放課後のむこうがわ 17

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放課後のむこうがわ 17

 あけみちゃんの背中が、教卓を離れた。
 歩き始めた幼児みたいな足取りで、2、3歩あゆんだ。
 でも、あっという間にバランスを崩すと、上体を捻りながら沈んだ。
 まるで、床に吸いこまれるスパイラルみたいだった。
 でも、微かに残った意識が、上体の姿勢だけは保ったみたい。
 あけみちゃんは、教卓の側面に背中を凭せ、しゃがみこんでた。
 瞳は上目蓋から落ち、宙に泳いでた。
 胸が大きく起伏してる。

「危なかったね。
 上体縛られたままひっくり返ったら、可愛い顔に傷がついちゃうところよ」

 ともみさんは、そんなあけみちゃんを尻目に、机をひとつ動かしてた。
 天板に金属パイプの脚が付いた、生徒用の机。
 それを柱の前に据える。
 この教室の中にはね、柱が何本か立ってるの。
 20センチ角くらいの太い柱。
 最初からこういう設計なのか……。
 それとも、後から補強されたのかもね。
 上半分は白く塗られてたけど……。
 木製の柱だと思う。

 ともみさんは机を、その柱にぴったりとくっつけた。

「あけみ。
 こっちおいで。
 診察台を作ってあげたから。
 これから、あけみのヤラシーまんこを、診察してあげます」

 あけみちゃんの表情が、明らかに輝いた。
 ともみさんの仕草を追ってた瞳が、息づくように膨らんだ。
 あけみちゃんは床に両膝を突くと、懸命に起ちあがった。
 後ろ手に縛られた上体を振りながら、机の脇まで歩んだ。

 あけみちゃんは机の天板にお尻を載せ、自ら迫りあがろうとしたけど……。
 上体を縛られたままじゃ、無理だった。

「ひぃぃぃ」

 もどかしさが、口をついて漏れ出た。

「あわてないの。
 手伝ってあげるから」

 ともみさんが、あけみちゃんを抱えるように机に載せた。
 背中を柱に凭せかける。
 尾骨が天板に着くほど、お尻は前に流れてる。

「それじゃ、患者さん。
 診察の姿勢を取ってください。
 脚を上げるのよ。
 ほら、赤ちゃんがオシメ替えてもらう格好」

 あけみちゃんの両腿が、胸前まであがった。
 膝は二つに折り畳まれ、靴底は天板まで下りてた。

「どうも安定が悪いなぁ。
 落っこちそうだ。
 固定が必要ね」

 ともみさんの片手には、ロープが握られてた。
 どこから出したんだろう。
 ほんとにマジシャンみたい。
 ていうか、その時のともみさんは、全能の人だったのかも。
 手の平を開けば、欲しい物が向こうから飛びこんでくる、みたいなね。

 ともみさんは、あけみちゃんの上体を柱に縛り付け始めた。
 ブラウスと縄が擦れるキュルキュルという音が、まるで宙に鳴る鞭のように聞こえた。
 たちまち縄は、あけみちゃんを括りあげた。
 両腿にも縄が掛けられ、上体と結ばれた。

「はい、出来上がり。
 あけみ、嬉しい?」

 あけみちゃんは、ともみちゃんを見上げながら、一生懸命うなずいた。
 瞳は、憧れるように輝いてた。
 主人を見上げる子犬みたい。
 シッポがあったら、千切れるほど振ってたかも。

「でも、その姿勢って……。
 自分じゃ、どうすることも出来ないんだよ。
 気持よくなろうとしたら……。
 ちゃーんと言葉にして、お願いするの。
 ほら。
 もう、机にお汁が垂れてる。
 さぁ、どうして欲しいの」
「弄って。
 弄ってください」
「どこを?」
「おまんこ」
「はしたない子ね。
 襞々が捲れ切ってる。
 陰核が、鼻筋みたいに持ち上がってるよ。
 鼻の頭を、ちょいと潰してやったら……。
 あっという間に、白目剥いちゃいそうだね。
 でも、そんな簡単にはイカせてあげないから。
 まずは、診察。
 おまんこ測定」

