あけみ先生は、手の平を上向けた。
手の平は宙を滑るように伸び、川上先生の股間に吸いついた。
「どうされたい?」
「やめて……」
「ウソおっしゃい。
こうされたいくせに」
あけみ先生の手の平が、股縄を押しあげる。
「やっぱり湿ってる」
「うぅ」
「この手を動かしたら……。
あなたは、生徒の目の前で浅ましい姿を晒すことになる。
それは、自分が一番わかってるわよね」
「お願いだから……。
やめて」
「じゃ、言いなさい。
あの日。
そう。
先生が、この塔への扉をくぐった放課後。
ここに、もう一人いた女性は誰なの?」
「し、知らないのよ」
「そんなわけないでしょ!」
「ほんとです。
ほんとなの」
「あなた方は、知らない女の前で裸になるの?
知らない女に縛られて、ヒーヒー言うの?
そんなことが信じられるもんですか!
ほら、言いなさい。
動かしてあげるから」
あけみ先生の手の平が、小刻みに動き始めた。
「あひぃ。
やめてぇ」
「ほら、音まで立て始めた。
早く言わないと……。
白目剥いてイクところ、生徒に見られちゃうわよ。
ほらほらほら」
「あか、か、か」
あけみ先生の二の腕に、腱の筋が走った。
手の平が反るほど、股縄が押しあげられてる。
そしてその縄は、間違いなくクリを揉み潰してる。
わたしは内腿を絞った。
見てる方が切なくなりそうだった。
「言いなさいってば。
言わないの?
じゃ、やめちゃう」
あけみ先生の手の平が、股間を外れた。
「あぁっ」
川上先生の声は、手の平を失った嘆きのように聞こえた。
「どうしたの?
眉根に皺なんか寄せちゃって。
もっとしてほしいんでしょ?」
川上先生はかぶりを振った。
懸命に、何かを振り払おうとしてるように見えた。
「案外しぶといわね。
そうだ、美里。
カメラ。
持ってきて、早く」
わたしが入口脇の机から、カメラを持ち帰ると……。
あけみ先生は、再び股縄を擦り始めてた。
「あぁぁ。
止めて、止めてぇ」
「美里。
カメラ、構えて」
「撮らないで!」
「なら言いなさい。
あの日の女性は、誰なの?」
「ほんとに知らないの。
ほんとよぉ。
突然現れたの。
鍵で閉ざされた塔の中に、突然」
「なるほど。
ひょっとして、あなたと理事長がなさってるとき……。
現れたのね。
ふふ。
顔見ればわかるわよ。
そうか。
最も無防備な状況で、不可解な力を見せられれば……。
一瞬で、精神的に支配されたっておかしくない。
もちろん、その人の持ってるカリスマ的な力が大きかったんだろうけど。
そんなことが出来るのは、わたしが知ってる限り、ひとりだけだわ。
その人は、何て名乗ったの?」
川上先生は、かぶりを振った。
「ヒーヒー言ってて、聞き漏らしたんじゃないの?
思い出しなさいよ。
ほら」
「あひぃ。
弄らないでぇ」
「ともみ!
ともみって言ったんじゃないの!」
「あひあひあひ」
「あなたまさか、生徒の前でイクつもり?」
「ゆ、許して」
「誰がイカせるもんですか」
あけみ先生が、手の平を外した。
「あぁ」
川上先生が、四肢を跳ね上げる。
全身で、イヤイヤをしてるように見えた。
「美里、この眼見てごらん。
さっきと違うでしょ。
トロンとしてきた。
この人、トランス状態になりやすいタイプね。
こういう人は、たやすく、他人にコントロールされるものよ。
ともみさんに心を掴まれたら、ひとたまりもないわ」
あけみ先生は、股縄から外した手の平を、わたしに開いて見せた。
指は、電球の明かりを映してた。
明らかに濡れてたってこと。
わたしの顔を見て、にやりと笑うと……。
先生の手の平は、踊りの仕草みたいに舞いながら、川上先生の元に帰った。
でも、戻ったのは、股間じゃなかった。
乳房。
優雅に伸びてた指先が、その位置で猛禽の爪に変貌した。
爪が、乳首を挟みこむ。
「大した女ね。
こんな状況で気持よくなれるんだから。
そういうのをね……。
変態って云うのよ。
変態さんは、気持ちいいのも好きなんでしょうけど……。
ひょっとして、痛いのはもっとお好きかしら?
