
「犯して……。
 めちゃめちゃに」
「だから……。
 それはあなたにとって、罰じゃないでしょ。
 考えてみれば……。
 SとMってのは、奉仕する側とされる側なのよね。
 もちろん、奉仕してるのはSの方。
 Mの欲望を満たすため、Sは一生懸命サービスしてるわけ。
 でもね。
 わたしは、そんなのイヤよ。
 わたしが聞きたいのは、ほんとの悲鳴。
 そのために……。
 今日は、おみやげを持ってきたわ」

 女王さまは、薄い上着を羽織ってた。
 胸前ははだけ、ブラが覗いてる。
 黒いカップの上に、パンティとお揃いの花が咲いてる。
 女王さまは、上着の裏から、マジシャンみたいに、あるものを取り出した。
 カップに咲く花よりも赤い、棒のようなもの。
 遠目からでは、よくわからない。

「ほら。
 おっきいでしょ。
 これも突っこみたい?
 でも、残念ながら……。
 あなたの下のお口を満足させるために、持ってきたんじゃないの。
 何に使うか、わかるでしょ。
 SMショーの定番だものね。
 ロウソクショーって云うのよ。
 どう、この色。
 毒々しいまでの赤。
 無残絵の血の色みたい。
 でも、とても懐かしい色。
 子供のころ見た夢に灯ってた色よ」

 女王さまは、赤いロウソクを、理事長の顔前に翳した。
 お寺の本堂にあるような、大きなロウソク。

「この赤い蝋が溶けて……。
 白い肌に落ちると、それはそれは綺麗なの。
 だから、SMショーでは、赤いロウソクが使われるのね。
 でも、ほんとに熱いのよ」

 ロウソクを突きつけられた理事長は、床を後退った。

「ゆ、許して」

 目が本気で怯えてた。
 無理もないわ。
 あんな太いロウソクを目の前にしたら……。
 誰だって、恐怖の方が先に立つ。

「ダーメ。
 どうやら、縛り直した方がよさそうね。
 ほら、おとなしくしなさい」

 女王さまは、理事長の腕から竹の棒を抜き取った。
 床に放られた竹が、楽器めいた音を立てる。
 その竹がまだ静まらないうちに、理事長の縄は解かれた。
 でも、自由を得たのはほんの一瞬。
 女王さまは、理事長の両腕を背中で束ねた。
 再び縄が打たれる。
 もちろん、本気で抵抗すれば逃げられたはず。
 でも、理事長はそうしなかった。
 顔は半泣きに歪んでたけど。
 恐怖と、嫌われたくないという思いが、せめぎ合ってるように見えた。
 その間にも、縄は重ねられていく。
 瞬く間に、理事長の上体は、縄で区画された。
 乳房の膨らみが縄で潰され、乳首が上を向いてた。

「はい、出来上がり。
 綺麗になったわよ。
 どんな衣装より、あなたには飴色の縄が似合うわ。
 そして、それに合わせるのは……。
 このロウソクの赤」

 女王さまの上着から、小さな金色が生まれた。
 指先が金色の肌を弾くと、軽やかな金属音とともに、金色は2つに割れた。
 ライターだった。
 微かな擦過音が立ち、炎が生まれた。
 2本束ねたロウソクを傾け、ライターに近づける。
 口づけをするみたいに、炎が移った。
 赤いロウソクに、柑子色の火が灯った。

「ほら。
 綺麗でしょ」

 女王さまは、理事長の前に、2本のロウソクを翳した。
 理事長の瞳が、怯えたように逃げる。

「まず、どこからいこうかしら?
 そうね。
 やっぱり、ツンとお澄ましした、そのおっぱいかしら。
 どうなの?」
「許して……」
「ダメよ。
 そんなこと言いながら……。
 乳首、起ててるくせに」
「言わないで……」
「言いなさい。
 蝋のお情けが欲しくて、乳首起ててますって」
「お姉さまに見られてるから」
「可愛いこと言ってもダメよ。
 見られて起てるなんて、変態だわ」
「あぁ」
「ほら。
 言葉で嬲られるだけで、そんな顔して。
 立派な変態。
 ちょっとだけ弄ってあげましょうか」

 女王さまは、理事長の背後に回った。
 束ねた指先が理事長の体側を回りこみ、乳首を摘んだ。

「ひ」
「まだ何もしてないでしょ。
 もう鼻の穴膨らませて。
 言ってごらん。
 ゆいは変態ですって」
「……」
「言えないの?
 止めちゃおうかな」
「変態です」
「主語が無い!」
「ゆいは……。
 ゆいは変態です!
 だから……。
 だから、弄ってぇぇ」

 指先が、獲物を捕らえたイカの脚みたいに蠢き出した。

「わひぃ」
「気持ちいいの?」

 理事長は、がっくがっくと頷いた。
 頷きながら、お尻を床にスライドさせ始めた。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


キネマ館 新規コンテンツ 緋の扉 開始!