 ともみさんは、さっきの長い定規を握ってた。
 机の前に、しゃがみこむ。

「何センチあるかな?」

 ともみさんは、あけみちゃんの股間に定規を押しあてた。

「あひぃ」

 あけみちゃんの顎が上がり、頭頂が柱を擦った。

「えーっと。
 5センチ……。
 4、5センチかな?
 これって、標準なのかな?
 わたしのは何センチだろ?」

 ともみさんは起ちあがると、スカートを捲りあげた。
 もちろんその下は、何も穿いてない。
 張り出た腰骨に夕暮れの光が浮いて、産毛まで数えられそうだった。

 ともみさんは、自らの股間に定規をあてた。

「あけみ。
 目盛り読んで」

 あけみちゃんは眉に皺を寄せて、ともみちゃんの股間を凝視してる。
 かなり目が悪いみたい。

「4センチ……、くらい?」
「頼りないね。
 ま、ミリまでは見えないか。
 だいたいおんなじってとこね。
 でも……。
 おまんこ剥き出すと、どうしてこう気分出るんだろ。
 弄りたくて堪らなくなるわ。
 ほら、陰核までパンパン。
 見える?」

 ともみさんは、指先で恥丘を引き上げながら、股間を突き出した。
 あけみちゃんの視線は、レーザー光のように一点を灼いてた。
 ともみさんの陰核が、溶け出すんじゃないかって思えるほど。
 そんなあけみちゃんの顔を、ともみさんは口角を上げて見下ろしてた。

「あんまり焦らすのも可哀想ね。
 じゃ、とりあえずサイズ測定はこれでおしまい。
 それでは……。
 お待ちかねの、触診に移ります」
「ひぃぃぃぃ」
「患者さん。
 はしたない声出さないでください」

 ともみさんは、再び机の前にしゃがみこんだ。
 あけみちゃんは、懸命にお尻を迫り出してる。

「ほんとにヤラシイ陰核。
 まさしく勃起してるんだからね。
 陰核の皮が、ヨットみたいに帆を張ってる。
 悪い子。
 そういう子の頭は、ちょっと叩いてあげようか。
 ひょい」
「あぎ」

 あけみちゃんのお尻が跳ねあがり、机の脚が騒々しいステップを踏んだ。

「ちょっと反応良すぎ。
 指でグニグニしたら、あっという間だね。
 ダメよ。
 すぐイッちゃ」

 ともみさんは、引っこめた人さし指を、宙に立てた。
 そのまま、自分の鼻に引きつける。

「くさーい。
 メスの匂いがプンプンする」
「ひぃぃぃぃ」
「これは、キケンな液体ですねー。
 指が溶けちゃいそう。
 掃除が必要みたいなので……。
 これを使いましょう」

 スカートのポケットを探ったともみさんの指には、小さな白い棒が摘まれてた。

「わかりますね?
 綿棒です。
 でも、普通の綿棒じゃないのよ。
 レンズクリーニングの専用品」

 ともみさんは、綿棒を胸前に掲げた。
 まるで、小さな灯し火みたいに。
 あけみちゃんの瞳は、その灯火に焦点を結んでた。
 ちょっと寄り目になるほどにね。

「クリーニングしますよ」

 ともみさんの胸元が、机にくっついた。
 もう、ともみさんの顔のすぐ前が、あけみちゃんの股間だった。
 綿棒を持たない方の手が、宙に弧を描いた。
 あけみちゃんの瞳が、軌跡を追う。

「あひゃ」

 ともみさんの片手は、股間に着地してた。

「包皮の裏側には……。
 恥垢というキタナイものが溜まりがちです。
 そこを、入念にお掃除しなくちゃなりません。
 まずは、包皮を剥きましょう。
 むぎゅー」

 股間に宛てがわれたともみさんの指が、反りながらすぼまった。
 指の狭間から、あけみちゃんの陰核が突き出てた。
 真っ赤な色。
 子犬のおちんちんみたい。

「悪い一つ目小僧ですね。
 め」

 綿棒の頭が、陰核を突いた。

「わひぃ」

 あけみちゃんの膝から下が跳ねあがった。
 紺のハイソックスが宙を掻き回す。

「はしたないですねー。
 お尻の穴まで丸見えよ」
「見てー。
 あけみのお尻の穴、見てー」

 あけみちゃんの両脚が、コンパスみたいに開いた。

「ひくひくしてる。
 カメラの絞りみたい。
 見つめてると、吸いこまれそうだよ」

第十八話へ続く

文章 Mikiko
写真 杉浦則夫
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野中あんり×緊縛桟敷

愛に嫉妬はにがい毒の味でそれなしでは愛もあじけないものだがひとたびこの魔物がのさばりはじめると猜疑心と妄想が愛を暗黒の奈落へとじこめ緑色の苦汁の毒をはく。俺はそんな経験を幾度もくりかえしたなかでも記憶に残るものはそんなどん底での、ちわ喧嘩で怒りのあまり目から青い光が飛んだ、おおげさと思われるかもしれませんがボワーと濡れた目から青い光を発したのです。夜の街なかであった、俺は空洞とした体をひるがえしそこを去った、それでなかったら俺は犯罪者に落ちていたであろう二度としたくない恋、と思いながら三つ子の魂の芽はふつふつと芽生えてしまう瘋癲老人の域にある。

