放課後のむこうがわ 5


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放課後のむこうがわ 5

 ともみさんは両手をお尻に回し、スカートを押さえながら、床まで腰を下ろした。
 体育座りに姿勢を整えると、真っ直ぐにあけみちゃんを見上げた。

「それじゃ……。
 どうぞ御覧ください」

 ともみさんは、そのまま後ろに転がった。
 紺のスクールベストが床に着くと同時に、両脚が高々と上がった。
 靴底が、まるで燭台のように天上を指してた。
 このとき初めて気づいたんだけど……。
 ともみさんの履いてる靴が、うちの学校と同じだったの。
 シューレースの付いたプレーントゥ。
 珍しいでしょ?
 まわりの学校は、みんなローファーだもんね。
 ひょっとして、姉妹校なのかなって思った。

 さて、ともみさんの格好よね。
 スカートはもう、捲れあがってる。
 股間のスリットまで、はっきりと見えた。
 でも、ほんとに小さいおまんこだったの。
 毛もないから、まるで子供のみたい。

「見える?」
「……見える」

 ともみさんの両手の指先が、股間で揃った。

「もっと見て。
 中まで」

 股間に添えられた指先が、左右に開いた。
 肉色の、小さな花が咲いた。
 ほんとにちっちゃな、おちょぼ口。

「どう?」
「可愛い……。
 妖精みたい」
「ふふ。
 妖精におまんこなんてあるの?
 でもやっぱり、子供みたいなまんこだよね。
 ひょっとしたらさ……。
 あの樹の精に魔法をかけられて、ここだけ成長が止まっちゃったのかも。
 だけどね……。
 これでも、立派に感じるんだよ。
 ほら、陰核もちゃーんと勃ってるでしょ?
 小粒ちゃんだけど」

 ともみさんの指先が、恥丘を引き上げた。
 わたしの視力じゃ、小粒の陰核までは確認できなかったけど……。
 あけみちゃんには、はっきりと見えてたはず。
 あけみちゃんは、下半身をもじもじと動かし始めた。
 揃えた両脚を、擦りつけるようにしてる。

「だーめ。
 勝手に始めちゃ。
 わたしが先よ」

 ともみさんは、挙げた両脚を、さらに胸近くまで折り畳んだ。
 両膝が、肩に着きそうだった。
 ともみさんは、その両膝の内側に、両肘を引っ掛けた。
 肘を張り、両膝を固定した。
 凄い格好よね。
 股間は丸見え。
 小さなおまんこが、天上向いてたわ。
 肘は固定したまま、ともみさんの両手の先だけが、おまんこに添えられた。

「よーく、見てね」

 指先に力が籠り、おまんこを剥き開いた。
 生ハムみたいなおまんこの花が、天を向いて咲いた。

「どう?
 中まで見える?」
「見える。
 ちいちゃくて可愛い」
「お尻の穴も見える?
 ともみがうんちする穴」
「見えるよ。
 ぴくぴくしてる」
「あー。
 気持ちいい。
 人に見てもらうと、なんでこんなに気持ちいいんだろうね。
 ちょっと、弄っちゃお。
 ふぅぅん。
 もうヌルヌル。
 でも、もうちょっとヌルヌルしたいな。
 あけみちゃん、唾たらして。
 顔突き出したら、届くでしょ?」

 あけみちゃんは懸命に上体を折り、顔を差し伸ばした。
 肩を離れた髪先が、胸前で揺れた。
 紺ブレに食い込んだ縄が、ぎりぎりと音を立てそうに見えた。
 あんなに引っ張ったら、きっと腕に跡がついちゃうよ。
 でも、あけみちゃんは、そんなことなんか少しも考えてないみたい。
 両脚でも踏ん張って、懸命に顔を突き出してる。

「届きそう?」

 あけみちゃんの顔が上下に振れると、頬がすぼまった。
 虚空にキスするみたいに突き出した唇から、透明な雫が零れた。
 透きとおった水飴のように伸びる唾には、水銀色の泡が、綴れ織りに纏わってた。

「あぁ。
 届いた。
 あけみの唾が、ともみのおまんこまで届いたよ。
 入ってる……。
 あけみの唾が……。
 ともみのおまんこに入ってる。
 ふぅぅ。
 気持ちいぃ」

 ともみさんの指先は、陰唇を潰すように動いてた。
 指先に、生ハムのような襞が絡んでた。

「やっぱり、我慢出来ない」

 指先が迫りあがり、クリを隠す位置に定まった。
 揃えた指が、注射痕を揉むように動き始めた。

「あひぃ。
 気持ち……、いぃ。
 見てる?
 見えてる、あけみ?」
「見てるよ。
 でも、ダメ。
 ひとりで行かないで。
 わたしを置いてかないで」
「指が……。
 指が、止まらないよ」

 クリを揉む指先が、楕円の軌跡を描き始めた。
 クリの周りを巡る衛星みたいだった。
 オーバルを描く軌跡は、徐々に速度を増し……。
 やがて指先の輪郭が消えた。
 両脚の燭台が、ゆらゆらと揺れる。

「イ、イク……」
「だめぇ」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「置いてかないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「ぅわきゃっ。
 わきゃっ」

 ともみさんの尻が跳ね上がった。
 両肘を外れた脚が、中空を突き刺して伸びた。
 足の甲が、バレリーナのように反ってた。
 ともみさんの背中は、アーチを描いて浮いてる。
 全身が、肩と尻だけで支えられてた。
 オブジェみたいだった。
 持ち上げた頭だけが、小刻みに振れた。
 内巻きのボブに、窓からの光が揺れてた。

「あがぁ」

 空気が漏れるような声と共に、首が真後ろに倒れ、頭が床に転がった。
 首が横に倒れると、ともみさんの顔がわたしの方を向いた。
 引っこもうとしたけど、間に合わなかった。
 でも、ともみさんはわたしを見てなかった。
 見開いた両目には、瞳がなかったの。

「ともみさん、ともみさん」

 あけみちゃんの呼びかけは、もう届かなかった。
 ともみさんの身体から、力が抜けていった。
 空気栓を抜かれた人形みたいだった。
 足裏がゆっくりと着地した。
 靴底が床を滑り、膝が伸びていく。
 膝裏が伸びきると、靴先が上を向いた。
 靴先は、2、3度揺れて鎮まった。
 それきり、ともみさんの身体は、機能を止めた。

第六話へ続く

文章 Mikiko
写真 杉浦則夫
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