大変長らくお待たせいたしました、緊縛桟敷キネマ館の生写真にて新規コンテンツ「緋の扉」がついに公開開始されました!

本の為に撮影していた頃、グラビア掲載枚数は限られていたものでした、限られた枚数の中凝縮して練りこんだアイデアと情熱が未だ熱を帯びているような、そんな作品たちを当時掲載出来なかったカットを合わせてタイトル名「緋の扉」として再編集したコンテンツとなっております。

枚数がとても少ないですが、内容は緊縛桟敷の一週間分と変わらないと言って良いほど凝縮された作品となっております、これらは全て500円(ワンコイン)にてダウンロードが可能となっておりますので、お好きなタイトルを集めて御覧くださいませ。

それでは、緋の扉を今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
緊縛桟敷キネマ館「緋の扉」

放課後の向うがわⅡ-28

 理事長は、歯を食いしばった表情のまま、後退った。
 半身に折った背中越しに、お尻が迫り上がった。

「ゆう。
 ゆう。
 見て」
「こんなに近くで見てる」
「後ろ。
 後ろから見て。
 ゆいのおまんこに、肉棒が突き刺さるとこを……。
 見てぇぇぇぇぇ」

 理事長は、きりりと眉を上げ……。
 そのまま後ろに、身を煽った。
 眼球が、引き上げられた深海魚みたいに膨れた。

「あぎゃぁ」

 表情が、弾けるように崩れた。
 首をうねらせ、空中を舐め回す。

「あぐぅ。
 ゆうちゃん……。
 見てる?」
「……」
「言って。
 どうなってるか言って」
「奥まで刺さってる」
「見える?」
「お尻に隠れて、よく見えない」

 理事長は顔を持ちあげ、再び表情を整えた。
 力んだ眉が、阿修羅像みたいだった。

「はぅ」

 理事長は、深淵を覗くように、身を前傾させた。

「見えた。
 見えたよ」
「言って。
 どうなってるか、言って」
「咥えこんでる」
「やらしい?」
「ゆいのおまんこ、動いてる。
 焼き網に載せられたアワビみたい」
「じっとしてると、肉棒を呑みこもうとするの」
「あ、お汁が零れた」
「あぁ……。
 焦れったい。
 がんがん突いて欲しいのに」
「無理よ。
 柱にそんなこと言っても」
「それなら、わたしが動くわ。
 こうやって。
 はぅっ」

 理事長が、身を畳んだまま後ろに跳ねた。
 外敵から逃れるエビのようだった。
 尻が柱を叩き、鈍い音を立てた。

「そんなにしたら、子宮が破けちゃう」
「奥がいいの。
 いいのぉぉ」

 理事長は再び前傾すると、すぐさま身を煽った。
 柱が揺れた。

「はぅぅ」

 理事長は、たちまち往復するピストン機関となった。
 尻が、高速で柱を打ち始める。
 柱は、アフリカの打楽器のように鳴り始めた。

「もう、速すぎて見えない」
「前に、前に来て。
 おまんこ、見せて」

 川上先生が、理事長の前に回った。
 理事長の顔が、川上先生の身体に隠れる。
 この状態なら、わたしへの視線は来ない。
 鏡の裏から片目で覗いてたわたしは、鏡から顔を出した。
 川上先生の肉付きのいい後ろ姿が、目の前にあった。
 みっしりと、隙間も見せず揃った太腿。
 曲線を描いて張り出したお尻。
 そして、腰骨の上で翳を孕む、天使のえくぼ。
 妄想したとおりの裸だった。

「はぅっ。
 はぅっ。
 ゆうちゃん……。
 開いて。
 開いて見せて」

 川上先生の太腿が別れた。
 両膝を外側に割り、腰を落とす。
 いわゆる、がに股の姿勢。
 尻たぶが、羽二重を押したように窪んだ。

「おまんこも開いて」
「できないわ。
 縛られてるんですもの」
「力を入れて。
 ぐっと。
 そう。
 見えた。
 見えたわ。
 ゆうちゃんのハラワタ」
「あぁぁ。
 弄りたい。
 弄りたいよぉ」

 川上先生は、がに股のまま身をくねらせた。

「そんな格好で、オナニーしたいの?」
「したい……」
「したことあるのね」
「……」
「どこで?」
「学校の、おトイレ」
「まぁ、はしたない」
「だって、理事長先生……。
 じゃなくて、ゆいとの夜を考えたら……。
 待ちきれなかったんですもの」
「可愛いわぁ。
 おトイレで、立ったままやったのね」
「思い切り」
「声が出ちゃうでしょうに」
「パンティを咥えて」
「ショーツ脱いじゃってたの?」
「全部脱いでた」
「全裸で?
 変態ね」
「あぁ。
 言って。
 もっと言って」
「変態!
 ゆうの変態!」
「あひぃ」
「でも、ゆうだけじゃないわ。
 ゆいも変態。
 だから2人は、変態姉妹。
 畜生の姉妹よ」
「あぁぁぁ」