このような物語を作りました。年始あいさつに社長宅を訪れた事務員あんりはあらぬ疑いをかけられて局の入れた眠り薬の入ったお茶を飲まされて眠りに落ちているところを形相恐ろしくした神田つばき奥方の縄めにかかり縛り上げられて折檻を受けるのだある、この女史所有欲が強くわが財産のびびたる物も人手に渡るのを悔しがり事務員あんりの鞄をあさりこれもこれもわが夫の貢ぎ物と凄まじい声をはりあげて責めるのである、身におぼえの無いあんりははらはらと涙をこぼし釈明するのであるが嫉妬に狂う局にその声はとどくはずがない、嫉妬の毒牙にかかりしあんりの身。

放課後のむこうがわ 16

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放課後のむこうがわ 16

 目が醒めたのは、どれくらい後のことだったろう。
 意識を失ってすぐみたいな気もしたし……。
 すごく時間が経ったみたいな気もした。

 わたしがいたのは、階段を上りきったとこ。
 あの2人の姿は見えなかった。
 校舎は、しんと静まり返ってた。
 2階の廊下にも、大きな窓が続いててね……。
 そこから射しこむ午後の光が、床板を暖めてた。
 光がさらさらと降り積もる音が、聞こえてくるみたいだった。

「え?」

 わたしは、ほんとに音を聞いたみたいに思って、耳を澄ませた。

 でもそれは、人の声だった。
 もちろん、あの2人の声。
 声は、光の射しこむ窓の向かい側、教室の中から聞こえてきた。
 2人に置いて行かれたんじゃないかって思ってたけど……。
 そうじゃなかった。
 2人は、まだいたんだ。

 わたしは、声のする教室に向かった。
 真っ直ぐ歩いてるつもりなのに、脚元が定まらない。
 夢の中を歩いてるみたいだった。
 見下ろす両脚は、付け根まで剥きだし。
 スカート穿いてないんだから……。
 さっきまでの出来事は、夢じゃないはず。
 でも、交互に歩んでいく両脚を見下ろしながら……。
 自分の脚じゃないように思えた。
 やっぱり、半分夢を見てたのかな。
 実はね。
 それからの記憶は、はっきりと時系列が繋がってないんだ。
 水に浮かぶ泡みたいに、ところどころ顔を出す感じ。

 2人の声は、だんだん大きくなってくる。
 もちろん、わたしの方が近づいてるからだけど。
 教室の扉は、開け放たれてた。

 目に飛びこんで来たのは、大きな窓。
 木桟で区切られたガラスが、一面の天井までを覆ってた。
 窓の外には、裏山の緑がのしかかるように見えた。
 窓の上下は3段になってるんだけど、一番下の段だけ、磨りガラスなの。
 あれはたぶん、授業中に窓の外が見えないようにしてるんだね。
 だって、あんなに山が近くに見えたら、気が散っちゃうもの。

 外は晴れてたけど……。
 陽の光は、窓から射しこんでなかった。
 たぶん、そういう方角になるように、教室が設計されてたんだと思う。
 天井まである窓から陽が射しこんだら、授業にならないもんね。

 その窓硝子を背に、あけみちゃんは立ってた。
 でも、窓に背中を付けてたわけじゃないの。
 窓の前に、木製の教卓が置いてあったんだ。
 そこにお尻を凭れるようしにて立ってた。
 ヘンよね?
 なんで、窓に向いて教卓があるんだろう。
 で、黒板の方を見ると……。
 そこにも、ちゃんと教卓があるのよ。
 どちらの教卓の上にも、ガラスの花瓶に花が生けられてた。
 まるで、先生が2人いるみたい。
 でも、一人の先生は、窓の外に向かって授業をしてる。
 きっとさ……。
 その先生の授業は、夜にあるんだよ。
 で、窓の外には、この世のものでない生徒が集まってる。
 なんてね。
 もちろん、これは冗談だけど。
 でも、いろんな想像をかき立てられる、不思議な教室だった。
 生徒の机だって、整然と並んでないんだ。
 てんでんばらばらに散らばってた。
 テレビで、山の分校みたいな教室が映されることがあるでしょ。
 複式学級みたいな。
 あんな雰囲気だね。

 で、あけみちゃんだけど……。
 窓に面した教卓にお尻を預け、少し前かがみで立ってる。
 あられもない姿で。
 下半身は、もちろん裸のまま。
 でも、もう股間に縄は渡ってなかった。
 両股は内股気味に閉じてるから、性器までは見えないけど……。
 縦長に整えられた陰毛は、はっきりと見てとれた。