こんなふうに!」
乳首を摘んだまま、手の甲が反転した。
「い、痛いぃぃ」
「お目覚め?
まだ、大事な話が済んでませんのよ」
捻りあげられた乳輪には、渦巻きみたいな皺が走ってた。
「それじゃ、質問を続けます。
うかつな先生は、あの人の名前も聞かなかったって言うわけよね。
それじゃ……。
なぜ、あなた方の元に現れたのか、そのくらい聞いたでしょ?」
川上先生は、歪めた顔を横振った。
「言いなさい」
あけみ先生が、さらに手を持ち上げた。
乳房が、生クリームの絞り袋のように変形した。
乳首は、千切れそうなほど伸びてる。
「ひぃぃぃ。
止めて止めて止めて。
ほんとに知らないの。
ほんとです!」
「ウソおっしゃい。
言いなさいよ。
ともみさんが、あなた方の元に現れた訳を。
どうして?
どうして、わたしのところじゃないの?
どうして、あなたたちなの?
言いなさいって!」
「わひぃぃぃ。
乳首が乳首が、千切れるぅぅぅ」
「乳首くらい、何でもないでしょ!
心が千切れるよりは!」
「あぶぶぶぶ」
川上先生は、瞳を迫り上がらせ、口の端から泡を噴き始めた。
「ゆうちゃん!
ゆうちゃん、大丈夫!」
理事長の声だった。
芋虫みたいに縛られたまま、懸命に顔を持ちあげてる。
「あら。
あちらの方は、すっかり素に戻ってるようね。
そうか。
バイブ、止めてきちゃったもんね」
「岩城先生、お願いです。
川上先生を下ろしてあげて。
ほんとなのよ。
ほんとにわたしたち、何も知らないの。
あの人がどこの誰かも知らない。
あの人は突然現れて、わたしたちに君臨した。
名前も名乗らず、理由も告げず……。
一瞬にして、わたしたちの女王になったの」
「そんなたわごと、誰が信じられるものですか。
素面になると、ますます嘘つきになるようね。
泡を噴きながらじゃないと、ほんとのことが言えないのかしら?
美里、スイッチ入れてきて。
バイブのスイッチよ。
早く!」
有無を言わさない眼光だった。
あけみ先生は、理事長の方に顎を振った。
わたしは、命じられた犬みたいに、理事長の足元に身を移した。
電池ボックスを拾い上げる。
「お願い。
美里さん、お願い。
動かさないで。
それを、動かされると……。
動かされると……。
わたし、ダメになっちゃう」
「美里!
何もたもたしてんの。
早くしなさい!
スイッチ、わかるでしょ?
そう。
それをスライドさせれば、無断階に強さが調節できるわ。
もちろん、目一杯まで動かしてちょうだい」
駆動音が立ち上がった。
おもちゃのロボットが動き出したみたいだった。
音は、さっきよりも高かった。
スライドを、最大限まで引き上げたから。
「あうぅ」
理事長の顎が天を向いた。
背中が持ちあがり、上体がアーチを描く。
「ふふ。
いい反応ですこと。
美里、クリも弄ってあげて。
どうしたの?
出来ない?
ま、いいか。
その状態でクリ揉まれたら、あっという間にイッちゃうもんね。
じゃ、バイブだけ、抜けないように持っててよ」
理事長の腹筋に渓谷が走り、腰が浮きあがった。
クリトリスが、包皮から覗いてた。
怒張してるのが、はっきりとわかった。
これを、皮の上から揉み潰したら、どんなにいいか……。
わたしは、立て膝をした脚の付根を内側に絞った。
お汁が染み出すのがわかった。
「ほーら。
川上先生。
理事長、また勝手に気持ちよくなってますよ。
どう?
うらやましい?
でも、残念だわ。
そんな縄のおフンドシ締めてたら……。
バイブなんか、入れられませんもの。
今度やってあげますね。
どこでしてあげようか?
そうだ。
保健の授業の続きでやりましょう」
本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」
《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。