 川上先生は、夜の桃みたいに重そうなお尻を、ゆらゆらと揺らし始めた。
 “天使のえくぼ”が翳を孕み、顔のように見えた。

「もうたまらないのね。
 もっと近くに来て。
 わたしが、お口でしてあげる」

 川上先生が、尻たぶを窪ませながら、にじり寄る。
 その尻たぶが跳ねた。

「わひぃ」

 ピストンを止めようとしない理事長の顔が、川上先生の股間を叩いたのだ。
 川上先生は、一瞬砕けかけた腰を立て直すと、理事長の顔を迎えに行った。
 理事長の顔が繰り出されるのに合わせ、腰を煽る。
 わたしからは見えなかったけど……。
 理事長の顔と川上先生の股間が、空中で衝突してるのが、はっきりとわかった。

 理事長のピストンが速まった。
 纏めてた髪が解けた。
 理事長は、散らし髪を振り立てながら、川上先生の股間を抉る。
 川上先生の腰も、輪郭を消し始めた。

「イ、イク。
 イク」

 川上先生が、声を裏返したそのときだった。

「何してるの、あんたたち!」

 叩きつけるような声が、間近から聞こえた。
 わたしは、新たな人物の登場に動転し、その場に身を縮めるしかなかった。
 その人物は、まさに忽然と現れたとしか思えなかった。
 いくら2人の痴態に見入ってたとしても、近づく靴音くらいは聞こえたっていいはずだ。
 身を縮めたわたしに、初めてその靴音が聞こえた。

「おとなしく待ってなさいって、言ったでしょ」

 靴音は少し遠ざかり、その人が舞台中央に進んだのがわかった。

「あぁ」

 川上先生の、嘆きに似た裏声と共に、重そうな響きが床を伝わった。

「はしたない子ね。
 腰抜かしたりして。
 呆れ返ったわ。
 人の顔使ってオナニーするなんて。
 それでも教師なの。
 あらあら。
 もう、何を言っても聞こえないみたいね。
 白目剥いちゃって」

 再び、靴音が響いた。

「でも、こっちはもっと悪いわね。
 仮にも理事長でしょ。
 学校法人の。
 それが、柱に括りつけたディルドゥを、下の口に咥えこむなんて……。
 はしたないにも程があるわ。
 上のお口で舐めてなさいって言ったでしょ。
 まだ、咥えこんでる気?
 抜きなさいって」

 床を、柔らかい音が打った。
 理事長の身体が崩れたに違いない。

「悪い子たちには……。
 お仕置きが必要ね」

 靴音が微かに近づいたけど、逆に声は遠くなった。
 その人は、こちらに背を向けたに違いない。
 音楽やってると、そういう音の気配が感じられるのよ。
 ここまで来て、わたしは我慢が出来なくなった。
 見届けたかった。
 学園の理事長と教師を、自在に蹂躙できるその人物を。

 わたしは、伏せていた身から、ヘビのように首を持ちあげた。
 もし見つかったとしても、縛られてる床の2人は戦力にならない。
 それなら、女同士の1対1だ。
 声の発せられる高さからして、それほど大柄な女性じゃない。
 逃げるチャンスは、十分あるはず。
 そう自分に言い聞かせながら、鏡の裏から顔を覗かせた。

「呆れた人たち。
 2人して気をやっちゃうなんて」

 その人は、仰向いた理事長の枕元に腰を下ろし、顔を覗きこんでた。
 理事長は、白目こそ剥いてなかったけど……。
 視線はあらぬ方を指してて、意識の焦点は結ばれてないようだった。

「ほんとに気持ちよさそうにイッちゃって。
 どうなの、この顔」

 その人の手が、理事長の顎を掬い取った。
 理事長の顔が横を向き、視線がこちらに流れた。
 思わず、首を引っこめそうになったけど……。
 その両目が何も見てないことは、すぐに解った。


「死に顔みたい。
 こんな顔で死ねたら、幸せよね。


 魂を失った抜け殻って、どうしてこんなに美しいのかしら。
 このまま、わたしの魂が身投げしたら……。
 この美しい身体に入れるんじゃないかしら。
 なんてね。
 いくらわたしでも、そこまでの能力は無いわ。
 ほら、いつまで寝てるの!
 起きなさい」

 その人は、理事長を邪険に突き放し、その場に起ちあがった。

「まだ起きないつもり?
 もう気持ちのいい時間は終わりよ。
 先にいい目を見ちゃった子には……。
 たっぷりと痛みを味わってもらうわ。
 どうしてやろうかしら」

 その人は、顎を指先で支え、思案を巡らせてるようだった。

「あら」

 軽やかにヒールを響かせながら、その人は部屋の隅に屈みこんだ。
 再び身を起こすと、手には細長い棒のようなものを持ってた。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。