 上半身は、上着を着てなかった。
 ブラウスだけ。
 ボタンはすべて外され、前身ごろが大きく開いてる。
 ブラが、胸下に引きおろされてて……。
 乳房が丸見えだった。
 その乳房を、上下の縄が潰してた。
 上着を脱がせて、また縛りなおしたってことだよね。
 その縛った主は、背中を見せて立ってた。
 もちろん、ともみさん。
 ともみさんの格好は、さっきと変わらない。
 スクールベストまできっちりと着け……。
 タータンチェックのスカートも、ちゃんと穿いてる。
 もっとも、その下はノーパンだったろうけど。

「どうしたの?
 そんな前かがみになって」

 ともみさんの声。
 でも、あけみちゃんが、腰を折るように屈んでるのは、無理も無いのよ。
 ともみさんは、長い定規を持ってた。
 厚いプラスチックの、透明な定規。
 50センチくらい測れそうな大きさだった。
 その定規の先が、あけみちゃんの股間に届いてるの。

「あぅぅ」

 あけみちゃんのうめき声があがった。
 厚い定規が撓んでた。
 股間にあてられた先っぽには、大きな力がかかってるはず。

「あふぅ」
「イヤらしい子ね。
 そんな顔して」

 あけみちゃんは眉を歪めてた。
 でも、それが苦痛を訴える顔じゃないことは、遠目からもわかった。
 閉じた内腿を、しきりに摺り合わせてる。
 きっと内腿には、膣液が伝ってたんじゃないかな。

「あけみがイヤらしー子だってことは、誰が見たってわかるんだよ。
 このおっぱい見たらね」

 ともみさんの定規が持ち上がり、あけみちゃんの乳房を小突いた。

「ひぎっ」

 あけみちゃんの身体が、スタンガンを当てられたように跳ねた。
 閉じられてた両腿が、左右に離れた。
 ナメクジの這ったような跡が、内腿に光って見えた。

「ほら、これ」
「あぁっ、あぁっ」

 ともみさんの言うことは、よくわかった。
 乳首が、ビンビンに起ってるの。
 綺麗な肉色の乳首なんだけど……。
 乳輪ごと持ち上がってた。

「ひぃぃぃ」

 食い縛った唇を割り、あけみちゃんの声が漏れた。
 定規の先が左右に振れ、乳首を嬲ってた。
 あけみちゃんは、懸命に内腿を擦り合わせてる。

「定規でイクつもり?」
「指で……。
 指で触ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「ダメー。
 定規でイキなさい」

 定規は乳首を離れ、宙に持あがった。
 その軌跡を、あけみちゃんの目線が縋るように追った。
 目線を振り切るように、定規が、タクトの軌跡を描いて振りおろされた。

 パーン。

 森に響く銃声みたいに聞こえた。

「あぎゃっ」

 定規の先が、あけみちゃんの乳首を潰してた。
 あけみちゃんの顎が落ち、洞穴みたいな口蓋が覗いた。
 両目は大きく見開いてる。
 瞳が、上目蓋に半分隠れるほどせり上がってた。

「ほんとにイッちゃった?」

 あけみちゃんが、細かくうなずいたように見えた。
 でもそれは、ともみさんの問いに答えたわけじゃないみたい。
 あけみちゃんの上体が、大きく前傾した。
 口の端から、涎の糸が床まで伸びた。

第十七話へ続く

文章 Mikiko
写真 杉浦則夫
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本年もご愛好誠にありがとうございました。

緊縛桟敷、キネマ館会員の皆様、緊縛新聞をご覧いただいている皆様には今年も大変おせわになりました。
また本年最後の更新となりました、城井桃さんの撮影会におこしいただきました方々にはあらためてお礼を申し上げます、桃さんから後日メールが届きまして撮影会の日は大変なエキサイティングな一日で皆様の熱い視線を体の中にいっぱいに貯めて帰りましたお礼を申し上げておいてくださいとありました。出来上がった写真を見ると桃はこの一日一度も気を抜く事が無く全身で縄の拘束を受け止めていたとみてとれる、お礼の返信を書きました。

今回は年内最後ということで前回城井桃さんが撮影会に 出演された第九回(画像は未だ未発表です、いずれ公開致します)の様子の現場動画も同時公開されております。

平成二十三年十一月十九日 六本木倶楽部スタジオにて
縄師、奈加あきら 氏。

年末年始のお休みは
12/29~1/4とさせて頂きます。この期間、銀行振込の対応、商品の発送がお休みとなりますが、クレジット決済に関しては平常通り行えます。

来年もどうぞよろしくお願い致します。